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トンデモ本「人類は鳥類だった!」付録童話3 「第三回 進化に関する神さまと鳥たちの会議」

作者: 頼春彦

 その昔、神様が鳥達の祖先を集めて言われました。

「あー、こないだの件は首尾よく行って、嬉しく思う。

 ニンゲンを哺乳類に潜り込ませた君らの手腕は敬服に値する。

 ご苦労だった。」

鳥の祖先(面倒なので、以下「鳥」。)の代表は、

「神さまにお喜び頂けて、こちらこそ大変嬉しく思います。」

と申し上げた。神様は、

「これからも頼むな。

 それでま、前回言いそびれた話しなんだが、

 お前ら、虫歯はイヤか?」

すると鳥達は口々に、

「あんな嫌なものは有りません。」

「どうしてあんなに痛いのですか?」

「虫歯を無くして頂けるのですか?」

「歯なんて無くなってしまえと思います。」

と言い始めた。すると神様は、

「そうだろう、そうだろう。

 それに歯があるせいで頭が重いから

 飛ぶ時に肩が凝ってしょうがないだろう。」

と仰ると、また鳥達は口々に、

「本当にそうですよ。」

「頭が重たくて先日は木にぶつかってしまいました。」

と言い始めた。それをお聞きになった神様は、

ニコニコされながら仰った。

「分かった、分かった。

 こんどお前達の歯を無くしてやるからな。」

すると、鳥達は

「エー!」

と、どよめいた。

神様の方がビックリされて、

「なんだ、なんだ、嬉しくないのか?

 さっきは歯がない方が良いと言っておったではないか。」

するとある鳥が、

「それは神さま、虫歯の時はそう思いますよ。

 でもホントに歯が無くなってしまったら

 年寄りみたいになっちゃうじゃないですか。」

と申し上げると、神様は、

「そりゃまぁ考えようじゃわ。

 自分だけ歯が無くなればジジババ扱いされるが、

 みんな無くなれば気にはならんぞ。」

と言われたが、皆は恥ずかしそうに顔を見合わせていた。

鳥達の代表は申し上げた。

「歯が無くなる事で不都合もあろうかと思います。

 例えば、言葉を喋るのに、喋り難くなるのではありませんか?」

神様は、

「あっ、それは大丈夫。

 技術部に問い合わせたら、全然問題ないと言って来ておる。

 それにお前らは器用だから、何とかなるだろ。」

と仰った。それから鳥の代表が、

「食べ物には困らないでしょうか。」

と申し上げたが、神様は仰った。

「あぁ大丈夫、大丈夫。

 お前ら胃腸も丈夫だし、噛まずに飲み込んだって平気だぞ。

 おぉそうだ、ニンゲンはどうかのう。」

鳥の代表は、少し横を向きながら、

「いや神さま、あれはもう鳥ではありませんので、

 私共から申し上げる事は…。」

慈悲深い神様は、

「なんだ、冷たい事を言わんでくれ。

 こないだまでは仲間だったろうに。

 それにな、哺乳類どもに意見を聞いても

 まともな返事などせんのだ。」

鳥の代表は、

「まぁそういう事であれば。

 ニンゲンは肉食ですので、

 獲物を食い殺すのには、

 歯があった方が都合が宜しいでしょう。」

神さまは、

「おぉそうか、そうか。

 それは良い意見じゃ。

 それではニンゲンは歯を残す事にしようかのう。

 ところで、お前達、みんなはどうだ。

 歯を無くしても良いか?」

すると鳥達は、

「ニンゲンが歯を残すなら、私達は無いほうが良いかもね。」

「そうそう、ニンゲンに似たままなのも嫌よね。」

と言い始めた。神様は、

「なんだ、そんなにニンゲンは嫌われておったのか。

 まぁ理由はなんでも構わんが、歯を無くす事で良いのじゃな?」

すると皆一同は、

「結構です。」

と申し上げた。すると神様は

「よしよし、では今回も原案どおり可決とする。」

と仰った。


 こうして鳥類は歯が生えなくなるようになり、人類はそのまま虫歯で苦しむ事となったのでした。 おわり

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