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とある中学生の手記

作者: サカタ・タダタカ

自殺未遂の中学生のその後を知ってるかい。僕のことだけどね。自殺って聞いてどんなことをイメージする?


必死になる。覚悟するという言葉を、本当の意味で使っている人間は少ない。少なくとも、この日本という国には。


クリスマスはキリスト教の行事だよ?ハロウィーンは仮装大会じゃないよ?まあ、楽しいならそれはいいことだけどね。毎日のストレスを解消することは、楽しい人生を送るために大切なことだからね。


ストレスがたまる世の中だよ。僕は社会人じゃないし、子どもだけどさ。ネットの海をサーフィンすれば、死ねばいいのにとか、殺すとかいう言葉が、当たり前に飛び交っている。きっと、気が滅入る夜を誰もが経験したことがあると思う。画面の向こうの無数の毒舌は、決まって必ず僕らを嘲って、気が滅入った方が負けだって言うんだ。スルーできない方がわるい。ストレスのドッヂボールをしているんだと思う。そんな鬱々しい悪魔の端末が、たくさんの人の手のひらに収まって、僕らの瞳を腐らせるのが当たり前になっている時代。


いじめはやめましょう。薬物、ダメ、絶対。一人一人の個性を大切にしましょう。人に優しくしましょう。人が嫌がることはしてはいけません。そんなこと教わらなくだってもう知ってるよ。


夢ばかり見てないで、現実をみなさい。勉強しなさい。遊んでばかりいて、いつか痛い目をみますよ。みんなが勉強を頑張っているのに、なんであなたは遊んでばかりいるの。恥ずかしくないの?もっと必死になりなさい……なんてことを言ったりもする。上っ面の個性尊重。知ってるよ、先生。中学生の僕らのほとんどは、大人になって「社畜」になるんでしょう?


現実ってなんだ。なんで遊んじゃダメなんだ。必死にってなんだ?必ず死ぬ?人は必ず死ぬだろう。わかっているよ。みんなもわかってるはずだ。手のひらの画面の中で、学校の隅っこで、死ねばいいのにって言葉を簡単に使ってる。みんなが死ねばいいのに、って簡単に言うんだ。簡単に、吐き捨てるみたいにさ。


僕は明日死ぬかもしれない。知っているさ、バカじゃないんだから。マンガやアニメのキャラクターが死ぬシーンを見て悲しくなる僕はバカじゃないぞ。マンガやアニメは現実じゃないから悲しくなるのはバカだって?バカは悲しくならない方さ。僕はいつか死ぬんだ。明日かもしれない、50年後かもしれない。いつかはわからないけど、だけどいつか必ず死ぬんだ。それが本当。それが真実。中学生の僕にとっては、わからないことが多すぎる毎日の中で、それだけが確かなこと。どうしてみんな、そんな簡単に死ねばいいのになんて言えるんだろう?


本当につらい想いをしたことがないんだ。抱え込んだことがないんだ。抱え込む方がバカなんだもんね?スルーできない方がわるいんだもんね?吐き捨てられない奴が、バカなんでしょう?


先生は、お母さんは、何でも知ってる神様ですか?大人の言うことはすべて正しくて、それを信じていれば安心ですか?それが、本当の現実ですか?人の嫌がることはしない。それは正しいことだと思う。でも人の嫌がることが全部わかるわけじゃない。わかるのは僕自信が嫌だと思うことだけ。だから僕はストレスのドッヂボールなんてしない。ぶつけられる痛みを知っているから。ぶつけられるのが本当嫌だから。僕はストレスという爆弾を、黙って黙って抱え込む。


この国には今、決まった宗教がない。死を定めるルールがない。死は隠されている。みんなと同じことをしていないと落ち着かないのは、みんなと同じことをやっていれば、死を考えなくてすむから。死と向き合うのは、必死になるのは、覚悟するのは、大人になっても簡単に出来ることじゃない。とっても難しいこと。まして、僕らのような中学生は、この国に生まれた中学生には、かなり難しいことだと思う。



自殺しようとして、僕は自分の命と向き合った。結局、僕は死ねなかった。生きたいと思ってしまった。泣きじゃくりながら思い出したのは、大好きなアニメの台詞だ。『お前を信じろ』という言葉だ。アニメだって現実だと思う。少なくともその作品を作ったスタッフは、監督は、脚本家は、僕らと同じ生きた人間でしょう?


必死になるって、覚悟するって、苦しいことじゃないはずだ。つらいことじゃないはずだ。僕は必死になって、覚悟して、本当に心が晴々としている。楽しいことをたくさんやって、嬉しい想いをたくさん味わって、キラキラした思い出をたくさんつくって、笑顔であの世に旅立つのさ。どうだ?うらやましいかい?とってもいい気分だよ。明日にだって死んでもいい。そういう気分だ。こんな気分で、残りの何十年かを歩いて行けるなんて、僕は幸せだと思う。早く気づけてよかった。好きなことをやり通す覚悟。それを僕は、自殺しそうになったあの夜に、決めることができた。



僕は普通の中学生。何処にでもいる中学生。僕の考えていることは、みんながどこかで、感じてることだと思う。ねぇ、みんなどう思う?


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