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セカンド・ワールドの魔王  作者: 魔闇直樹
④ 活動領域拡大編その1
58/61

4-23 勝てるとは思わなくて

「うっし! 俺たちの完全勝利だ!」


 魔理守がそう掛け声を上げると、見守ってた、美樹や、NPCの商人とも一緒に全員でパシンッとハイタッチをし合った。


「でも、君たち凄いね! その、なんだろう、すまんね、助けてもらっておいて何だけど、本当に、ホブゴブリン3体とゴブリン・ライダー達を倒せるとは思えなくてね……その……」


 ズドーーーン!!


 商人が何やら弁明をしていた所、大きな衝撃音を立てて、軽く舞い上がった土煙のから、3人ほどの大人が現れた。


「君たち! 怪我はないか!?」


「ん? あれ、ホブゴブリンがいないよ?」


「まさか、こんなガキンチョだけのパーティーでホブゴブリンを倒したってことか?」


 スマートな面長の男性、ほんわか系で小柄な女性、山賊のような荒々しい男性が順に、声を魔理守たちにかけてくる。


「なんか、その、ごめんね……本当にあのゴブリン共を倒せると思わず、ウィンシティに在注している、王都の派遣部隊を君たちが戦っている間に助けてもらえるよう要請していたんだよ……」


 商人は、申し訳なさそうにいきなりやってきた3人について説明する。


 SWでは、モンスターとの戦闘中に、どうしても勝てない時、自分達の地域管轄の、戦闘部隊に助けを求めることが出来る。しかし、そう易々と呼ばれていたら、とても大変なので、要請した場合は、やや高額な金額がかかるのだ。


「ってことは、あんたをウィンシティまで付き添ったら貰えるお金が減っちまうってことだな」


 勝利は、せっかくの臨時収入のことを考え、「ハァ」と右手を頭に触れため息をつく。


「でも、君たち凄いね!私たちが来る前に、自分達だけで、ホブゴブリンが複数いるゴブリンの群を倒しちゃうなんて!」


 3人組の紅一点のお姉さんが、彼らを称賛した。


 ホブゴブリンは、レベル10代でもゴブリンから進化する場合がある上に、同レベルのFPCファースト・ワールド・キャラどころか、数レベル上でも、倒せるか怪しいくらい強力なモンスターである。


 しかも、ゴブリン系のモンスターは、ヒトと戦ったり、狩りで他モンスターと戦ったりする場合、殺さず、巣へ連れて行き、欲望の捌け口にする習性を持っている。


「まぁ、安心すると良い!ゴブリン関連で呼ばれる場合、通常よりも、僕たちへの支払いは安くなっているからね!」


 面長で高身長な男性の言うように、ゴブリンに関しては、通常よりも安い料金になっている。高いお金を払うのが嫌と、助けを呼ばず地獄を見ることがないようにするためだ。通常よりも3割の料金で呼ぶことが出来る。


「って、言いてぇところだがよぉ! 今は、3割通常よりも高ぇんだぜ? わかってるよなぁ? おっさん?」


 柄の悪い蛮族そうな山賊風の男性がそう言い「へっへっへぇ」と品のない笑い声を出す。


「え? なぁ、おじさん、つまり、どういうこった?」


 魔理守は、SWに入る前からSWへ行きたいがあまり、調べ上げまくるほどこの世界について、詳しい為、各街や村にいる王都の部隊を呼ぶ場合、モンスターによっては、安くなることもちゃんと知っており、()()()()()()()()()()()()場合についても知っている。もしやと思い、彼は商人へ聞いてみた。


「まだ、君たちも知らない情報と思う情報なんだけど、説明させてもらうよ。実は、ゴブリンの群や襲撃が、ここ最近、多発しているんだ。だから、この情報は、商人の界隈で、既に出回っていてね、本来は、今回の王都への出品会に行くべきではないとなっていたんだ」


「ほう」


 ポニーが相槌を入れる。


「でも、今回の王都での出品会は、大きいイベントでね、これに参加しないと言うのは商人を志した者として、間違っているとわしは思うんだ」


「うん」


 あおりんが相槌を入れる。


「わしのこの愛馬2匹なら、ゴブリン程度なら、蹴散らしていけると思い、強行で色んな街へ行き、品を集め、やっとここまで来れたんだ……」


「んで、それが、今回の部隊要請で逆に値段が上がっていることと何か関係あるんか? ゴブリンが最近現れてるってことと、やっぱり関係あんだよな?」


 勝利も魔理守ほどではないもののSWを楽しみにしていたので、彼も薄々気がついている。


「あぁ、すまない、話が脱線してしまったね……今回の出品会への思いが高まってて……」


 ついうっかりと苦笑いをした商人は、息を軽く吸い、ふぅと吐き出し告げる。


「近いうちに、ゴブリンの軍勢と、ここ一帯と戦争になる可能性が高いんだ!」


 商人は、とんでもない情報を彼らに告げた。

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