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セカンド・ワールドの魔王  作者: 魔闇直樹
④ 活動領域拡大編その1
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4-22 タイマン対決 勝利VSホブゴブリン

「食いやがれ!!」


 勝利は、叫び声をあげ、ホブゴブリンの頭の横を蹴り飛ばす。


 生物には攻撃を受けると軽い威力でも死亡してしまうくらい脆い上に生きる為に必要な部位がある。そして、SWのモンスターにもそれがある。


 ゴブリン系モンスターは、人間同様に頭の横、眼の斜め上が柔らかい上に、脳を損傷させられる。


 所謂、急所に渾身の飛び蹴りを受けたボブゴブリンは、身体に受けるよりも、強烈なダメージを受けた。


 しかし、勝利はSWに入って日が浅く、レベルが低い。その為ホブゴブリンをその一撃のみで脳損傷を起こし即死させられるには、ステータスが足らない。


 痛い所に蹴りを入れられたボブゴブリンは、数歩よろけたものの、すかさず彼へ斧を振り下ろした。


 その攻撃を余裕そうに背後に回るように躱し、昨日の夜購入した短刀を、敵の脊髄へ突き刺した。


 これにより、ホブゴブリンの動きが鈍くなる。


「敵を弱体化させちまうと、経験値効率が悪くなっけど、流石に、今の俺じゃあ、勝てるか分かんないからな!」


 SWの経験値は、戦闘で苦労しながら、立ち回ることで、その分多くもらえる為、相手を弱体化させて戦うと、その分倒すのが楽になり、獲得経験値が下がる。


 また、いくら格上な相手でも、即死させた場合、それを発生させた行動のみが経験値の対象になる。なので勝利は、頭の横に短刀を刺さなかったのである。


 勝利は、動きが鈍ったホブゴブリンに怒涛の攻撃を繰り出していく。


 彼の今のレベルだと、攻撃1つ1つが与えるダメージは低いものの、蹴りや剣や斧などの様々な武器をせっかくのチャンスだと使い分けながら、ホブゴブリンの命を削っていく。


 こうしている間に、魔理守達が戦いを終え、戦っているのは自分だけになってるが、相手は既に満身創痍である。


「これで、終わりだ! トドメといったらやっぱり、必殺技だな!」


 獣人が持つ獣の力を身体の一部へ、彼の場合は、右足へと集約させる。


 さらに、左足でスキル、ハイジャンプを発動させ、その脚力を横のベクトルへ放ち飛ぶ。


「食らえ! ビーストランス!!」


 勝利が放つ渾身の一撃を受け、ホブゴブリンのHPが尽き消滅した。

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