4-21 対決 あおりん最後に魔理守VSゴブリン・ライダーズ
あおりんは、3体のボブゴブリンを援護しようとしている、騎乗子妖鬼3組に愛用の拳銃を使い、それをさせないようにしている。
あおりんは、二丁の拳銃を発砲しつつ、距離を取っている。
大型のゴブリンの相手をしている男子3人と違い、彼女自身は、MPを消費する能力を自身で覚えないようにしている。なので、戦闘する場合は、拳銃を使用している。
ゴブリン・ライダー達は、素早く移動しながら、あおりんに詰め寄っていく。
彼女は、止まっている相手であれば、ヘッドショットで即死させられるレベルの命中率はあるものの、狙いから外れるよう動かれてしまうと銃弾を当てるのが困難になる。
ただ、頭を確実に当てられなくなるだけな為、急所ではない部位には、何発か命中させている。
ただし、あおりんの使う拳銃だと、脳や心臓以外の場所に銃弾を当てても、そこまでのダメージは出さない。
ゴブリン達は、先ほど、ヤギが止まった時に、あおりんが頭へ銃撃を命中させた事、仲間へアシストしようとした時に、ヤギの方を撃った事から、その事を本能的に察知している為、大きく移動しつつ距離を詰め、彼女を無力化させようとしている。
ただし、彼女の方もある程度近づかれると、狙いの的がその分大きくなる為、動かれても銃弾を命中させることは可能である。
その為、ゴブリン・ライダー達は、何とか3組で彼女を取り押さえられるように、立ち回らないといけない。
1組だけ、または2組で、近づき過ぎると、脳や心臓へ二丁の銃で射抜かれてしまう。
あおりんの方は、命中させられないものの、詰め寄る行動を阻害するように発砲し、騎乗子妖鬼達に捕まらないよう調整している。
だが、彼女は、戦うのが別に得意な訳ではない。ゴブリン側は、こちらが一撃で命を奪える武器を持っているのを理解している為、生き物としての本能から、上手く立ち回ってくる。
そして、ゴブリンという種族のモンスターは、集団戦がとても得意。いくら、あおりんが気をつけていても、少しずつ、ゴブリン達の狙いの体制になろうとしていく。
「そろそろ、キツくなってきたな……」
流石のゴブリン族の連携力に、自身の身が危うくなった時、モンスターが消滅する音が聞こえてきた。
チラリと魔理守の方を見ると、魔理守がボブゴブリンに勝利していた。
「まりりーん! そろそろきつい! ヘルプ!!」
あおりんは、魔理守に助けを呼ぶ。
魔理守は、すかさず、あおりんの元まで飛んで来る。
「うし! よくやった! あおりん! 加勢するぜ!」
魔理守は、あおりんに背を向け、「デビル・クロー!」と叫び、その爪で乗っている上のゴブリン達を切り裂く。
あおりんが、少しずつ与えてたダメージと、魔理守のこの攻撃により、ゴブリンの方は3体とも、HPが0になり、断末魔をあげ消滅した。
乗り手を失ったヤギ達も魔理守の黒く鋭い爪で切り裂かれる。
こちらも、同様に彼女の銃撃と彼のこの一撃を受け消滅する。
そして、魔理守はデビル・クローを解除し、「うっし!」「イェイ!」とあおりんとハイタッチする。
「あおりんが無事で良かったぜ」
ゴブリンは人間に容赦がない。魔理守があおりんの要請ですぐに助太刀出来なかった場合、彼女は、今着ている衣服や髪の毛をズタズタにされていただろう。
SWは、もう1つの現実である為、モンスターにやっては、衣服を引き裂き、陵辱してくるモンスターもいる。
ただし、基本的には始まりの村の近辺の場所には、人間に生き過ぎた加害を行うモンスターはいない……筈である。
「でも、まりりんは残念だったね!」
あおりんがイタズラな顔をしてくる。
「へ?」
「だって、ゴブリン達に私が襲われれば、あんなことやこんなことが、きゃーーー!!」
「もっと、自分を大切にしなさい」
年頃の男子が食いつきそうな話題を出して来た為、魔理守はついつい敬語でツッコミをいれる。
「まぁ、でも、まりりんなら守ってくれるって信じてるから!」
彼女はニコリと微笑む。
「ま、まあな!!」
[うぐ、かわいい!!」
魔理守は顔を赤らめる。
[この雰囲気はやべぇ!!]
この状況をどうにか変更したい彼は、あたりを見回す。
すると、ちょうど、ポニーがボブゴブリンの討伐を完了してた。
[ちょうど良かった、ポニーに声変えてこの空気を変えよう!]
「おぉ、ポニー、お前も終わったみてぇだな!」
魔力を貯める魔道具をアイテムバッグに入れているポニーへ声をかける。
「ふん、俺が敵を1人倒している間に、7体も倒しているとは、流石は魔理守だ!」
「でも、まりりんよりポニーの方がレベル差が凄かったから、ポニーも凄いよ!」
こうして、自分らの戦いを終えた3人は、あと少しで終わりそうな勝利の戦いを見物しているのであった。




