4-16 商人からのお礼
「君たち! 本当にありがとう!! おかげで儂や王都で売る予定の品物が無事だったよ!」
ゴブリン・ライダーズから助けてもらったことに、過剰に見えるくらいの感謝を馬車の初老ぐらいな商人が彼らに伝える。
「お礼と言ってはなんだが、これを是非貰っておくれよ!」
商人は、魔理守らパーティ全員に、一人一人、マネカ、いわゆるSW内の通貨を10万マネカと、王都で売る予定だった、そこそこレアなアイテムを礼として渡した。
「商人のおじさん、そう言えばなんで護衛の人がいねぇんだ?」
魔理守は、疑問に思ったことを質問した。
SWでは、野生のモンスターがいる事は常識であり、戦えない人間は、護衛を基本雇う筈だからだ。
特に、この商人のようなNPCは、SWだけで人生を生きてきた訳なので、尚更疑問だ。
「実はな……別の街へ商品を仕入れた後、始まりの村まで、一緒に馬車で送ってくれと声を掛けてきた集団がいてな、彼は、その条件に護衛をしてくれると言い、始まりの村まで護衛して貰ってたんだよ」
「うんうん」
あおりんが、相槌を入れる。
「始まりの村の後のワイ村までなら、我が2頭の馬達ならレベル10以下までのモンスターなら追い払えるのだが、今回襲ってきたゴブリンライダー共は、ゴブリンと乗ってるモンスターとレベルが合計される為、レベル14くらいの馬2匹じゃ、間違いなくやられてた訳だ……」
商人は、これまでの出来事を語り終える。
「んじゃあ、ウェンシティまで俺たちを送ってくれるなら、それまで護衛しても良いけど、どうする? あ、皆んな良いか?」
魔理守の話した事に、他の皆んなも了承する。
「それに、ゴブリン・ライダー達を3対も逃しちまったから、報復に来るかもだし……」
魔理守は、辛いため息をこぼし、嫌な予感をしている。
彼は不安を抱えつつ、一行は、商人の馬車に乗り込み、ウィンシティへ向かっていった。




