1-2 世界の狭間での質問
真っ白な空間に彼は浮いている。周りには何も無く、目の前には七色の虹がかかってる。
「すげぇ……本やネットでは聞いていたが、綺麗だな……そしてここで俺は……」
話に聞いていたとはいえ、美しい景色に彼は驚く。
「確か授業とか本で聞いた話によると、脳波といくつかの会話を参考に俺の種族が決まるから、俺のなりてぇ種族になれればいいんだが……」
今真理守がいるこの場所は、SW《セカンド・ワールド》 に入る前にこの世界での種族を確定する不思議な場所。
種族決めはSWのAIが初めてに来た人の脳波を測定しるのと、AIがいくつかの質問をしてそれを答えるやり取りや発する言葉とかを元に決める。
『この世界に入る前のあなたに、いくつかの質問をします』
女性らしき不思議な声が、真理守に声をかけ「あぁ」と答える。
『あなたは何になりたいですか?』
「俺は善良な悪魔になって、魔王になりてぇ」
真理守は即答で答えた。善良な悪魔になり魔王になりたい。彼の長年の夢である。
『そうですか、一部のRPGなどに登場する白魔法などの人を癒し、闇を払う聖なるの魔王になりたいのですか?』
不思議な声が真理守に問う。
真理守は少し考えて、
「うーん、少し違うんだよな。白魔術を使ったりする聖なる魔王的なものというよりか、RPGとかの定番の一般的な悪魔族の魔王が人に危害を加えるんじゃなくて、人と関係を結ぶような魔王になりてぇって事なんだ」
彼は話を続ける。
「魔王、悪魔=悪い敵。天使、勇者=正義ってのも、全部がそうじゃないと思うしさ、俺は人とつながる悪魔になって、そして魔王になるってずっと決めてんだ」
真理守は、自身のポリシーとも言える答えを不思議な声の主に話した。
悪魔は確かに名前に悪が付くくらい悪い種族とされているが、彼にとっては種族に過ぎない
人間には良い人や悪い人がいるように、悪魔にだって全力な人もいると真理守は考えている。そして、そう言う悪魔になりたいと幼い頃から思っていた。
そして悪魔から派生した聖なる悪魔とかよりは、しっかりとした悪魔となった上で人と仲良くなる悪魔になって魔王になりたいのだ。
『なるほど、一般的な悪魔になり、人と絆を結ぶ魔王になってセカンド・ワールドで過ごす、という事ですね』
不思議な声は確認の為の問いかけをする。
すると真理守は「あぁ、そうだ!」と得意そうに笑みを浮かべながら答えた。
『わかりました、以上で質問を終わりにします』
真理守に対する質問は終了したようだ。
[よし、もうすぐだ!!]
真理守は、笑みを浮かべてワクワクしながら、心のなかではしゃいでいる。
『最後にあなたの種族は、悪魔です。ただし、レベルは初めは1なので、小悪魔からのスタートです。』
「あはは……」
[こ、小悪魔……やべぇ、またあいつに可愛いとか言われんな……」
真理守は苦笑いをしながら心の中で、軽く落ち込んだ。
真理守自身、外見も小柄で、髪の毛は少年にしては長く、毛質もサラサラであり、肌も綺麗で中性的やや女性よりな外見をしている。
通っている中学校でも、女子生徒から『可愛い』と言わている。さらに、幼馴染の同級生の少女にまりりんとよばれているため、男としてとても恥ずかしいようだ。
不思議な声はそんな彼の苦悩も知らずに
『それではSWへ!!』
苦笑いのまま真理守は光に包まれた。