2-1 賑やかな始まり
今日は木曜日で、真理守の誕生日から一週間が経過していた。
SWの規定の中で、24時間毎つまり、1日分滞在したら1時間こちらで本来の現実の世界、人によってはRWと呼ぶこともある。つまり実際に体を動かしたりして運動しなければならない。
運動時間は6時間までためられるが、7時間目に達した場合、規定時間以外SWへ行くことが出来なくなる。
そして真理守は、SWの滞在上限をギリギリで入り、リアルに戻り運動をせず気楽に考えて、いざ運動をする時に調子に乗り無理に動き、
「体が痛ぇ…」
このように無理に教室で椅子に座り込み、苦しそうに呟くようになった。
「よぅ、真理守大丈夫か?鍛えが足りないな、お前もポニーテールにしたらどうだ!」
小学校の頃からの付き合いの【ポニー】に声をかけられる真理守。
「今日体育なくて良かった。それと、ポニーテールにするわけねぇよ」
真理守はいつも通り断る。
「何を言っているんだ、ポニーテールは漢の誇りだ、サムライの刀と同じだ!何度言えばわかるんだ!」
「ポニーテールをなんだと思ってる!?」
ポニーのよく分からない熱いポニーテールへの思いを、拒否する真理守。
「なぜ拒否る?」
「せっかくのこの髪が台無しだろ!筋肉痛にも関わらず、今日もやったんだ!」
真理守にも髪の毛にこだわりはある。
どのようにすらば可愛く見られず、かっこよくなるか考えてRPGの主人公のようにする為に毎日セットしているからだ。
「そのぐらい長ければ、ポニーテールできるのにもったいない」
「嫌だよ、んなことするために伸ばしてねぇ!!」
ポニーの勧誘(ポーニーテールの)を意地でもかというくらい拒否し続ける真理守、すると横から、
「二人とも、また変なことで言い合いしてるね、喧嘩しちゃダメだよ」
「まりりん、ポニーおはよう、朝から元気だね」
登校してきた葵と、真理守のクラスの学級委員長【桜井美樹】(さくらいみき)の2人が声をかけてきた。
「よぅ、葵とオーバーロー...どあっっ!!」
言い終わるところで葵から、背中に平手打ちをされる真理守。
「筋肉痛の人に何すんだ!!」
「まりりんが変なこと言うから~、つい!」
笑みを浮かべながら答える。
真理守はいつも通り〔このやろう〕と思いつつ、言い返せないでいる真理守、さらに、それを見て美樹に
「本当に仲がいいね」と追い討ちをかけられる。
「あっ、えっ」
真理守の戸惑いながら顔が赤く染まる。
「あっまりりんかわいい~顔が赤くなってる」
「真理守くんどうしたの?」
「みきみきは分かってないな~ちょっと耳貸して、まりりんは今~……」
「そうなんだ、真理守くんかわいいね」
彼女たちの言葉の猛攻を、どうにか逃げようと考えているものの、筋肉痛であまり動きたくはない真理守。
また、美樹は純粋な気持ちで言っているので、悪意がなく、それはそれでとても辛いようだ。
地獄の猛攻を真理守は受ける中、その時、
「くたばれポニー!!」
ツインテールの小柄な少年が、ポニーに跳び蹴りをする。
「甘い!!」
「ぐわ!」
案の定かなわなかった。
「大丈夫か?しより?」
「しょうりだ!真理守貸し1な」
「了解」
真理守がピンチの所をポニーに攻撃し、葵と美樹の気をそらした【美川勝利】(みかわしょうり)
彼はツインテールが特徴の小柄な少年。少女のような外見でその髪型そのため……
「あっ!しよりんだ!」
「だからしょうりだ!勝つに利益の利で勝利!俺は男だーーー!」
葵の標的が勝利に変わった。けれど勝利は葵を気に留めず、
「ポニー、今日こそお前を倒す!!」
彼はポニーをライバル視しており、毎日といっていいほど勝負を仕掛ける。
「真理守手伝え!今日こそ倒すぞ!」
「待て俺筋肉痛だ、今まで勝てた例あんのか?」
「貸し1」
「わかりましたポニーを倒します」
結果、体を動かす羽目になってしまった。