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祭りの準備 その3

「それじゃあ、今日の作業を簡単に説明しますね」

 大勢のバイト巫女を前にして優衣はダンボールから袋にまとめて入ってあるお守り、そして絵馬を取り出した。

「今日は届いたこのお守りを所定の位置に整理してもらって、あとは絵馬と破魔矢も同じように整理してもらうから。えっと、それじゃあ……」

「優衣さんいますかー」

 そんな時に突然、皆穫が社務所の売り場に顔を出した。

「ごめん、ちょっとまってて。っで、なに皆穫?」

「美羽さんが祭事の飾り付けでバイトを何人か回して欲しいそうです」

「そうじゃあ、佐藤さんと鈴木さんと高橋さん。皆穫に付いて行って拝殿の方をお願いしますね」

『はい』

「じゃあ後は、田中さんと渡辺さんと伊藤さん、それに山本さんと中村さんはお守りの整理をお願い。後の人たちは絵馬と破魔矢の整理ね」

『はい、分かりました』

「あの〜」

 ぼーっとしていた皆穫にバイトの巫女が声をかけてきた。どうやら指示を待っているようだ。

「あっ、うん、ごめんね、じゃあこっちに来て」

『はい』



「それにしてもびっくりしました」

 その日の夕食時。いつもと同じように皆穫の部屋にたかりに来た優衣と美羽に、皆穫は口を開いた

「なにが?」

 突然そんなことをいわれても分からないだろうと、美羽が聞き返す。

「今日美羽さんの用事で売り場に顔を出したじゃないですか」

「それがどうかしたの?」

「いや、優衣さんがちゃんとバイトの人達を仕切ってるからびっくりしたって話なんですけど」

「もしかしなくても、それは褒められてないよね」

「いえ、そんなことはないですよ。…だから、そんな怖い顔しないでください」

「うー、私そんなに怖い顔してないよ」

「あんたはそのオーラだけで人を脅すことが出来るのよ」

「勝手に人の特技を作らないでよ!」

「けど、優衣さんのオーラには鬼気迫るものが…」

「何か言った、皆穫」

「いえ、なんでもないですよ」

「まあ、皆穫の気持ちも分からなくも無いけどね」

「うー、それって、そんなに私が怖いって事?」

「違うわよ。真面目に働いてるあんたが珍しいって事よ」

「うー、私だってやらなきゃいけない時はやってるよ」

「それ以外はサボってばっかだけどね」

「……そうだね」

「って、反論なしかい!」

「えー、だって、事実だし」

「それは自白しているのか」

「違うよ。私はちゃんと現実を見詰めて真実を述べただけだよ」

「要するに、普段から真面目に仕事して無いと認識はしているんだな」

「それとこれとは話が別だよ」

「いや、一緒だから」

「だって、普段と忙しい時はまったく違うじゃん」

「いやいや、だから一緒だって。例え普段が暇だろうが、今が慌しいのだろうが、巫女としてやることは一緒だから」

「………………まあ、そこら辺は大目に見てよ」

「お前が言うな!」

「まあまあ、美羽さん」

「皆穫、あなたまで優衣のようになっちゃダメよ」

「なんで、突然私に振るんですか」

「念のためよ!」

「私は普段でも真面目に働いてますよ〜」

 半泣きになる皆穫を無視して、美羽は思いっきり優衣を指差した。

「と・に・か・く、優衣は普段でも真面目に働きなさい」

「うー、そんなにやることがあるわけじゃないから良いじゃん」

「よくない!」

「そういう美羽は今日なにやってたんだよ」

「私? 私は拝殿の飾り付けやら祭事のリハーサルやらで忙しかったわよ」

「でもお祭りが終わったら、また暇になるじゃない」

「それはあんただけだ。私はお祭りでの収支の計算やら、手伝ってもらった人や奉納してもらった人への挨拶回りで、お祭りが終わっても忙しいの」

「へぇ〜、美羽って、そんなことまでしてたんだ」

「お前はこの神社で何年働いてんだ」

「あははっ、私はお祭りの後はその疲れでずっと寝てることが多いから」

「それは今年も祭りの後に有給を取っていると自白してるのか」

「あ〜、いいですね、それ」

「皆穫も乗るな!」

「え〜、だって、今は目が回るぐらいの忙しさですよ。お祭りが終わった後ぐらいゆっくりしたいじゃないですか」

「そうだよね〜」

「あんたらは後片付けという言葉を知らんのか」

「……美羽さん、ファイト」

「そんな応援、いらんわ!」

「美羽、これも運命だから」

「私の運命はお前に決められるのか!」

「けど、そういう仕事って美羽さんがやるように思えて、とても手伝おうとは思えないんですよ」

「それは手伝う気が無いだけでしょ!」

「違うよ美羽。なんていうかな〜、なんかこう、美羽の仕事には手が出しづらいんだよ」

「そうなんですよね。なんか、手を出したら邪魔かなって思っちゃうんですよね」

「分かんないかな〜、この感じが。ねえ、美羽〜」

「いや、なんとなくは分かるが、とりあえず手伝ってくれ」

「無理」

「お任せします」

「納得いかねー!」

 そんな感じでいっそう慌しくなっていく岩城神社であった。







 ぐげごっばっと、思いっきり風邪ひいた。

 そんな訳で、只でさえ更新が遅れ気味のみこみこがずいぶんとまた更新が遅れました。

 というか、普段でもネタが無いのに、風邪ひいてる時なんて何も浮かんでこやしねえ。もういい加減に治って欲しいです。

 ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。

 以上、最近ちょっと風邪が治り始めた葵夢幻でした。

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