表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

左手首の翌日

世界を嫌った聖なる夜に 笑顔を浮かべるお月様と 頬を撫でる流れ星 残酷な日々も流れ星

「生きている意味がわからない…」と小さく呟いた美羽は左手首を切っていく 滴る赤も流れ星


線路沿いのボロアパート 寝息を立てる野良猫と 何処までも青い空 残酷なまでに青い空

「死にたい…死にたい…死にたい…」と魔法を唱える美羽は左手首を切っていく 目覚めた朝も青い空


喪失で縫い繋げた歴史は この想いの故郷 出逢いがあった事

その全て抱えた この両手はカラのまま 温度の無い温もりに縋るだけ


命の終わりを願う夜に“素晴らしい世界”と名付けたなら

悲劇を全て嫌う程 その故郷に希望はあるのでしょうか


戦争を物語る記念碑に捧げる偽りの花束 解けた糸は春風に 髪の香りも春風に

翌日 学校の屋上から明日を落とした美羽の左手首は去っていく 隠した恋文も春風に


水滴を積み重ねた日々は この想いの故郷 思い出に出来た事

その全て抱えた この両手は濡れたまま 音の無い言葉に縋るだけ


命の終わりを願う夜に“素晴らしい世界”と名付けたなら

奇跡を全て拒む程 その故郷に運命はあるのでしょうか


希望に焦がれた ハルの日も流れ星 過去に浸って 回れ右 願えば叶うから

絶望に出逢えた ハルの日も青い空 過去に浸って 回れ右 明日も晴れるから

見なよ 皆よ 息詰まる肺で 酸素を欲しがる明日を

見なよ 皆よ 美なる胸の奥に 媚びれ付く明日を


「生きている意味がわからない…」と世界を終わらせた美羽の左手首を忘れない

温度の無い温もりに逢える事


命の終わりを願う夜に“くだらない世界”と名付けたなら

喜劇を全て嫌う程 その故郷に絶望などあるか


命の終わりを願う夜に“素晴らしい世界”と名付けたなら

命を全て愛せる場所 その故郷で待っているから 左手首の翌日を

  






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ