その 4
今回も短いですね、はい。
そして食事を済まして腹を満たした後、俺たちは寝る場所、つまり宿泊先へと向かった。
「ここだな。さて、私は中に入って三人分の部屋が空いているかどうか聞いてくる、二人はおとなしく外で待っていてくれ。くれぐれも迷惑をかけないように」
そう言ってミオは宿に入って行った。
俺はミオが宿に入る途中で適当に「ああ、わかった」と返事をした後、待っている時間が暇だったので夜空を眺めて暇をつぶしていると、
「さっきから空を見上げて何してるの?」
ユイも暇だったらしく、話しかけてきた。
「ん? いや、ただ意味もなく星を観察していただけだよ。特に何かしているわけではないな」
その後も意味もなく夜空を眺めていると、ユイは何を思ったのか、
「……もしかして今になって私との契約が嫌になった……とか?」
なんてことを聞いてきた。
「どうして?」
この場合のどうしてとは、どうしてそんなことを思ったのか、だ……。
「だって、私はジンの記憶を探す手伝いをすると言いながら自分の任務を優先してるし、それにその任務にジンを巻き込んでるし、これって契約違反なのかなって」
「その程度なら別に契約違反だなんて思わないさ。そもそも俺はユイに俺の命を預けてるんだ。それをどう使おうとユイの勝手だろ?」
「……ここでやっぱり契約をなしにすることだって、私は構わないよ?」
「それは勝手すぎるだろ。ここまで俺を生かしたんだ、俺から言わせればそれこそ契約違反だね」
ここでユイは黙ってしまい、俺は次に何を言っていいのかわからなくなり、俺も黙ってしまうと、
「……そっか、そうだよね」
急にユイが何かに納得し始めた。
「なにが『そうだよね』なんだ?」
「ううん。私の中で決着がついただけ」
何に決着がついたのかわからなかったが、とりあえずユイが元気になったので──
「ここはポジティブに考えてジンの記憶が失ったことには悪魔が関与している、ということにしよう!」
「っておい!」
「よおおぅし、悪魔を倒してジンの記憶を取り戻そう!」
「いやいやいや、おかしいだろ? なにをどうしたら俺の記憶が悪魔と関係してくるんだよ? なあ、そんな『私、今ならなんでもできる』的な顔をしてないで、なぁおいっ!」
そんな感じでいい具合に暇潰しができ、ユイと俺は大声を出しあいながら騒いでいると、
「何をしているのかな、君たちは?」
──ミオが現れた。
どうやら宿がとれたらしく俺たちのことを呼びに来たらしい。
「今は夜中だから他の人たちに迷惑をかけないように、おとなしく、と言ったと思うのだが。そうか、君たちは今日も野宿することにしたのか、ならキャンセルしてくる。また明日、酒場で会おう」
そう言われると俺とユイは顔を合せ、
『ごめんなさい!』
そう謝ったりするのであった。
読んでいただきありがとうございますm(__)m