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その 9

 あの後、悪魔を倒して──


「はあ、またかよ」


「本当、嫌になっちゃうよねえ」


 塔を出て──


「誰のせいだ、誰のせいでこ・う・な・っ・た・ん・だ!」


「え、ジンのせいでしょ?」


「俺じゃねえよ! なにそのもとから俺のせいで、みたいな言い方っ! どう考えてもユイのせいだろが!」


 森の中で──


「ああもうわかった、わかったよ。それなら私のせいってことでいいから」


「いいから、じゃない! 最初からユイのせいでまた森に迷ってるんだよ!」


──迷っていた。


「男ならそんな細かいことを気にしちゃいけないと思うんだよね」


「細かくないから! 全然細かくないから!」


 そこでその言葉を待っていました言わんばかりの勢いでユイは俺にこんなことを提案してきた。


「じゃあ細かくしちゃえばいいじゃない?」


「は?」


 俺はユイが言った意味がわからず、つい聞き返してしまう。


「だから、迷ったという事実が実は細かいことだったと思うような大きな話をすればいいんだよ」


「?」


 いや、それでも森の中で迷った事実は細かいことにならないのでは?


「ほらほら、迷ったことが忘れられるくらい大きな話をしようよ」


 そんな俺の考えとは裏腹にユイは楽しそうに話を進める。

 まあ、いいんだけどね。


「大きな話って言われても特に思い浮かばねぇぞ」


「そうなの? それなら私が大きな話してもいい?」


「? 別にいいぞ」


 迷ったことを忘れるくらいの大きな話って、かなりハードル高いぞ。


「私がする話っていうのはね、これからの話」


「へえ、これからの話か」


「ジンはさ……」


「なんだ?」


「ジンはこれからもさ……」


「だからなんだよ?」


「…………これからも私のことを守ってくれる?」


「──は?」


「だから……これからもジンは私の傍にいて私のことを守ってくれるかって聞いてるの!」


「そりゃ、守るに決まってるだろう」


 それが俺の生きる理由なんだから。


「本当に?」


「本当にだよ」


「本当の本当に?」


「本当の本当にだよ」


 ユイが確認するような、心配しているような、そんな目で俺の目を覗き込んでくる。

 なにをそんなに心配しているのだろうか?


「そっか、そうなんだ♪」


「で、大きな話はまだなのか?」


「えっ? 今のがそうだよ」


 ……なるほど、その話がどのくらい大きくて、どのくらい細かいかなんて人それぞれだもんな。


「さてと、それじゃあそろそろ宿に帰ろっか。そしたら学園に報告書を書いた後、その報告書を持ってイニティウム学園に届けに行こうね」


「あのな、いまは森の中を迷ってる最中なんだから宿には戻れないだろ?」


「? あ、そっか。そういうことになってたんだっけ」


 ……は? 


「実のところ、帰ろうと思えばもう帰れるんだよね」


「…………それはつまり、なんだ……塔の中と一緒で帰れないようにわざと道を間違えてたってことか?」


「そうだよ」


 こいつ、また肯定しやがった。


「あのな」


 ここは一度、きつく叱ったほうがいいな。


「こういうことは相手を不安にさせたりするんだからやめろ。というか、なんでこんなことをした?」 


 俺が少しきつい目でユイを見ていると、ユイは照れたように顔を横へと向け、


「だって、ジンがこれからも一緒にいてくれるか……心配だったんだもん」


 なんて可愛いことを言ってきてくれた。


「……それは」


 それなら、しかたないな。


「しょうがない、か。今回は」


 今回は許してやろうと言おうとしたその時──


「あっ!」


「? どうしたよ」


 ユイが急に大きな声を出し、


「私達っていまどこにいるんだっけ?」


 迷った宣言をした。


「……………………はあ、またか、またなのか」


「え~と、ごめんなさい?」


「疑問形で謝るなよ」


「はっ、ごめんなさいね」


「ふてくしながら謝るな」


「ぷっ、くく。ご、ごめんなさい」


「喧嘩売ってんのか?」


「じゃあどうすれば許してくれるのよ~」


「そうだな────笑顔で謝るなら、許してやるかな」


 俺がそういうとユイは明らかに不満そうな顔をして俺のことを(さげす)むような眼で見てくる。


「……………………」


「なんだその『なにこいつ、変態じゃないの? きも~』っていう目は?」


「そんなこと思ってないって。ジンって自意識過剰なんじゃない?」


 む、そんなことはないと思うのだが。


「ねえ、ジン」


「次はなんだよ? また新しい謝り方でも浮かんだのか?」


「うん。その通りだよ」


「へえ、次はどんな謝りかたを──」


 するんだ? と、俺が聞く前に、



「ごめんね♪」



 ユイが笑顔で謝ってきた。


 まったく、ユイの笑顔は本当に卑怯だ。


 なぜかって?


「──……おう」





 ユイが笑顔ならそれでいいかって思えてくるからかな。



三章・完


読んでいただきありがとうございますm(__)m


それで三章のはじめに書いた予定についてですが……未定とします!


すいません、本当にすいません(--;;

本当は月一、一万字くらいと考えていたのですが就活以外にもしなくてはいけないことができてしまい、どれくらい忙しくなるか予想がつかないので未定とさせていただきました。

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