その 2
「さてと、私はこれからこの報告書を学園に届けに行くとするかな」
「へ?」
「なんだ、ジン? 変な声を出して」
「……なんだって言われても。ユイと俺はまだ出かける準備してないぞ?」
「いや、ユイとジンは出かける準備をする必要はない。というより、ジンはそもそも準備するものがないのでは?」
「あ」
そういえばそうだな。
「なんだ、気付いてなかったのか?」
う、そうなんだが、
「そ、そんなことはないぞ。たとえば、例えばだな、こころのだな……そう! 心の準備が必要なんだよ!」
動揺しまくってるな──俺。
「はは、そうだな。確かに心の準備は必要だな」
「だろ!」
必死になる俺、そんな俺をからかうミオ。
「そっか、ミオちゃんもう行くんだ」
「ああ。なるべく早くこの報告書を提出しないとな」
「あれ? えっと、ユイはいかないのか?」
「うん。私はまだ執行部から受けた依頼があるからね。今回だって、コンビを組めたのはたまたまだもん」
……そうだったのか。俺はてっきりユイとミオはコンビを組んで依頼をこなしているのかと思ってた。
「そっか、それなら」
「ああ、ここでお別れだ」
「…………」
なんか、今生の別れみたいな雰囲気で寂しい気持ちになるな。
「そんな顔をするな、これが今生の別れというわけではないぞ?」
どうやら気持ちが顔に出ていたらしい。
「……それはそうだけど、やっぱりというかなんというか、寂しいものは寂しい」
「そうか。しかし、次に会えたときは寂しかったぶん嬉しいと思わないか?」
「──なるほど、そういう考え方もありだな」
「ああ、そういったふうに考えれば少しは次に会える時が楽しみになるだろう」
いいな、その考え方。俺も今度から別れる時はそう考えよう。
「むふふ♪」
「……なんだユイ、その気味の悪い笑い方は」
「いやね、ジンに対しては優しいんだな~って」
「なっ! そそ、そんなことはないぞ! 私は普段通りでいつも通りだ!」
普段通りといつも通りって同じ意味だと思うんだけど……。
「そんなに慌てなくてもいいのに、もしかして自覚して優しく接しているのかな?」
「うう、うる、うるさい! 私はいつも通りだっ!」
おお、慌ててるミオっていうのはやっぱり新鮮だよな。いつもクールだから、その分のギャップがなんとも言えない。
「あはは、そうだね。ミオちゃんはいつも通りだよね」
「っ~~~~」
「ねぇねぇ、ジンはこういうミオちゃんのことをどう思う?」
「いや、もう可愛すぎだろ」
お持ち帰りしたいくらいだ。
「ユイっ! ジンっ!」
「どうどう、ミオちゃん落ち着いて」
「興奮させているのはどこの誰だと思っているんだ!」
「わ・た・し(ハート)」
「ハートをカッコでくくるな!」
「あはは!」
「笑うな、ジン!」
~十分後~
ユイとミオが長く言い合ったせいか、二人とも疲れたらしい。
「まったくもう。ただ別れるだけなのに、なんでこんなに疲れるんだろう?」
「それは私のせいではなく、明らかにユイのせいだ」
「その話はさっき終わったばかりでしょ」
「………………」
ミオは納得していなさそうな顔をしているな。
「まぁいい。今度こそ、さよならだな」
「そうだな」
「いやいや、ここはまたね。でしょ」
「……そうだな」
「なるほどね。俺もそっちの言い方のほうがしっくりくるな」
「でしょ!」
「それじゃ、また今度だな」
「ああ。またな、ミオ」
「またね、ミオちゃん♪」
そういって、ミオは俺達から遠ざかっていった。
……次に会うときは、もっとからかってあげよう。
「今度はもっとからかってみようかな」
小さな声でユイはそう呟いていた。どうやら俺と同じことを思っていたらしい。
「それじゃ、私達も行くよ」
「んっ、どこに行くんだ?」
「次の依頼をこなしにだよ」
ああ、そういえばユイは執行部から別の依頼を貰っていたんだったな。
「そっか」
「そうなのです」
「……で?」
「ん?」
「だから、どこに向かうんだ?」
「あ、それはあっちのほうだよ」
ミオとは反対の方向だな。
「それじゃ、俺達も行くか」
「む、だから私はさっきから行くよって言ってたじゃないの」
「わかってるよ」
「わかっているならよし。出発!」
「はいはい」
ユイは元気だな、しかし次の依頼ってどんな依頼なんだろう?
やっぱり悪魔退治になるのか?
クーデレミオちゃんというキャラにしてみたが、少し強引だったか……。
読んでいただきありがとうございますm(__)m




