表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/28

その 8

俺がその光景に見惚(みほ)れていると、白いオオカミがユイに押され始めているのに気づいた。最初のほうは白いオオカミが圧倒していたが、時間が経つにつれ互角になり、最終的には立場が逆転していた。


「……本当に凄いな。ユイがこれだけ強いってことは、ミオもあれくらい強いのか?」


 俺はユイの戦いぶりを見てショックを受けていた。

なぜなら、俺自身があいつらみたいに強くなれるとは思えないからだ。わかってはいたが、まるで俺は必要ないじゃないか。

 そのことで落ち込んでいると、


「がぁぁぁああぁあぁ」


 白いオオカミがユイによって振るわれた斬撃をまともに受けた。そしてそのままユイが続けざまに一撃を与えた。そして、その一撃により白いオオカミは致命傷を受け死に絶えていくのがわかる。

 結局、白いオオカミの魔法は言葉通りに牙や爪を強化するためだけの魔法だったのだろう。

そう考え、そこで勝負がついたかのように俺は思ったのだが──


「……こんなもので許されると思わないでね」


 ユイは攻撃を止めなかった。途中で白いオオカミが命乞いをしているようにさえも見えた。

だが、ユイは白いオオカミへの攻撃を止めようとはせず、もう死んでいるはずの白いオオカミに対して何度も何度も斬撃を与えた。しかし、返り血を浴びながらもユイはその行為をやめずに続けた。


「おいおい」


俺はその行為があまりにも酷く見えたので、ユイを止めに行こうとした。

──その時、


「もし、今あれに近づいたらジンも殺されるよ」


 ミオに後ろから声をかけられ、止められた。


「ミ、オ?」


「そうだが?」


「お前、いままでどこに──って、今はそんな場合じゃなかったな。ミオ、あれはいったい何だ? ユイはいったい」


「だから言ったじゃないか、ユイが悪魔と戦っていると狂人化するって」


「……いや、言ってないから」


 そんなこと一言も聞いてねえ。


「そうか? 言ったような気がするが」


「気のせいだな。それよりもっと詳しく教えてくれ──狂人化するっていうのはどういう意味だ?」


 それが、ユイがいまああ(・・)なっている理由なのか?


「さてな。私も詳しくは分からんが、狂人化するのは悪魔が関係していると予想している」


「?」


 悪魔が関係している?

 俺がその真意を知りたく、ミオに聞こうとするが、


「さっきも言ったが、私も詳しいことは知らない。どうしても知りたいというのならば本人に聞くことだ」


 どうやら、ミオも知らないらしい。


「……わかったよ。今はそれよりもユイを元に戻すにはどうするか、だよな」


「それは……力尽くで元に戻させてもらう」


「あのな、俺は真面目に聞いているんだぞ?」


「私だって真面目に答えている」


「はぁ?」


「仕方ないだろ、いままでも何度か狂人化したところを止めた時はあるが、他に方法が見つからないのだから」


 ……しかし、力尽くっていっても今の狂人化っしたユイにミオは勝てるのだろうか? 

もし、ミオにまで何かあったりしたら、


「そんな心配そうな顔をするな」


「えっ?」


「今のお前は『ユイや私が心配で仕方がない』といった顔になっているぞ」


「そ、そうか?」


 どうやら心配していることが顔に出ていたらしい。


「そんな心配は無用だ、今回が初めてじゃないと言ったろ。……だが、それも絶対ではない。もしものことがあったらすぐにこの場から逃げろよ──いいな」


 そう言って俺には有無も言わせず、ミオはユイのほうに向かっていった。


「なっ、おい!」


 行っちまったよ。……言いたいことだけ言いやがって。 

 そして、ミオがユイの近くまで辿り着き、ユイと対峙する。


「そこまでだ、ユイ」


「……ミオちゃん? なにがそこまでなの?」


「その悪魔のことだ。その悪魔は放っておけば後は勝手に消えていくはずだ」


「それで?」


「もうこれ以上攻撃をする意味がないからそこまでにしろ、と言っているんだ」


「たしかに、ミオちゃんにとってはもう意味がないかもしれないね。でもね、私にはこの悪魔を殺し続ける意味があるんだ」


 悪魔を殺し続ける意味? 

 何のことだ?


「……そうか。しかし、その意味が何なのかは知らないが──それ以上の攻撃は私が許さない」


「どうして?」


 そう聞かれると、ミオは少し悲しそうな表情をした後にこう言った。


「それは……これ以上ユイが壊れるところを見たくないからだ」


「壊れる? 私が? くすっ、なにを言うかと思えば……ミオちゃん、私は壊れないよ。だって、まだまだ悪魔を退治しなくちゃいけないから」


 いやいや、壊れまくってるって。


「もう一度言う。今すぐ攻撃をやめろ」


「いくらミオちゃんの頼みでも、それは聞けないよ」


「そうか……ならこれ以上は口で言ってもしかたないだろうな。だから──」


「だから、なに?」


「力尽くで、止めさせてもらう」


 そう言ってミオは背中に背負っているレーヴァインを抜きユイに対して構え始める。


「はあ、ミオちゃんが相手だと私…………手加減できないよ? だから、死んじゃっても恨まないでね」


「ふん、言ってくれる。そちらこそ死なないように気をつけろ」



 ──そして、二人は衝突した。



悪魔との決着があっけないような……、次こそは頑張ろう。


読んでいただきありがとうございますm(__)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ