EP5 アントロー①
地図を貰い俺らは地図に記されたアントローの生息地に向かっている。
「そういえば、アントローって表世界のアントローと同じ魔物なのか?」
「えぇ、恐らく表世界で会った奴とはリザーマンと同じように強いだろうけど、あのアントローで間違いないと思うわ。リザーマンの生息地の近くに住んでいるみたいだし」
表世界にもアントローという魔物が住んでいた。その魔物はアリのような姿に腕にはカマキリの様な鎌を持った魔物で主にリザーマンを捕まえ食らって生息している為、リザーマンの近くには必ずアントローが住んでいたのだ。
「あ、居た」
黒い体に腕に着いた銀色の鎌がギラりと光っている。
アントローが目の前を歩いていた。
姿形は表世界で見たアントローと大差ない、少し大きいぐらいか?違う所と言ったら
「リク、攻撃してみて」
「え!?い、いきなり!?」
「はい。」
セフィーは俺に大剣を渡した。
「う、うぅ…やっぱやらなきゃダメか?」
「今更何言ってるの?ほら、行く!」
「はい………」
いやだな…改めて見て思ったけどあの鎌で斬られたら痛いんだろうなー………表世界ではチートモードでアントローの鎌で斬りつけられた所でノーダメで軽く大剣を振って返り討ちにしてやったが。今の俺実力じゃあそうは行かない・・・。
「うおらああああ!!!」
俺はアントローに向かって大剣を振り上げ突撃した。
アントローの生息地へ向かいに街を出発する前、俺達はアントロー狩りの作戦を立てていた。
アントローはリザーマンと同じく群れで生息しているが
知能が高く群れで常に陣形を組んでいる。
具体的には、弱い個体が囮となり。獲物を襲うと続けて隠れていた強い個体が獲物を襲う、更に強い個体の裏に潜んでいた強い個体のアントローが襲う。
…こうして次々と襲撃して、格上の魔物でさえも集団の力で殺しきってしまうのだ。
「だけど、襲われると最初からわかってんならこっちのもんだな。」
「なら俺!囮の奴と戦うよ!」
後続のアントロー程強いってわかってるんなら囮と戦うのが安全だ。
「それって弱い個体で楽したいんじゃなくって?」
「ち、違うよ〜!それに弱い個体つっても俺にとっちゃ全然格上なんだから!」
「俺もリクに賛成だぜ。セフィー。それに俺も久々に暴れたいんでな。」
アニーはゴキゴキと拳を鳴らす。
「分かった。ただし、囮のアントローはリクが一人で倒すこと。良いわね?」
「わかったよ」
アントローに向かって大剣を薙いだ瞬間切っ先は制止させられた腕の鎌と大剣の刃がぶつかり、火花が一瞬散ったかと思えばアントローは空いた片腕の鎌で俺の首を斬りかかった所を俺は仰け反り回避した。
シャリシャリシャリシャリ…
アントローが口から音を鳴らした。これがより強いアントローを呼ぶ合図だ。頼んだぞ…。アニー…!
その直後、4体のアントローが俺に向かって何処からともなく飛び掛ってきた!
すると、アニーが大斧で飛び掛ってきたアントロー達を返り討ちにした。しかし、アントロー達はアニーが振るった大斧の攻撃を両腕の鎌で受けてダメージを軽減していた。
「ハッ!!やっぱ強いってのはほんと見てえだな!!」
俺の背後に立ったアニーは大斧を構える。
俺は俺で目の前のアントローに集中している。
囮のアントローがもう一撃を持ってきたから大剣で受け流す、受け流されたアントローはもう片腕の鎌で斬り掛かり逃げる手段がない俺は腕で囮アントローの鎌攻撃を止めた!
「ふぅ…良かった…使えた…。」
レベル45まで上がり身体の一部分の硬化が出来るようになっていたのだ。向かう途中でセフィーにやり方を教えて貰い今始めて実戦で使ったが悪くない、ちゃんと扱えてるようだ。
俺は硬化した片腕で振るい囮アントローの顔を殴打してやった。アントローはそのまま横に吹っ飛び木に衝突した。
一方アニーは4体のアントローの内一体のアントローが斬り掛かると思いっきり拳でストレートを顔に食らわせ、よろめいた所で後ろ足を掴み持ち上げた。
ちなみに強個体になるに連れてサイズがでかくなっているのだが、このアントローは3メートル程身長がある、その自分よりでかい図体のアントローを片腕で軽々と持ち上げるとグルングルンと回転させ、そのまま遠心力を利用して3体のアントロー向けて投げた一体はギリギリで逃げたが2体のアントローには命中した。
ドガーーン!!と音を立てて倒れたアントロー達は地面に重なって伸びている。
アニーは大斧を振りかざしトドメの一撃を食らわせた!まとめて葬られた3匹のアントローの屍から魔霧が漏れ出ている。
「逃がすかよ!」
直ぐさま3体のアントロー斬り地面に刺さった大斧を引き抜くと木の上に止まっている逃れたアントロー目掛けて両足をバネにして真っ直ぐ飛んだアニーは空中で大斧を振りかざした。
シャリシャリシャリシャリ…
だが、その刹那飛んだアニーの背後に増援に来たアントローが斬撃をお見舞いした。
「うお!!?」
アニーは地面に着地して体勢を整える。上を見ると木の上に5体のアントローがアニーを見下ろしている。
シュババババババ…!!!
俺は囮アントローの連続斬りを硬化した片腕で止めて耐えている。硬化した片腕で殴ったのに一瞬にして復活しやがった…!直ぐさま飛んで来て連撃を食らわせに来たからこっちの反撃の隙がない………!
ふと、上を見ると空から別のアントローが俺の頭目掛けて鎌を振りおろそうとしている姿が目に写った…!!
「えっ。」
しかし、鎌は俺の頭を捉えることなく、頭上のアントローは何者かの攻撃を食らって横に吹っ飛んだ。
俺を頭上から襲ったアントローに攻撃を食らわせたのは強個体のアントローと戦闘中のアニーだった。
「ちょ、どうなってんだ!?」
「わーるい!更に増援を呼ばせちまった!」
「ちょっと!勘弁してよ!」
「お前はその一体に集中しててくれ!」
「む、無茶言うなよ〜」
「お前の所に攻撃が行きそうになったら俺が今みたいに迎撃するから…よ!!!」
アニーは話しながら襲ってきたアントローを斧で迎撃する。
「次は一体もこっちに連れてこないでくれよ。怖いから…!」
「ハハッ!」
「ん?」
「なんとも情けねぇ勇者さんだな」
「っせ。セフィーみたいな台詞言うなよ」
「あぁ、安心しろ"もう一体"もそっちに寄越さないぜ」
アニーはそう言うと、俺の背から離れた。
さて、そろそろ反撃しないと…俺の体力が持たないな…
硬化には魔力を使うから、持続してるとそれだけ魔力を消費する、ましてや俺は硬化を扱えるようになったばかりで魔力の使用配分が掴みきれていない、その為数分間発動してるだけで体力を大幅に消耗してしまうのだ。
いつまでも連続斬りしても切りがないと思ったのか、囮
アントローは連撃を一瞬やめたかと思えば振り上げる体勢に入った。
その隙を見逃すまいと俺は連撃を止めていた片腕を大剣の持ち手に添えて、振り下ろされる鎌の腕目掛けて斬り上げた!
だが、囮アントローも俺の反撃に気づき、振り下ろした腕の軌道を変え俺の反撃を躱した。
俺は斬り上げた時の時の勢いを両腕に力を入れることで抑えると、切っ先の方向を変えて斜め下に振り下ろす!その先には斬り上げを躱した直後の囮アントローがいたが、ギリギリで頭は躱されたが肩に刃が命中した!!
斬撃を受けた囮アントローの肩から白い血が吹き上げる。
シュウウウウウウ…
アントローは呻きながら後方に飛ぶと…一目散に逃走した!!
「あ!!待て!!!」
俺は逃げた囮アントローを追う全速力で…何故ってそうしないと…嫌な予感がする……!
全力で逃げる囮アントローを全力で追い掛けていると、向かった方向に大きな影が見えた。
そう、囮アントローが負傷し逃走した先には群れの親玉のアントローが待ち構えていた。
「あーあ…やっぱり殺られたか、コイツ、もう一人が増援と戦ってるのをわかってこっちに逃げただろ?」
シュアッアッアッアッ………
囮のアントローは口から音を鳴らした。これは敵を挑発する時に鳴らす音だ。
「ムカつく…!!!」
いや、挑発に乗ってはダメだ。囮のアントローの背後に立つ親玉アントローとの戦闘になったら本当に今の俺じゃあ生きては帰れないだろう。だけど、俺はこの囮アントローを仕留めなきゃならない…!!
「た、頼むからこっちに来てくれ…!手加減するから!」
幸いにも親玉アントロの顔を見ると居眠りしているようだ。もしかしたら直接戦闘を避けられるかも・・・?
シュル!シュルルア!シュルルルルア!!
………ジュラァ?
マァ、ソリャーオコシマスヨネー……
親玉の近くに逃げたのに起こさないワケがないんだから・・・。
目を覚ました親玉アントローは隣で肩を抑えて負傷アピールをしている囮アントローに目を向けた後そのまま目の前に目を向けた。その視線の先には当然俺がいる。
「あのー…ははは………」
ひ・・・人違いですよー。
・・・なんて言葉が通用する訳無いか。
これは逆に俺も逃げてアニーの所に誘き寄せるしか勝つ手は無いな…!!
その刹那の事だった。
目視30メートル先に立っていた筈の親玉アントローが至近距離まで移動していた。
その移動速度は最早、瞬間移動に等しい。
間合いを詰めた親玉アントローが巨大な鎌の腕を振り下ろすその間総計2秒。
俺は硬化した腕で振り下ろされる鎌を止めたが威力に負けて硬化部分が割られてしまった!
そのまま俺の腕がザックリ抉られて森の木に俺の鮮血が飛び散った。
アントロ・・・・・・巨大な蟻型の魔物




