表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

手荷物検査で引っ掛かり尋問される

作者: GONJI

私の母方は実家が愛媛県なのです

その実家では50年ほど前までは、家の裏口を開けると低い防波堤があって、その向こうに砂浜が広がっていました

すぐ横には漁港があって朝の早くから多くの漁船がポンポン音をたてながら漁に出ていくのですが、学生時代の夏休みに長期滞在しているときなどは窓を開けて寝ているので、その音でよく目が覚めたりしていました

そして真夏でも朝方は寒いぐらいだったのです

今は漁港が整備されて海は遥か彼方へ遠ざかりました


母方の先祖は名字帯刀を許された廻船問屋をしていたそうです

その名残なのか祖父は漁師で網元をしていたらしく、引退後も朝早くに港に出て行き、何やら魚を分けてもらってきていました

それが朝ご飯のおかずになったりするのです

一番驚いたのはふぐの煮付けが出てきた時です・・・ふぐを煮付けにするんや!初体験でした

でも、当然味は白身のほろほろした食感なので美味かったですけどね

そう言えば、祖父がふぐを捌いていたよなぁ・・・昔はそれでも良かったんやなぁ・・・知らんけど(笑)


さて、私が中学2年生の夏休みの時に、大阪府堺市在住の母の弟の長男で同じ年、同じ性別の従兄弟とこの愛媛県の母の実家へ長期滞在に行くことになった時の話です

当時の私は二枚刈りの坊主頭でした

なんせ大阪市内で唯一残っていた坊主頭にしないといけない公立中学校へ通っていたのです

従兄弟は坊主頭ではありませんでした


大阪国際空港・・・関空じゃないですよ!当時、関空はまだありませんでした

伊丹空港ですね

うちの母親と従兄弟の母親の二人に送ってもらいました


松山空港まで50分のフライトです

当時は大阪(伊丹)空港~松山空港を国産旅客機であるYS-11というプロペラ機がメインで運航していました

今はもうないよなぁ・・・


搭乗口へ向かうのに手荷物検査場を通った時のこと・・・

この場所はいまもそうなのですが、見送りのお客さんからも様子が見えるんです

ここから中へ入ると姿は見えなくなるのですね


手荷物検査機の中を通るコンベアに私の機内持ち込み鞄を載せて検査機内を通した時のことです

ピンポンピンポンと景気の良い音がしました

あれ?

私はもちろんそう思いましたが、坊主頭の中学生の荷物が引っ掛かるとは思っていない検査員さんもあれ?という怪訝な顔をしていました


さあ、そこから取り調べが始まるのです・・・

この鞄を持ってこちらに来てください

と言っても、ベルトコンベアの横に置かれたテーブルの方なのですけどね

検査員さん「中に何か危険物が入ってますか?」

私「え?いやぁ・・・そんなん入れた記憶はないですけど・・・」

検査員さん「鞄を開けて中を見せてもらえますか?」

私「はい」・・・まぁ、別にハイジャックしようなんて微塵も思っていないのでねぇ

鞄のジッパーを開けてみる


この時、見送りに来ていたうちの母親といとこの母親も何があったんや?という心配そうな顔でこっちを見ています

従兄弟も隣に立ってどうなるか見ています


ジッパーを開けると・・・なんと・・・一番上に・・・透明のプラスチックの筆箱が入っていて、そのなかに文具用の鋏が入っているではないですか!


私「こんなん入れてたんや・・・忘れていました」

検査員さん「これねぇ・・・また一番上の出しやすい所に入っていましたよね・・・せめて一番下やったらなぁ・・・」

私「そうですね・・・」

検査員さんが何人かで相談しています

そして!

検査員さん「これ機内で絶対出さないでくださいよ」

私「解りました」

検査員さん「じゃあどうぞ通ってください」


と鋏を没収されることも無く事無きを得ました

今では没収でしょうねぇ

まあ、坊主頭の中学生ですから悪さをするようにも見えなかったのでしょう


松山から大阪へ戻る時はどうした?

もちろん預ける方の荷物の中に入れました(笑)


今から思えばまだまだ穏やかな時代だったのですね



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
時代を感じました。すごく面白かったです!関空なかったんだ!と衝撃を受けました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ