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君の横顔は  作者:
6/6

5

桜が咲き乱れた三月の朝。

高校の合格発表を見に、ひとりで学校へ向かった。

親は仕事で来られなかったし、そもそも結果はわかりきっていた。


選んだのは、家から歩いて十五分ほどの学校。

部活や進学実績には興味がなかった。

通いやすくて、余計な手間がかからない。それで十分だった。


校門をくぐると、見知った顔がちらほら混じる人ばかり。

いろんな中学校の制服が集まって、朝の空気が少し熱を帯びている。


吊り下げられた紙に、自分の番号を見つける。

予想通り、受かっていた。

この学校は毎年定員割れしていて、落ちる方が珍しい。


ふと、視線を下に向ける。

人の多さに少しうんざりしていた、そのとき――ふと、何故か視線が止まった。

まだ少し肌寒い三月。紺色のセーラー服に白いマフラー。

その隙間からのぞく頬と鼻は、春の空気でほんのり赤く染まっている。

首筋まで垂れた高く結んだ髪が、風に揺れた。


次の瞬間、親らしき人物に向かって無邪気そうに笑う顔が見えた。

理由はわからない。ただ、その瞬間に――この人と関わることはないだろう、そう確信していた。


踵を返して足を進める。

たどった道をそのまま戻り、イヤホンを耳に差し込み、音楽を流しながら家路についた。


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