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君の横顔は  作者:
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2


彼を目で追ったのは、

あの日の、ほんの一瞬だけだった。


それだけで十分だった。

そう思おうとした。


あの背中が、

何かを変えてしまうような気がして――

これ以上は、もう見ないようにしようと決めた。


教室で見かけても、

目が合いそうになっても、

すぐに視線を逸らした。


彼の名前も知らないままでいい。

知ってしまえば、

もっと気になってしまう気がしたから。


関わらなければ、きっと何も起きない。

知らなければ、きっと何も揺れない。

知らない振りをすれば、遠ざかるはず。


そんなふうに思いながら、

自分は新しい日常に馴染んでいった。


クラスメイトとの会話。

教科書を開いて、ノートをとる毎日。

廊下で笑う声。

少しずつ、自分の居場所ができていく。

その居場所は高校生活では欠かせないようになった。

これが今まで楽しみにしていた学校生活があった。

放課後には一緒に帰り、たまには遊び、そんな楽しい生活を送る。


でも、たまに思い出す。

あの日の春の風に揺れた黒い髪と、

振り返らなかった後ろ姿。


見なかったことにしたはずなのに、

心の奥で、まだ風がそっと吹いている。

チラつく彼の姿をどこかで探したいと思っている自身がいた。


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