2. 3人よればカオスに踏み込む
「…うー」
あんなに楽しみにしていた仮想の世界。
しかし、PC初心者には難しすぎて分からないことだらけだ。だが、毎回マルさんに頼る訳にもいかないだろう。
どうしたものか、そんな思いから数日が経ってしまった。だからといって、あんなに親切に教えてもらったのにすぐ辞めてしまうのも何だか不誠実だと思って勇気を出してもう一度ログインすることにした。
マルさんは、ログインしてないんだな。
前回行ったワールドには初心者オススメの別の世界への扉が置いてあったのでそこへ行ってみることにした。
一応、ボイスはONにしておく。一応ね。
思ったより人がいない…というか既にグループになってて話しかけずらい。
?「どうもー」
「きゃあ!!!」
急に話しかけられて思わず大きな声をだしてしまった。
そこには眼鏡をかけた優しい女性アバターが立っていた。ケモ耳がぴこぴこしている。かわいい。
「す、すすす、すみません…」
?「いえいえ、びっくりしますよね。」
なんだこの人、聖母か?と思いながら清楚な見た目から発される声はやっぱり男性の声だった。
「自分も初心者なんですよ。トミタといいます。」
そう言って手を振ってくれる。
トミタさんも数日前に同じ動画を見てゲームを始めたらしい。楽しく会話してるとそこにピョンピョン跳ねながら青いウサギのアバターがきた。
美少女アバターでもなく何かこう、Theメタバースといった感じのアバターだ。あれだサマーウォーズにこんな感じのいた。
?「ちわーーっス!」
大きな声で挨拶されたのでトミタさんと一緒に挨拶をし話し始める。名前が英語なので読めなかったがバウンディさんというらしい。
めちゃくちゃ屈伸しながら横に跳ねている。
なんか見た事あるぞ。この動き方…てゆうかめちゃくちゃカチャカチャ聞こえるし。
「…もしかしてFPSとかやってらっしゃいます?」
「え!なんで分かるんスか?!」
いや誰がどう見ても分かるだろう。なんかもう忙しないもん。ずっと動いてるし、
「いや自分もこのゲーム始めたばっかでー」
「「おー!」」
なんと3人とも始めたばかりと言うのだ…なんか嬉しい。同じ動画の影響なのだろうか?
「せっかくなのでなんかワールドでも行きましょうか」
「あ、いいっスねー」
トミタさんが教えてくれたワールドに3人で行くことにした。
そのワールド名は、なんとか横丁だ。
ん?それ、なんか聞いた事あるような…
よく考えると見た実況者の動画コメントに面白いので行ってみてください!!と書いてあった気がする。
その後に続くコメントは見なかったふりをしたが
その世界をダウンロード中している時にそんな事を考えていた。
ダウンロードし終わり世界が読み込まれた。周りを見渡すとそこはなんというか、一言で表現するならカオス。雰囲気的にはスラム街…そんな感じの世界だった