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老人は見つからず、手がかりも得られず、困惑だけが胸に重くのしかかったまま舞台下へと歩く。
リクエスト曲の演奏が無事に終わり、拍手が続いている。
舞台の上では、後半に向けてもう次の準備が進んでいた。
私は深く息を吸う。
今日は感情が揺さぶられてばかりでひどく疲れている。
戻ると、団長がじっと私を見ていた。
「……なんかあったか?」
「いえ…大丈夫です」
なんで説明したらいいのか分からず言葉を濁してしまう。
少しの間。
それから、ふっと笑う。
「まぁいい。反省会で吐け」
「え?」
「今日の主役はお前だな」
「は?」
「もう仲間なんだ、隠し事はなしだ、諦めな」
軽く肩を叩かれる。
リュミも団長の横で、ブンブンと音がしそうな勢いで頷いている。
…心配、かけちゃったな。
「後半いくぞ。止まるな。流れは切るな」
舞台に2人が駆け上り、団長が声を張る。
「後半も盛り上がっていくぞ!」
太鼓の音を合図に、団長が歌い出す。
笛と弦楽器の音に合わせて、光の蝶々が現れる。
蝶は踊るリュミの周りへと集まり、光の粒となり消える。
観客の拍手がさらに大きくなった。
後半の演奏の始まりだ。
止まらない。
流れを切らない。
夜はまだ、終わらない。
私も次の仕掛けの準備がある。
やるべきことをやらなくては。
私は舞台下の魔力灯へ走る。
後半は夜空いっぱいの光の演出だ。
そちらはユーシリアさんの担当。
私は邪魔にならないよう魔力灯を落として回った。
花火が打ち上がる。
魔力の光だから熱はない。
子どもも大人も、降りてくる光へ手を伸ばしている。
次の曲が始まる前に、急いで客席へ伸びる光の帯の先端へ向かう。
この帯に魔力を流して光の川を表現するのだ。
次の曲が始まった。
出力を調整し、光の帯へと魔力をゆっくりと流し込む。
指先から広がった光が、音にぴたりと重なる。
練習の時より上手く光らせることができてホッとする。
皆が次々に変わる仕掛けに興奮している。
1曲、1曲、丁寧に変化をつけたおかげだろう。
いよいよ、最後の曲だと団長が告げた。
楽器を掲げて大きく手を振り、深く礼をしてから演奏が始まった。
締めくくり、最後の曲。
今日もまた舞銭が壇上に次々に投げ入れられる。
太鼓が跳ねるたびに小さな火花が弾ける。
笛の旋律に合わせて光の蝶が高く舞い上がる。
空には小さな花火が弾け、観客席の光も淡く強弱させる。
蝶が客席まで飛んでくる。
客席から歓声が上がった。
子どもたちが光の蝶々を捕まえようと手を伸ばしている。
音も光も、練習の時以上に完璧に重なっていく。
私も最後まで集中して魔力を光へと注ぐ。
団長が高らかに歌い上げ、リュミがくるりと舞い、最後の一音が静かに消える。
一拍の静寂。
——そして、爆発するような拍手。
今日も大成功だった。




