七色蝶々と姫君
今日も視線は窓の外、生きた絵画を眺めてる。
空をふわふわ流る雲。色とりどりの花畑。風にそよそよ揺れる木々。
彼女はきれいなお姫様。優しい優しいお姫様。寂しい囚われお姫様。
一人ぼっちで塔の中、独り囚われお姫様。
姫様ここに閉じ込めた、犯人誰だと思います?
いじわるお妃? 悪い魔女? それとも、こわぁいモンスター?
いえいえ、そうではありません。
閉じ込めたのは、国の民。姫を信じる国の民。
とても貧しい、姫の国。
けれども、民は幸せさ。奇跡の姫君、ここに在り。
姫が祈れば畑には、たくさん実りが訪れる。姫が願えば泉には、命の水が溢れ来る。
「姫様いなけりゃ私たち、一人残らず死んでしまう」
誰かが突然言い出すと、それを恐れた国の民、姫様塔に閉じ込めた。
心優しいお姫様、愛しい民を守りたい。だから姫様、逃げられない。
今日も祈るよ、塔の中。
ある日姫様、恋をした。生まれて初めて、恋をした。
熱い視線のその先に、いるのは一体誰かしら?
素敵な異国の王子様? 強くて凛々しい騎士団長? 優しい農夫の青年か?
いえいえ、そうではありません。
姫様恋のお相手は、なんとヒラヒラ蝶々さん。七色キラキラ蝶々さん。
空の青さに映える羽、自由気ままに宙を舞う。
「あなたは何て美しい。あなたと共に行きたいわ」
蝶と自由に恋い焦がれ、胸が苦しいお姫様。祈りを忘れて泣き暮らす。
そんな姫様見ていたの、窓の外から蝶々さん。蝶々も姫に、恋をした。
「あなたは何と美しい。私と共に行きましょう」
ヒラヒラ蝶々舞い降りた、涙に濡れた、姫の手に。
姫様そっと口付けた。七色きれいな蝶の羽。
すると、辺りが輝いた。淡い光が、塔包む。
姫様そっと目を開けた。身体がふわふわ羽のよう。
蝶々になったお姫様。
「さあ姫、一緒に行きましょう」
七色蝶々に導かれ、窓の外へと飛び立った。青い空へと、飛び込んだ。
暖かい陽に照らされて、柔らかな風に包まれて、ふわふわヒラヒラ宙を舞う。
自由を手にしたお姫様、嬉しさ一杯お姫様。
ところが、姫様涙した。
街で目にした光景は、飢えに苦しむ国の民。姫を信じる国の民。
祈りを忘れた姫様を、民は決して責めはしない。
「姫様塔に閉じ込めた、罪深いのは私たち。これは報いと言えましょう」
小さな子供も老人も、みんな笑ってそう言った。笑って苦しみ受け入れた。
愚かで優しい国の民。愛しい愛しい姫の民。
「あなたと共には行けないわ」
七色蝶々の傍離れ、姫は祈るよ、民の為。
国の人々、驚いた。
一匹の蝶、金の蝶。姫の髪色、金の色。
金色の蝶、サッと舞う。神に捧げる舞のよう。きれいな姿は、姫のよう。
国の人々、涙した。
飢えた身体を癒すように、舞うのは愛する姫君と、悟ってハラハラ涙する。
七色蝶々舞い戻り、姫の傍ら寄り添った。
「共に祈りを捧げましょう」
すると、辺りが輝いた。淡い光が国包む。
二匹の蝶々、舞い落ちる。
命を削って民の為、祈りを捧げ、舞い落ちた。
国中光が満ち溢れ、畑も泉も恵み満つ。
けれど、二匹は動かない。寄り添うように、土の上。
優しい優しい国の民、色とりどりの花植えた。たくさん蝶々が舞えるように。
ひときわ大きく咲き誇る、七色の花、蝶々色。
空に輝く太陽は、暖か金色、姫の色。
国の人々誇らしげ、天を指差しこう言った。
「我らが姫君、ここに在り」
独り囚われお姫様。
蝶々になったお姫様。
空に輝くお姫様。
今日も祈るよ、民の為。
童話第二弾です。
優しいお姫様と蝶々の物語、いかがでしたか?
姫君亡き後、残された民たちはどうなったのか?七色蝶々と姫君は、一緒になれたのか?
それは皆様の御想像にお任せします(*^^)v
書いていて、ずっと引っかかっていたことが一つあります。
……蝶の数詞って、「匹」であってますか?(汗)