2024年2月27日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#125 アフター5(アフターファイブ)
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
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②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
サイト投稿回数 第72回目の今回は………
2024年2月27日放送。
妄想【愛の劇場】#125 アフター5
太陽の明かりを受けながら、ぼんやりと光を放つ三日月の形は鋭さを欠いていた。
街灯の明かりで何とか周りが見える公園の林の奥の方から、高らかに笑う幼い声が聴こえてきた。同時に不安と恐怖を紛らわす様な悲鳴と怒号に入り雑まじり、いくつもの足音が津波のように押し寄せて来る。
暗がりから、人々が何人も飛び出して来た。
「さあ!こっちだ!明るい方へ!」
声の主をひと目見て、声を上げた。
「ああ…あなたは、アフター5」
アフター5と呼ばれた者は、にっこりと微笑んだ。
「急いで!急いで明るい方へ走って!」
「アフター5ありがとう」
「ありがとう、アフター5」
アフター5と呼ばれた者は人々に声をかけながら、安全な方へ誘導していく。夜ということもあり大人達がほとんどであったが、中には塾帰りの子供も何人か混ざっていた。
「よく頑張った!もう少しだ!」
「アフター5だ!」
ニコリと笑いながら子供たちの背中を押す。
一緒に走る大人達に子供達を任せて、アフター5は最後の一人の背中が消えるまで人々を見送った。
一際大きな足音がなだれ込んできた。
「来るぞ!」
アフター5は自身に言い聞かせる。そして、暗がりの方へと視線を向けた。
ここから先には進ませないという意思を持って、下半身に力を入れる。
暗がりから高笑いをしながら姿を現したのは、硬質な鋼でできた鎧を背負った様なロボットにも似ているが、自分の意思で動いている生き物ともとれる、3メートルは高さのある者だった。
「ここから先には行かせん!」
アフター5道を塞ふさいだ。
「邪魔だぞ!どくんだぞ!ぼくが通るんだぞ!」
足元のアフター5が疎ましく感じたその者は、その場で地団駄を踏んだ。
「怖がらせてしまった事を反省して、元の場所に帰ってもらう!」
その者は、眼の前のアフター5に苛立ちを覚えた。
「うるさいんだぞ!遊んでるんだぞ!邪魔をするなだぞ!」
その者はアフター5をどかそうと、左足を一歩前に出し、少し屈みながら、右手を振り上げて一気に払い除けようとした。
アフター5は瞬時に後ろへ下がり距離をとったので、その者はたたらを踏んだ状態になり、バランスを崩して少しよろけた。
それも気に入らなかったのか、その者は鎧の様な鋼の頭から蒸気を一気に吹き出して、アフター5を吹き飛ばしてしまうくらいの風圧と、大地を震わせる様な雄叫びを上げた。
「うるさいんだぞ!遊んでるのに邪魔するなんて酷いんだぞ!」
「お前がやっている事は、遊びじゃない。恐怖を与えているだけだ!」
「人間は音がするおもちゃだぞ!おもちゃはとても楽しい物だぞ!おもちゃで遊んでなにが悪いんだぞ!」
「人間はおもちゃではない」
「うるさいんだぞ!お前はおもちゃじゃないぞ!邪魔な物だぞ!消していい物だぞ!」
「少しだけ痛い目に遭って、星に帰ってもらう!」
アフター5は、左の腰にさげていた脇差しを右手で振りかざし、勢いよく跳とび出した。
太陽の明かりを受けながら、ぼんやりと光を放っていた鋭さを欠いていた三日月は、登り来る太陽に居場所を譲るかのように姿を消そうとしていた。
夜明けの近い公園で、アフター5はひとり哀しく空を見上げていた。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#126「部活」