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絵師兼配信者だが、いつの間にか身バレ=死になってた。  作者: 偽師
再生リストその2 デビューした
34/61

配信31枠目 燃えそうなコラボしてみた。


 窓の外を眺めずとも、ベランダに落ちた雨粒や、どうも不愉快にじめつく空気には、5月の終わりをヒシヒシと感じさせられる。もう、梅雨の時期だ。


 梅雨の時期はどうも苦手で、じめつく空気や微妙に上がって来た気温には、それはもう嫌気が止まらない事である。それに、汗もかきやすくなり肌がベタついて、朝からシャワーを浴びたくもなる。


 コレは、髪の手入れに気を遣う人なら分かるだろうが、シャワーと言うのは非常に面倒臭い事だ。正直、髪を洗うのは2日に1回くらいのペースでも、全然許されるんじゃないか?


 と、雑に愚痴を並べたが、結局、俺は梅雨が嫌い過ぎると言う話。取り込んだ洗濯物は変に湿るし、窓を開けて居られない。理由なんてものは、考えるだけ山程ある。


 とは言え、四季なんかと違い、梅雨は一年の4分の1も占めてない。夏の季節を越えるよりは楽なのだ。まぁ、梅雨は夏なんですけどね!嫌な季節が2つも重なる最悪の月。それが6月と言う事。


 して、この時期は雨が多いのもあり、休日に外出しない人が多くなり、配信者としては、本当にちょっとした稼ぎ時にもなりうる。まぁ、俺は所謂普通の配信者ではないので例外なのだが。


「と、言う事でね。何故か断れませんでした。先生です」


『本物!本物が居ます!私の目の前に!』


 はい。コラボ相手は菜ノ花ヒナさんです。何故、俺はコラボしている?炎上に対して余裕かましてるじゃん。後、目の前には居ないね。画面越しです。


《コメント》

【少し早めのウェディングコラボで草】

【御祝儀あげなきゃ(使命感)】

【この結婚式、御祝儀あげられないんだけど?】

【御祝儀渡せない結婚式とか】

【スパチャ解放しろ】

【高校生に手を出すなんて見損なったぞ!先生!】

【マズイですよ!】

【漂う犯罪臭】


 ご、誤解です!その言い方だと、俺が高校生に手を出したダメな教師みたいになってしまう!俺が手を出した訳じゃないんです!向こう側に手を引かれただけで…


「け、結婚はちょっと…親からの催促が無い限りは…」


 母に催促されたら少しは頑張る。流石に、生涯独身は悲しいものがある。独身貴族なんて名乗れる程、俺はカッコよくないんでね。


『私とはお遊びだったんですか?』


「ヒェ…落ち着いて下さい。お座り!」


 声がかなりガチだよガチ。ガチで聞きに来てるよ、ガチで。何言っても曲解されそうだし、もう何も言えねぇよ。ガチで。


『ワン!』


「それはダメです!ごめん!俺が悪かった!」


《コメント》

【犬の真似助かる】

【ふぅ…】

【ワンちゃんプレイか?】

【また燃えに行ってるよこの人】

【最早、燃えてない方がおかしい】

【消防署が通報受けても来ないレベル】

【平常運転】

【いつか角で刺されそう】


 そんな不穏な事言わないでくれよ。俺だって、好きで燃えたい訳じゃないんだぞ?勝手に火が付いてるだけだし?放火されてるだけだし?


「角と言えば、ユニコーンって言う業界用語があらじゃないですか。意味までは知らないけど、予想するに神聖なんでしょ?ヨーロッパの方では、力と純潔の象徴だし」


 純潔の意味は何となく分かっても、力って言うのがどうもよく分からないけどね。別に、力強そうなイメージはあんまり無い。寧ろ、魔法とか使ってきそう。


 兎に角、ユニコーンって言うのは強くて神聖な生き物なのだ。つまり、この業界用語もそんな感じの意味だろうと予想してみる。


『どうなんだっけ?私、この業界あまり分かってないから…』


「多分良い意味でしょ」


 ただの独断と偏見だけどね。ビックリビックリDON!DON!間違っていたら、どーしよ〜?どうする!?反省します。


《コメント》

【違うそうじゃない】

【元ネタとは比べ物にならないから…】

【まぁ、これは知らなくて良い事や】

【2人は知らないままでいろ】

【ユニコーンはただの処女厨だよ】ユリウス

【ファ!?】

【ユリウスさん!?】

【お前さぁ…】

【お前に似合わずド直球】

【最悪の事実に、2人共固まってしまった】

【なにしてくれてんねん】


 なんてこった。そ、そんな。そんな意味として使われてるだなんて。処女厨って、アレでしょ?濁して言うと、男との接触を極端に嫌うファンの俗称。


 つまりは、処女=純潔って事だ。だからユニコーンね。成程。ピキーンと来ました。純潔を守る者!ユニコーンって事ね。


「よし。アーカイブ消そっと」


 明らかにヤバいじゃねぇか。思いっきりユニコーンの方を庇護しちゃってるじゃん。炎上確定しちゃうよこのままじゃ。


 こう言う時はアーカイブを消すのが1番だ。俺は基本的に作戦は『いのちだいじに』なんでね。


 はい、嘘です。命令はいつも『じゅもんつかうな』でした。MP消費を許せなくて…!誰か気持ち分かってくれ!レベル上げだけして、強化アイテムも全然使ってませんでした。エリクサー症候群〜


《コメント》

【もう遅い】

【既に切り抜き職人は動いてるぞ】

【リアタイ録画勢ワイ。完全勝利uc】カット打ち職人

【カット打ち職人さん!?】

【やっぱりいるのか】

【まさかのユニコーン繋がりで草】

【上手スギィ!】

【やったぜ】


 あらら。まさかの私公認の切り抜き師が登場してしまった。貴方ROM勢じゃ…?アーカイブを消す意味は無かったみたいですね。どんなのでも切り抜いて良いって言っちゃってるし、コレは負け乙。恨むなら昔の自分だな。


「あの…俺より面白い事言うの、やめて貰って良いですか?俺が配信する意味が無くなる…」


《コメント》

【草】

【みっともなくて草】

【そして、未だ固まっているなのちゃん】

【耐久脆いんだなぁ…(ぐへへ】

【攻撃に極振りなんやろなぁ】

【攻撃は最大の暴挙定期】

【その通りで草】

【誤字ってますよ】


 そう言えば、確かにヒナさん静かだな。立ち絵は動いてるし、離席した訳では無さそう。マイクミュートでもしてる?いや、口の動きは無いんだよな。常に開きっぱなし。本当に固まってるだけ?


「確かに大丈夫?どうかした?」


『えっ?あっ、何でもないです!ありがとうございます!録音も出来ました!』


「ちょっと待て。最後。最後必要だった?無くても大丈夫だったよね?ね?」


 実は俺に凄い恨みがあり、俺を本気で燃やそうといている?と、考察してみる。最近は配信でも見かけなかったし、そう言う可能性もある。まぁ、ROM勢の可能性も無い事はないだろうが…


『実は私、先生の事好きなんです』


「うん。だろうね。知ってた」


 言われなくても分かりますよ。一目瞭然だし。でも、それは録音を肯定する理由としては弱過ぎませんか?少し、いや、かなり無茶がある様に感じるんですが。


 正直、この後に何を言われようが、録音しました発言について、納得出来る気がしないんですが?どう考えても、燃えそうなかほり。この辺、ガソリン撒けてそう。だから、あれほど乙4は取っておけと。


『言葉にしてなくても気持ちが伝わった…?先生!私達、相思相愛ですね!』


「え゛っ」


《コメント》

【エグい理論で草】

【突然の急カーブ】

【そらそんな反応になるわ】

【回避不可能の罠】

【先生もネタに出来ない上手さだったな】

【正に技巧】

【嵌められてて草】

【くっ、この顔と声で言われると拒否出来ない】

【尚、先生と高校生の模様】

【犯罪臭がしますねぇ…】


 流石に生徒には手を出しません。いや、娘にも手は出さないけども。でも、俺は知ってるからな?こう見えて、めちゃくちゃエゴサしてるんだからな?


 最近、支部の方で、俺が竿役で出演しているイラストが増えていた件について。全くもって、解せぬ。何よりも、その竿役の俺は良い体格してるのがなんとも。俺そんな線太くねぇから!


 まぁ、俺って言っても、リアルの俺じゃなくて、立ち絵の方だし仕方ない話ではあるんだよな。誰だ?俺の立ち絵をイケメソの細マッチョに描いた奴。あっ、俺か。


「えっと、配信者として色恋沙汰は良くないと思うんですね。はい。だから、返事は保留と言う事で」


《コメント》

【いや断れよ】

【キープしてて草】

【欲望に従順で安心した】

【これでこそ先生】

【ちゃんと炎上は回避しろよ】

【曖昧な返事は火事の元だぞ】

【コレにはアンチくんもウキウキやね】


 あー。聞こえない聞こえない。何でわざわざ好意を寄せてくれる可愛い子から逃げなきゃいけないんですか?もう、身バレしてもそこそこ問題無いラインまで来てるだろうし、モーマンタイ。


 燃えたら燃えたで鎮火させるだけなんで。え?脳筋思考?多分、脳筋プロテインの所為。アイツの脳筋が移ったに違いない。全てはアイツの所為。


『ふむ。それは、同意って事で良いですか?』


「ストップ。今、貴女は確実に未来を見過ぎてる。現実に戻って来なさい」


『…?ココは現実ですよ?』


「…あっ…すぅー(深呼吸)……はい。そうっすね」


 ダメだこりゃ。説得のせの字を聞いてくれないよこの子。わざとなのか、天然なのか。その可能性も無きにしも非ずで分からん。


 ストーカー気質なのに天然とは、いやぁ!めっちゃくちゃ美味しい属性持ちですね。生まれて来てくれてありがとう。俺は今、最っ高に満たされている。


 でもね。本当は、第三者の立場に居たかったんですよね。第三者として、見てる分にはムフフなカップルに、野次を飛ばしていたかった人生でした。


《コメント》

【諦めんなよぉ!】

【悟ってて草】

【そして、この満面の笑みである】

【とても超次元対話をしてたとは思えないな】

【心で対話してたんだよ、知らんけど】

【駅で外国人に道を聞かれた時の俺】

【もう笑うしかない】

【こうなったら、シノさんとホ○ビルートに走るしか…】


 おい。何でよりにもよって別タイプの地獄を選ぶんだよ。しかも、ホ○ビかよ。ノーマルホ○ルートじゃないのかよ。いや、ホ○の時点で、この国ではアブノーマル扱いなんだけども!


———

——


「…あはは……」


 さて、俺は今、何故か弟に自分のSNSアカウントについたアンチコメントを見せられています。どう言う顔すれば良いのか分からん。


「また燃えてるね」


「不徳の致す限りです…」


 義弟に朝食中の世間話で、自分の燃え上がった色恋沙汰に触れられるとか、あまりに処刑が過ぎる。誰だよ。俺の人生をハードモードにしたのは。ハードどころか、ここまで来たらヘルだよ。地獄だ地獄。


「あっ、いや。責めてる訳じゃ無かったんだけど…」


「うん。分かってても辛い事って有るんだよ。歳を取るとはそういう事なんです…」


「…そうなんだね」


 どうも。高校生の弟に慰められる悲しき社不の兄です。弟からの同情の笑みが刺さる刺さる。主に胸部に刺さってます。あまりのストレスにリアル血反吐が出そう。もしも死んだらどうしよう。


「遺産は全部あげるね」


「何の話?後、そう言うのは口頭だけじゃダメだよ。ちゃんと書に記さなきゃ」


「はい。仰る通りで」


 マジで何やってんだろうな俺。存在意義を見失ってしまうようなド正論。それに、俺は首が絞まった気分です。恥晒し過ぎてるよ。


「そう言えば、部活は結局、何処にしたんだっけ?」


 それについて、何か言っていた様な記憶もあるが、どうも、昔から人の話を覚えて置くのが下手だからなぁ…俺。お医者さんには、視覚情報に頼り過ぎているのかも知れないと言われました。一理ある。


 何せ、俺はその場面の景色は、めちゃくちゃ鮮明に覚えているのに、その時の体調とか、音とか、匂いとか。そう言うのは全て消え去っている。


 そう言う事で、俺は視覚情報に頼り過ぎているのかもしれない。だから、他の記憶が疎かになる的な?まぁ、考察が捗る身体ですこと。


「さぁ?何だったかな。忘れちゃったよ」


 あっ、言う気無いなコレ。恐らく、部活自体に入ってない奴だ。もしも、入っていたとして。それは一般的な部活じゃ無さそう。その学校だけにしかない変な部活動って、幾つか有るよね。


 俺の高校だと、花園部というのがあってだな。裏庭でお花を育てては愛でる部活だったのだが、コワモテのバリカン入れてる不良ばっかの高校だからか、何回か薬物疑惑が出てて色々と可哀想でした。


 て言うか、花壇の手入れとかって、確か美化委員の仕事じゃ無かったか?そう考えると何だったんだ?花園部って。


「じゃあ、バイトはどうなったんだっけ?やりたいって言ってたよね?」


「今は保留。やりたいバイトは髪色指定だったし、あまり顔を晒したくない」


「嗚呼、成程」


 そう言えば、弟は俺よりも大変な立場だった。俺は俺で対策が出来たけど、弟は対策のしようがないからな。外に出ないとか、顔を隠すとか、それくらいしかないよな。


 それにしても、髪色指定ね。職種にもよると思うが、指定してるところは指定してるんだなぁ。弟とか、脳筋プロテインとかは、明るい色が地毛だから、その辺りは少し困りそうだよな。


 ピーンポーン。


「取ってくる」


「うん」


 かなり朝早いが、宅急便かな。さて、何が届いたのか。心当たりはかなり多いからな。食材か、衣服か、その他だとパソコンとかの周辺機器だと思うが。


「俺宛て、ね」


 密林からのお届け物。敢えて、商品内容は見ずに起き配された、異様に重たいソレを受け取る。ここまで重いと、楽しくなってきたぞ〜。一体、何が届いたかなぁ。


「テーマパークに来たみたいだぜ テンション上がるなぁ~」


「どうしたの?突然」


「いやぁ。テンション上がってきたの」


 ルンルン気分で答え、俺は自前のカッターを取り出す。言い方を変えれば、無駄に伸びてしまった爪だ。面倒臭いからか、毎度切るのを忘れちゃうんだよね。


 因みに、右手の指が、何本か切られているのは、ペンを持つ為だから安心してね。決して、匂わせでは有りません。


「爪は切りなよ。割れたら痛いよ」


「分かった分かった。後でね〜」


 段ボールのガムテープに伸びた爪を突き刺し、力任せにガムテープを切り刻む。コレ、マジで爪割れるからやめた方が良いよ。俺はするけど。


「…何だこれ」


 そう言って、俺は中に入っていたソレを取り上げる。その後、意味も無く天に掲げてみた。気分はゼ○ダの伝説。


 瞬間、俺の鼻腔を擽ぐるのは生臭い匂い。それこそ、海浜を歩いていると嫌でも嗅げるような、塩が混じる生臭さ。どう見ても鯛です。″対″戦ありがとうございました(激うまギャグ)


「いや、なんでだよ!」


 なんで密林からめちゃくちゃデカい鯛が送られて来るんだよ。それも、3匹が箱ぎっしりの氷と共に詰められて。あまりの冷たさに、持っている手が悴む。


「昼食は何にする?」


「その質問、意味あった?」


「ないよ。ただの悪ふざけ」


「ですよね」


 溜め息にも近い鼻息を出し、どうしようもない俺は、冷凍庫から新しい氷を取り出すのだった。


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[良い点] 気付いたら一気読みしてしまった [気になる点] この手の話題に厄介ネキニキのコメントがない。 妙だな... [一言] 主人公も他のキャラもいい感じにハジケていて、面白い。  これからの更新…
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