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配信22枠目 漸く1日目が終わってみた。


 太陽も沈みかけ、夕方になった。俺はバッテリーに接続したスマホを片手に、脳筋プロテイン。青くんの3人で、ホテルに着いた後の想像を膨らませならが、会話を弾ませて歩いている。


 俺Bこと、ソラさん達とは食後直ぐに別れた。恐らく、もう会う事も無いだろうに、俺達3人全員と電話番号を交換した。此方側から電話をかける事は確定でないので、必要だったのかは甚だ疑問である。


 そして、今日も今日とて、タイムラインが非常に騒がしい。何故こんな事に?この話題に関する俺の解釈が間違っていなければ、在宅勤務と伝えられていた青くんは企業Vtuberと言う事になる。在宅勤務と言う点では間違ってはいないのだが、何だか、騙されてしまった感がある。


 嗚呼、一応勘違いされない様に補足するが、今の発言にVtuberを批判する意図はない。もしも、そんな意図があれば、幾ら依頼されたとは言え、俺がVtuberのガワを描くなんて事はしない。


 嫌いながらもガワを描くと言う事。それは芸術に対する冒涜に近い。母からの英才教育の賜物か、芸術関係に関して、手を抜く事は絶対に出来ないのだ。


 それにしても、青くんは嘘…と言うか、ポーカーフェイスが上手過ぎやしないか?俺が少しの違和感も感じ取れなかったとなると、余程嘘が上手いか、はたまた…まぁ、ここは俺が下手に介入する話でもないか。


 それよりもだ。問題はこの件に関して、俺はどう言う反応を示すべきなのか。スルーするのは恐らく悪手と言えるだろう。少なくとも、俺がそれに気付かないなんて事は、あり得ない話だと思われている筈だ。視聴者の中だと、俺は中々の情報通らしいからな。


 となると、真面目に話すべきか?いや、俺が真面目に話なんてしたら、それこそやましい事があると勘違いされそうだ。やはり、いつも通りネタに走るしかないのか…何か、俺は配信者としての方向性を誤った気がして来た。真面目な謝罪が出来ない配信者って何だよ。


 まぁ、良いか。とりあえず、事はホテルに着いてから考えよう。多分、それからでも遅くはない筈だ。


「なぁ。ここ何処なんだ?」


「誰だい?ラギに道案内なんてさせたのは」


「ごめん。普通に俺の人選ミスだね。コレ」


 ダメだ。このままだと、ホテルに着くのは何時間も先な話の気がする。コレ、ホテルのチェックインの時間に間に合うのか…?


———

——


 ホテルに着いた後、夕食を楽しみ、ホテルの温泉で体をほぐした俺達は、温泉と言えばコレ。そういっても過言じゃない程、必ず置いてある卓球台にて、食後の運動に勤しんでいた。


「はい。先生に1ポイント」


「うん。コレで11対0と。コイツよっわ。マジのクソ雑魚じゃねぇか」


 脳筋プロテイン。名前の通り、パワー型過ぎるんだけど。サーブ含めて、コートにピンポン玉が1回も入って来ないんですけど?その、全弾全力スマッシュは流石にやめて欲しい。


 なんせ、弾丸並みの速度で俺を襲ってくるんだよね、ピンポン玉が。壁とかに当てたらピンポン玉が弾け飛びそうで怖いわ。まぁ、流石にそれは無いと思うけどね。


「何でだよ!?このスポーツ、全く点が入んねぇんだけど!?」


「力加減を覚えてから来い。お前の返球。全てが殺人スマッシュ(物理)なんだよ。避けるこっちの身にもなれよ」


 この″眼″が無ければ避けられなかった。実は、反射神経もそこそこ凄いんだよね俺。でもまぁ…それが必要なゲーム殆どが苦手なんだけどね!全く活用出来てねぇじゃん!


 だって、FPSとか、TPSとかってさ。なんか酔う…って言うか、視界の操作感に違和感あるんだよね。どれだけやっても中々慣れない。多分、一生上手くならないわ。俺。


「青くんもやってみますかね?」


「先生。幾ら遠回しとは言え、人に死ねと言うのはあまり良くないと思うよ」


「色々と失礼だな!?」


 そんな事を言われる様な事してるお前が悪い。卓球って、人にピンポン玉をぶつけるスポーツじゃないからな?マジで殺人スマッシュ(物理)なんだよな、お前の返球。コートにさえ入ってたら褒めれたんだけどなぁ…


「じゃあ、俺とやりますか。良いか?馬鹿。お前は俺達のプレイを見て勉強しろよ?」


 多分、青くんなら問題なくラリーを続けられるだろう。とりあえず、簡単なサーブを送ろう。実力は以下程なものか。


「ヘイッ!」


「は?」


「シッ!」


 何してるんだコイツ。普通に上手いチキータやめろ。反応は出来ても、身体が動かない速さなんだけど?お遊びサーブに、本気のチキータ使うとかさ。何でそんなガチ勢なんだよお前。


「嗚呼、成程。そう来たか。青くん。一回ラリーを続けてみませんか?」


「分かった」


 今さっき、脳筋プロテインがカメラ構えた所為で、物凄く嫌な予感しかしないんだけど?マジでちゃんとしてくれよ?


「いくよー?ほいっ」


「ラリーね?オーケーオーケー」


 そう言って、ピンポン玉を返球してくる青くん。めちゃくちゃコートの端に飛んでますよ?ふざけんな。まぁ、一応、ギリギリ届いたは届いたけどさ。


「ごめん。ミスったみたい。あっ」


 次は反対側の端かよ!無駄に緩い球だからか、本気で取りにいけばギリギリ届くのがまたウザい。温泉入った後なんだが?汗かきたくないんだが?


「あっ。またミスだ。ごめん。わざとじゃないんだよ」


 いや、わざとだろ。あまりにもミスり過ぎだぞ、お前?しかも、あんなチキータ打てる時点で経験者なのバレバレだからな?経験者がこんなにミスする訳無いだろ。既に10球以上、交互に散らされてる。


「あっ…あかん。い、息が続…死ぬ!助けて!」


「分かった」


 いや、無駄に上手いスマッシュやめろ。もう、そんな上手いのなら、脳筋プロテインに教えてやれよ。どんだけ嫌がらせが好きなんだよ。


———

——


「いえーい。ミカくんの暇つぶし配信を始めるぞ〜」


「おー」


 今は午後9時過ぎくらい。ホテルの一室で、俺達はスマホの内カメラにそう話し掛ける。機材がダメダメな雑談配信だ。


 配信画面のテンプレが無いので、今回は顔出しをしている訳だが、俺はマスクと前髪でめちゃくちゃに不審者なので、ソラさんと勘違いされる問題は無い。勝ったな。


《コメント》

【楽しそう】

【めちゃくちゃに目撃されてて草】

【まぁ、ゴールデンウィーク中やから…】

【先生は前髪を切れ】

【マスクを外せ定期】

【かなり部屋広くて草】

【結構良いホテルちゃうか?】


 スマホ1つで配信してるのに、案外そこには触れられないものだな。いや、まぁ、パソコンを持ち歩けないだなんて、考えれば分かる事だから聞くまでもないのか。


「旅行は後3日ありますけど、動画は予約投稿済みなのでね。お楽しみ下さい」


「徹夜で編集してくれた先生に感謝!」


 いや、感謝するついでに、編集を一緒にしない?最近、負担が凄いなぁって。まぁ、そう言う仕事だから、別に不満がある訳でも無いんだけどね。


《コメント》

【中々に几帳面で草】

【旅行に行くから、更に動画4本編集しますは脳筋思考過ぎる】

【ミカくんはバカだけど、先生も中々頭悪い思考してる】

【パズルとか、何も考えずにとりあえずピースを置く派やろ。コイツ等】

【とりあえず、先生は前髪切ろうか】

【マスクも外して♡】


 どんだけ俺の素顔を見たいんだよコメ欄は。しかも、この配信枠は脳筋プロテインのだから、俺の視聴者は少ない筈なんだが?


 ほら、コメントを見てみれば【隣の人は誰?】【変な人が居ますねぇ…】【怖い…】とか、ちらほら、俺すらも知らない視聴者も居る様だ。まぁ、動画から配信に来た場合はそうなる事も無いとは言い切れない。今回は運が悪かったかな。


「だって。髪切ったら?」


「嫌だよ。普通、こんなイケメンフェイスを、ネットにばら撒けるかよ」


「は?」


《コメント》

【は?】

【何言ってんだコイツ】

【脳がイカれたか?】

【イケメンの見過ぎで脳腐ってますよ】

【色んな意味で腐ってるぞコイツは】

【コイツは性癖の健啖家だからな】

【絵を描く上で邪魔じゃないんか?】

【前髪が目に入る度に悶え苦しんどけ】


 ふっふっふ。コメント欄には前髪を伸ばしている人が居ない様だな。だからこそ、その驚愕の事実にも気付かないのだ。


「はいざんねーん。俺にはまつ毛があるので、前髪が目に入る事は全く無いでーす」


 コレはガチ。前髪長くても、問題無いって言ってる人がいるのは、まつ毛が目に入らない様に、ガードしてくれてるからなんですね。まつ毛を敬って、どうぞ。


「そんなまつ毛長いんだ先生」


「いや、普通の人と同じくらいだけど、それでも結構守ってくれてるぞ」


「マジかよ。まつ毛って凄えな」


 それな。まつ毛って意外と凄い。まつ毛が無いと困る事って、考えてみればめちゃくちゃある気がする。やはり、まつ毛は讃えるべきなんだよなぁ…


《コメント》

【へー】

【そうなんや】

【また髪の話してる…】

【※まつ毛です】

【どうでも良い情報助かる】

【ためにならなかった】

【へぇい】

【最弱の座を譲らない伝説のベイ。トラ○ピオ】

【八○に電流走ってそう】


 これは、○ソ改造おじさんじゃないか。みんな支援絵描いてるから、俺も支援絵描いてみたい。


 いや、描けるは描けるのだが、名案思いつかないので中々手を出せない。俺はネタ投稿者として、ネタに走らない事は、俺が許さないからな。


「前髪が目に入らなくてすまんかった。次回もよろしやす」


「支援絵は?」


「何故か誰も描いてくれません」


 今までに支援絵貰った事なんてありませんね。何でやねん。まぁ、支援絵貰えるような配信スタイルじゃないのが1番の原因なんだろうけど。


《コメント》

【だって…ねぇ?】

【供給間に合ってるのに描く理由】

【それに、自分より上手い人に見られるのって、中々に勇気いるぞ】

【要は先生が悪い】

【やはり、黒幕は先生だったか】

【とりあえず、コイツの所為にしとけばおけ】

【悪くないのに悪いの草】


 へー。そんな理由だったのか。それは知らなんだ。じゃ、今度から自分の絵はあまり描かない様にしますねー。多分、変わらなさそう。


「じゃ、暫くは貰えなさそうなのか…」


「別に良くね?」


「貰ってる側だから言える事だな。舐めんなよ」


 コイツ。知名度さながらそこそこに貰ってる。供給自体ならこいつの方が多い筈なんだけどなぁ…なんせ、俺がしょっちゅう描いてるものでして。


《コメント》

【まぁ、知名度の差かな】

【先生とは格が違うんですよね】

【ちな、ある意味1番支援絵を描いているのは先生】

【確かに、動画の度にデフォルメミカくんの表情差分が増えてる】

【編集時間の半分くらいは絵を描く時間になってそう】

【分かる】

【それで?あの写真の件は?】

【唐突ゥ!】

【突然の方向転換やめろ】


 いや、あまりに突然過ぎるだろ。そんな最高速で急カーブすんなよ。そんな事してたら、スリップして崖の下だぞ?


「あれな。バッタリ出会ってたんだよな、先生が。知らないうちに俳優と話しててビックリ」


「マジで偶々なんだよね。ベンチに座ってたらバッタリ」


《コメント》

【どう言うシチュやねん】

【シチュエーションボイスの風上にも置けねぇな】

【先生の人生はシチュエーションボイスだったのか…】

【でも、先生のボイスは需要無いよな。声、普通だし】

【辛辣で草】

【ただの正論なんだよなぁ…】

【ミカくんのなら需要ある】

【そこそこイケボやし】


 悪かったなぁ!俺だって声作ればイケボだし!?普段は敢えて抑えてるだけだから。


「イケボ?こんな感じ?(イケヴォ…)」


「うわ。鳥肌立った」


《コメント》

【なんだろう。コレジャナイ感】

【イケボはイケボなんだろうが…】

【なんか「ちゃんとイケボな吐息厨」みたいで草】

【鳥肌立ち過ぎて、もはや鳥】

【陰キャな見た目と声が合ってねぇ…】

【配役ミスったアニメみたいになってますよ】

【一体、何を考えて声に出したんだお前は】


 お前等さぁ!なんか酷くない?イケボならイケボって褒めてくれよ!今世紀最大級のイケボだったのにさぁ!モチベ下がるわ!


「何を考えてたって?そら。アイドルやってそうな爽やかワンコ系なショタだが?」


「キッショ。あんな美味しかったのに、晩御飯全部吐きそう。もしも吐いたら先生が食えよ。勿体無いから」


「あまりにも鬼畜!」


《コメント》

【想像の3倍はキショかった】

【お前の脳味噌見てみたいわ】

【普通にリバースする】

【当然の反応】

【先生は反省してどうぞ】

【何考えたらそんな風にしようと思えるのか】

【なによりも、そこそこのクオリティなのが、更にキショさと笑いを増長させてる】


 相変わらず、俺の扱いが酷い。最初は【誰?この人】って、言ってた人ですらも同じ扱いしてくるんだけど?理解が早くね?


 まぁ、そんなこんなで無事に1日目が終わった。さて、明日からも頑張るぞい!


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