聖歌隊のお嬢さん
扉を開けたら聖堂で
正面には聖歌隊が並んでいた
オルガンの響き
ステンドグラスの薔薇窓から
七色の光がさしていて
聖歌隊の歌声と合わさり
天上に向かっていく
子どもの頃、聖歌隊に憧れていた
聖女みたいな聖歌隊のひとたち
天使の歌声、天上の音楽
子どもにやさしい、白くて細い手と
微笑み
きれいなシスター服を着て
あのひとたちの仲間になったなら
天使になれるかもしれない
実際はそうはならなかったけれど
今でも綺麗だと思う
もしも、聖歌隊に入っていたら
天上の音楽を、お空の彼方へ
大きな樹の、緑の葉の先
青い空のどこかに
そうして捧げられた歌は、どこかへ
巡ってゆくかもしれない
人々の間に流れる
優しい風のどこかに
落ち着いたシスター先生の
眼差しに溢れていた慈愛に
高く、美しく、響かせてみたい
調和のコラール
巡りゆけ、と