001.5(他人視点双剣のグィン)グィンの心情
「グィンどうしたの? ため息なんてついて」
「すまない、起こしたか?」
一緒に寝ていたはずの裸のサーリアが俺の胸に手をついて聞いて来た。
女性らしい体型で何度見てもその姿に見とれてしまう。
「険しい顔」
その言葉に思わず笑ってしまった。
体を起こし素直な気持ちをサーリアへと話す事にする。
「怒ってくると思ったんだけどな」
「誰?」
「誰ってラックだ」
ラックがいくら馬鹿でもそこまで大馬鹿ではなだろう。
いつも暗い顔をして、愛想笑いをし、俺達の顔色をうかがっている事が多いラックでもやる時はやる男だ。推薦状があったにせよ、たまに見せる意志の強さがありパーティーに加えた。
だからこそ、あの借金が仕組まれた奴ぐらいは判っただろうに。
「追放した男の話なんてもう飽きちゃった。ラックは昔から努力は凄かったけど気弱かったし、まさか追放した私達が悪かったって言うの!? それに」
「そうだな悪くない。どの道あの実力じゃ足手まといだ」
先日いった魔像のダンジョン。
そこでもラックは後方で見てるだけで終わった。いや……宝箱あけようとして小さい魔物相手に逃げて来たな。すぐに俺とツヴァイが斬り伏せた。
「私としては元恋……じゃないわね幼馴染の異性が一緒のパーティーじゃ気が滅入るですけどっ!」
なるほどな。
「でもサーリア、口裏合わせるのにツヴァイを巻き込むな、あいつにも迷惑がかかる」
「ツヴァイなら平気よ、元から補助魔法なんて軟弱な魔法は嫌い。って言ってたし」
確かにな。ツヴァイはラックの事は嫌いじゃないがラックが使う補助魔法が嫌いなふしがある。
この1年何度もラックがかけようとして、断っているのを見た。
それにラックが言う補助魔法の説明は、かけられた人間の底力を一時的に上げる魔法と聞いたし、強くなった俺達ではかけ貰ってももう違いすらわからん。
まぁ少なからずあの酒場のマスターにラックに渡せと金を渡してきた。ラックが俺達の本当の仲間であれば田舎にでも帰るだろう。
「難しい顔しない!」
「っと……」
サーリアが俺に抱きついて来た。
「グィンには私がいる。美人で可愛い女神様よ。それでいいじゃないの?」
「金使いがあらいって所が欠点な女神様だな」
「もーー」
俺はラックの事を忘れる事にしてサーリアに抱きついた。




