サタンちゃまとトモダチ4 サタンちゃまの決意
「なっなんだコイツは……ぐっ離せ!」
「ひいっ!」
突然動き出したE-アルマーに首根っこを掴まれもがき苦しむボーイング・小林と親友だった松川が足をバタバタさせた。
朧げながら思い出した記憶から俺を助けたアルマーは味方。しかも親友同士らしいな……。
そんな彼が振り返った。
『友よ。この良からぬ者はどうする?』
「酷い奴らにゃけれど……殺すにゃアルマー」
『フッ、ミーもそのつもりだった。これ以上お前の罪を増やさないためにな』
「アルマー……」
そこまで俺のことを考えてくれていたのか……本当にありがとう。
「ぐっ助けてくれっ……へっな〜んてね」
『んっ?』
苦しんでいたのは演技だったのか小林がヘラヘラ笑った。
「今お前は俺を触っているな」
『だからなんだと言うのだ?』
「へっ、特別に教えてやるぜ。俺のスキルは他人のスキルを奪い取れる。やり方は簡単。相手に触れてスキルを寄越せと叫ぶだけだ」
『……なるほど』
「へっへ……詰んだなぁロボット」
確かにアルマーの選択はこのまま小林を締めつけてスキルを奪われるか、それともすぐに手を離すかの二択しかない。
俺なら一旦小林を離すけど、奴の持っているスキルの数が未知数なだけに解放すると反撃のリスクがあるからアルマーも慎重だ。
『奪いたければ好きにしろ』
「にゃっ!?」
正気かアルマー?
それはそうと、彼のスキルは……戦闘機のジェットバードモードにドリルタンクモードと水中使用のサブマリンモード。それと人型の四段変形だ。
それが果たしてスキルと呼んでいいのか分からないな。それに、人間がそのスキルを使ったら身体がぐちゃぐちゃにならないか?
だから確信した。
小林にはアルマーのスキルを奪えない。
「へっへへ……じゃあいただこうかお前のスキルをっ俺に寄越せっ!」
『……』
「どうだ……手に入れっ……ぐがっ!」
小林の首根っこを掴むアルマーの手が少し力を入れた。
「ギッ!ぐがっはっ!何故だっ!貴様にもスキルがあるハズ。なのに何故奪えないっ!?」
『ユーは少し勘違いしているようだな』
「なんだとっ?」
『ミーの変形スキルその他は作られた機能に過ぎない。だからユーの言うスキルには該当しない』
「ぐっ……き、機能だと……がっはっ!」
遂に耐えられず小林は失禁して気を失った。
『フム、オイル漏れか? まぁ、縄で縛る手間が省けた。さて次は……』
「ひっ!こ、殺されないでっ!」
小林から手を離したアルマーが松川に目を向けた。
『先ほどサタンとの会話を聞いてなかったのか? 安心しろ。殺しはしない。しかし、ミーからユーに言いたいことがある』
「なっなんだよっ!」
『ユーは数いるトモダチをランクづけするのか?』
アルマーはあの時のやり取りを見ていたのか……。
「ハッ!大事な親友とそうでない友達と分けるのは常識だろ?」
『その考えが、果たして本当のトモダチと言えるのか?』
「なに言ってやがっギッ!やっや止めてっ!」
アルマーの手の力が少し強まって松川が情け無い悲鳴をあげた。
『トモダチは損得関係なく付き合うものだとミーは思う。しかしユーの場合は、上は大事にし、下にはランクつけして見下し優越感に浸る。それが本当にトモダチと呼べるのか疑問だ』
「ガッ……なにを言って……お、俺がどう思うと勝手だが、それでも友達には違いねーだろ……」
『ああ、確かにそんな考えでもトモダチだ。だが……』
またアルマーが俺の顔を見つめた。
『トモダチは選んだ方がいい』
「アルマー……」
「ガッ!け、結局テメーも友達を順位つけしろってことだろっ……がっ!」
松川は気を失い首をガクンと下に向けた。
「アルマーッ!」
俺はアルマーの元に駆けつけた。
『おう会いたかったぞトモよ』
「お前っ死んだはずにゃっ?」
『ハッ!死にはしない。壊れただけだ』
「にゃらなんで……」
バラバラになって散ったハズなのに彼は、傷なし五体満足でピンピンしている。
『ミーには自己再生機能がある。しかし流石にバラバラになった身体を治すには時間が掛かった。しかも対勇者用に改良を加えながらだから、三百も復活に時間を掛けてしまったのだ』
『なるほど……』でもそのおかげでこの時に彼と出会い助けられた。
やはり、運命的な奇跡を俺は感じたな。
『さて、この不届き者はどうする?』
「にゃっ……ギルド日本支部に引き渡すにゃ」
『ギルドか……ミーが眠っている間に世界がガラリと変わったのだな……さて』
アルマーが二人を縄で縛ると冒険者ギルド日本支部に連行して、彼らがやったこれまでの悪事を説明した。
もちろんアルマーのことは黙った。まぁ、奴らの事情聴取で明らかになるけど、その前にさっさと離れた。
戦闘機に変形したアルマーの背中に乗った俺は、夕日ヶ浦海岸の砂浜に身を隠した。
そして砂浜で彼と海を眺めお話ししながら夜を明かした。
太陽が登り爽やかな夏の朝をむかえると、会話のネタがとっくに切れた俺たちは体育座りして、真っ直ぐ海の地平線を眺めていた。
するとアルマーが俺に向き直った。
『ユーはこれからどするつもりだい?』
「にゃっ……ア、アタチは……」
俺は聖女さまの元に帰るべきか思い悩んでいた。
だからアルマーから助言を欲していた。
『聖女チームの元に戻るかは、自分で決めるんだサタン』
「にゃっ!」
『そんな表情を浮かべるなトモよ。ミーは決して無理強いはしない。あくまで本人が選択肢を選ぶべきだと思う。しかし、いかなる選択肢でもミーはついて行くから不安になるな』
「……ありがとうアルマー分かったにゃ……」
立ちあがった俺は右手を握り締めた。
「アタチは戻る。だから連れて行って欲しいにゃ」
『もちろんオーケーだ。トモよ』
立ちあがったアルマーが戦闘機モードに変形して俺に背中に乗れと言った。
小さくうなづくと背中に乗り宙を舞った。
そう、逃げることやめた俺は聖女さまの元に戻ることにした。
次回以降、何故魔王を倒さなくてはいけないのか理由が判明する展開です。




