サタンちゃまとトモダチ3 偽りのの友と本当の友
ちょっと混乱すると思うので、タイトルの一部犬から猫に変更しました
「他人のスキルを奪う俺のスキルに気がついたのは一年前……」
「にゃっ!」
ボーイング・小林が目頭を指で押さえながら唐突に自分語りし始めた。
いやいや別にしんみりするのは構いませんが、俺は貴方の話に興味はない。とは言え小林は話を続ける。
「世間はクリスマスで浮かれていた雪の寂しい夜」
詩みたいに言ってるけどそれは小林の主観でしかない。大体世間は楽しいクリスマスの夜だったぞ。
「俺は当時所属していたパーティーの団長にとある居酒屋に呼び出された。そしたらどうだ……アイツら俺に内緒でクリスマスパーティーを開いていたんだぜ……」
「にゃっ!」
小林は悔しげに拳を握り絞めた。
『おっと!』それより10秒経過したか身体が動くぞ。
「そ、それってお前だけハブられたんにゃ……」
「黙れっクソチビッ!」
「にゃっ!」
『図星じゃねーか』子供に指摘されてキレんなよボーイング・小林。
「はぁはぁ……まぁいい。でだ、上座に座っていたスキンヘッドのムカつく面した団長が」
偶然か追放する奴は大抵ツルッパゲだな。
「グラスに酒を注ぎながら俺にこう言ったんだ。『スキルのない無能は今日からクビだ』とよ」
「にゃっ!?」
ここまではテンプレ通りの展開だな。
「で、カッとなった俺は団長の襟首を締めあげた。すると奴はこう挑発したんだ。『ハハッ本当のこと言われて悔しいか? でもなぁ……スキルねぇ役立たずはパーティーに不用だしなぁ……』とニヤニヤして言いやがった。周りの奴らも皆俺を嘲笑っていやがった。だから俺は団長にこう叫んだ」
『だったらお前の攻撃力アップスキル俺にくれよ!』
「するとなんと奴のスキルが俺に移動したんだ。つまり対象者に触りスキルくれと叫ぶと他人のスキルが俺の物になるみたいだ」
『にゃっ!』こんな簡単に他人のスキルを奪えるなんて、とんでもなくやばい。
「それから俺はスキルがなければ他人から奪えばいいと考えを変えた。それから気にいらねぇ奴からスキルを奪ってソロで冒険を続け、おかげで楽にお金を稼いで女を手にした。
だが二人じゃまだ足りない。もっともっといい女を俺の側に置きたい。だからこのスキルを駆使して楽して金稼いでハーレムを築き一生遊んで暮らしたいと俺は決意したんだっ!」
「にゃっ!?」
長々とまぁ、なんと言う低俗な志し。
こんな凄いスキル持ちなら魔王討伐の世界平和に使おうと思わないのか……まぁ、無理だろうなぁ……。
とにかくこんな不純な奴に大切な悪魔ガチャスキルを奪われる訳にはいかない。だから動けるうちに俺は出口に向かって駆け出した。
「おいっ捕まえろっ!」
「にゃっ!」
回り込んだ松川に土手っ腹蹴られて吹っ飛んだ。
「うにゃにゃあ〜〜!」
俺は2、3メートル後方まで転げ落ちて、地面に埋もれたロボットの場所で止まった。
気が動転していた俺は起きあがると松川が近づいて来た。彼はズボンのポケットに両手を入れ再度俺に蹴りを入れた。
「にゃっ!なにゃにするにゃ松川っ友達にゃろっ?」
「友達……そうだなぁ〜数いる友達の中でお前は重要度ランクは下から数えた方が早いかな……」
「にゃっ!?」
お前友達のことランクづけしてたのか?
「あのなぁハッキリ言っておく。俺がお前なんかと友達付き合いしてたのは、俺より劣っていたからだ」
「にゃっ!?」
「今さら気づいたのか俺の本心を……でよ、全てにおいて普通だった俺はさらに下のお前を見ることで安心出来て、内心見下していた。そして、自慢話を聞かせるのに都合のいい奴だったから友達付き合いした。ただそれだけの理由だ」
「そんにゃ……」
松川はそんな目で俺と接していたのか。情けないことに、奴に言われて気づく鈍感な自分に愕然とした。
「しかしよぉ……お前が幼女になって笑っていたのにこのあとどうだ……あの白銀の聖女にスカウトされて、おまけにチート級の悪魔ガチャスキル持ちとはよ……」
それってひょっとして嫉妬か松川?
「せっかく格下見下すために友達付き合いしてたってのに、いつの間に俺より上に行きやがってムカつくんだよ……」
だからってクズに友達売るか?
ああ、松川にとって俺は低ランクのいつでも捨ててもいい友達程度だったんだな……。
もう松川に対して一気に冷めた。
でも、大切な悪魔ガチャスキルは絶対に渡せない。俺は逃げようとした。
「にゃあっ!」
即座に松川に腹を蹴られた。
「逃げんじゃねえよチビッ!」
「ぐっ……にゃあ……ゲホゲホ……」
本気で幼女の腹に蹴りを入れる奴がいるか……少しは加減しろよクズが……。
しかし駄目だ。苦しくて動けない。
「そこら辺にしとけ松川。コイツが死んだらスキル奪えないだろ?」
「た、確かに、す、すみませんっボーイング・小林先輩っ!」
『にゃっ!』フルネームで呼ぶなよ松川。おかげで痙攣しては、腹が痛え……。
「さて、お前のスキルいただこうとするかな?」
「にゃあっ!」
小林に首根っこ掴まれ持ちあげられた俺はもがき苦しんだ。そんな最中ふと三百年前の記憶が蘇った。
『ミーは困っているトモダチを助ける』
並行世界から来た唯一の悪魔側の助っ人の声。彼は四段変形する等身型ロボットで気のいいトモダチだった。
しかし、一緒に逃げる最中に勇者に襲われ俺をかばいバラバラになって散った。
俺なんか守っても一銭の得にもならないのに、彼はトモダチだからと言って俺を護ってくれた。
そうだ。俺は、大事な本当のトモダチを忘れ、こんな偽りの松川と付き合っていたなんて恥ずかしい。
「へへっ……それじゃっもらおうかなぁ……お前の」
「ぐっ……にゃっ!」
小林はいよいよ本気だ。
不味いっ早く『思いだせっ!』俺の本当のトモダチの名をっ!
彼の名は……。
初めて彼と出会い意気投合した遥か昔を思い出した。
『ミーはこことは違う並行世界から来た。宇宙人の超科学技術によって生まれた機械生命体。名は気楽な-兵器。おっと!E-アルマーと呼んでくれ』
「にゃっ!アルマーかぁ、アタチはサタンにゃよろしくにゃっ♬」
『オウ!ユーはミーのトモダチネ』
俺とアルマーは握手を交わしてトモダチとなった。そうだ!彼は言った。
『必ず助けると!』
だから俺は大きく息を吸って……。
「アルマァァァアアアアーー〜ーーッ!!」
「コイツッ……なにっ!?」
「うわっ!」
俺の声に反応したのかアルマーの頭部に覆われていた石灰岩が崩れ落ち、綺麗な装甲が露わになった。
そして菱形のツインアイが真っ赤に光ったと同時に動き出し、小林と松川の首根っこを掴んで持ちあげた。
「アルマーーッ!!」
『良くぞミーの名を呼んでくれた友よ。あの日、あの三百年前……お前を勇者の手から助けられなかったあの無念な想い…………やっと叶えることが出来る!」
そう言って俺を見下ろす頼もしい全長3メートルのE-アルマー。
俺は溢れ出る涙で彼の姿がボヤけて見えた。




