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ちびっ子猫口調TSサタンちゃまは悪魔ガチャで頼れる部下を集め、仲間と一緒に異世界大陸を楽しく冒険するにゃん♬  作者: 大空司あゆむ
日本クエスト編

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サタンちゃまとトモダチ1

 

 どうやら俺は本当にサタンの生まれ変わりらしい。

 これまでサタンがやってきた悪行を映像で見せられ、おまけに封印された記憶も大天使ガブリエルに解除されて、少しづつ記憶が戻ってきた。


 それで自身が手下に命令し、多くの人が死ぬ映像を見せられ罪の意識が耐え切れなくなってパーティーから抜け出した。

 転生前の自分なら罪の意識なんてどこ吹く風だけど、良心を植えつけられた俺だから耐えられず逃げた。


 行き場をなくした俺は、京都四条の街を一人トボトボとアテもなく歩いていた。そんな時に声を掛けてくれたのが親友の松川だ。


 松川と言えばパーティーが全滅して行き場を失ったところを俺が頼んで一時的に受け入れた。

 その恩があってか一人で歩く俺を見かけて声を掛けたらしい。


 適当な公園のベンチに座ると俺は松川に聞いた。


「お前あれからどこに行ってたにゃっ?」

「ハハッ!」

「……」


 コッチは真面目に聞いてるのだから笑うなよ。そろそろ俺の猫口調に慣れろよな。


「いやいや悪い……あれからよ。あの〜なんだっけ、剣山の常連のシン・何某……」


 松川は鼻の下を摩りながら思い出しながら言った。しかし普通忘れるかインパクトある常連の名を?


「シン・中島にゃ」

「あっそうそう。彼に知り合いの冒険者紹介されて急ぎだったから、お前に言いそびれた」

「それにゃらいいにゃ……」

「でよ、今から亀岡市に俺の冒険者チームのリーダーと待ち合わせてんだけど一緒に行くか?」

「にゃっ……」


 何故亀岡市なのかさっぱり分からなかったけど、行き場のない俺が断る選択肢はなかった。


「んじゃっ悪いけど、今すぐ行くぞ」


 松川がベンチから立ちあがって俺に手を伸ばした。

 確かに俺は勝手に聖女さまから逃げた訳だから追われる身。だからモタモタしてるよりは早く行動した方がいいな。


 俺と松川は電車に乗って亀岡市を目指した。

 どうでもいいけど(幼女)を連れたお前……通報だけはされるなよ。


 □ □ □


 亀岡駅に着くと女二人を引き連れたおじさん冒険者がむかえてくれた。


「紹介するよ。彼が俺を受け入れてくれた冒険者リーダーのボーイング・小林」

「にゃっ!」


 なんと言うセンスの悪いネーミングだ。どう見ても日本人のおっさんで飛行機好きでその名をつけたと思うけど、まさかハーフじゃないよな?


「ハハッ!いやぁ〜飛行機はいいよね〜俺は稼いだ金で毎年海外旅行に行くのが趣味でね〜特にフロリダの風は最高だよ」

「にゃっ……」


 この男……聞いてもいないこと初対面にベラベラと良く喋るな。しかしまたクセのある男と知り合ってしまった。

 松川お前のせいだぞ。


「で、そこのお姉さん方はにゃにものにゃっ?」

「キャハハッ!なにこの子の喋り方ウケる〜」

「猫みたいで可愛い〜」

「……」


 早速若いお姉さん二人に笑われて俺は沈黙した。そりゃ初めて俺の猫口調を聞いたら笑うよな。


「おいおい。二人共笑うなよクク……」

「にゃっ…………」


『オイ!』ボーイング・小林。お前も笑ってるだろ?


「いやいや済まん。コイツらは俺の嫁だ」

「にゃっ!?」


 日本では一夫多妻制度は認められてないが?

 もしかして一人は公認の愛人か?


「しかしにゃんでアタチを受け入れてくれたのかにゃ?」

「なんでって……かつては無能スキル持ちと呼ばれパーティーから追放された俺だから分かるのさ。お前の気持ちがな……」

「無能スキル持ち?」

「そいつは今回の目的地についたら話してやろう」


 ちょっと勿体ぶったボーイング・小林が手招きして駐車場に向かった。

 俺と松川はボーイング・小林のエアカーに乗り込むと目的地の嵐山公園に向かった。


 □ □ □


 亀岡市にある嵐山公園は観光名所の一つだったが、三百年前突如立ち入り禁止区域に指定された。

 嵐山公園が立ち入り禁止区域にされた理由は考古学上重要な遺跡が発見されたとされてるが、ボーイング・小林はそこにとんでもないお宝が隠されていると推理した。


「おいっ着いたぞ」


 辺りはすでに真っ暗闇の夜の駐車場。

 まさか今から冒険するのかと疑ったが、どうやらそのつもりらしい。

 なにせ、立ち入り禁止区域に侵入してお宝を発掘するから真っ昼間より、人目につかない夜の方が好都合らしい。

 全くこれは冒険者と言うより、犯罪者の思考だな。


 今さらながら俺はとんでもない奴と関わってしまったのかも知れない。

 とは言え、今の俺に行き場を選り好みしている立場ではないのだ……。


 女二人残して俺たちは、駐車場から歩いて嵐山公園近くまで来た。

 公園の周りには侵入を拒むように3メートルのコンクリートの壁で覆われていた。

 しかし、それほど重要でないのか警備兵は常駐してなかった。


「さて、この壁をどうやって乗り越えて行くかだな……」


 壁を見あげるボーイング・小林がアゴを撫でながら呟いた。そしてコッチを向くと昔語りを始めた。


「俺はかつて仲間から無能スキルと不本意なあだ名をつけられた。そう言われたのも理由があってな。膨大なスキルを所持出来る容量持ちだったが、肝心のスキルを一つも持ってなかったから無能と判断され、仲間に追放されたんだ」


 ずいぶん長々した恨み節だなボーイング・小林。それでどうなった?


「ふうむ。下手に壁を壊すと警報装置が発動するかもなぁ……じゃあ、やっぱり飛び越えて侵入するか……」

「小林隊長っ飛ぶって無理ですよ」

「なに大丈夫だ松川。俺にはスキルがある」


 さっきスキルないって言ってたよな……。


 俺の疑問を他所にボーイング・小林がしゃがんで地に右手を添えた。


「土スキル発動っ!」


 ガボッ!


 土が隆起して壁の前に土の階段が形成された。『う〜む』なんとか錬金術みたいだな……頑張れ。


「コレは俺の数あるスキルの一つだ。あとは歩いて壁を越えればいいだけだ……」


『もっとスキルあるのかよ?』複数スキル持ちなんか聞いたことないぞ。

 この男は、名前だけじゃなくなにかがおかしい……。


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