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ふてぶてしいが100倍可愛いちびっ子サタンちゃまと異世界冒険記  作者: 大空司あゆむ
日本クエスト編

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サタンちゃまと金ピカスライム騒動その後

 

「わたくしの知らない間にクエストが終わっていたとはね〜……」


 ため息混じりに聖女さまが言うと俺の顔を見てから、大量に散らばる金色の魔石に目を移した。


「にゃっ!それにゃそのっ……」


 聖女さまに魔石が没収されるかと思って俺は、手を伸ばして焦った。

 すると彼女は真顔で『盗まれるといけないから、すぐに回収しなさい』と指示した。そうそう。笑顔の場合は怒っていて、真顔だと意外と冷静を保っている。

 つまり、聖女さまの場合は表情だけでは感情を読み取れないってこと。そこはまぁ、しばらく一緒に生活すると彼女の癖が分かるんだよ。


 俺はモスマンを呼び出して魔石を回収させた。洞窟の魔石も回収したかったけど崩れたから無理かなぁ……。


「ところで怪しい彼女は?」

「にゃっ!」


 聖女さまが紅蜘蛛を見ながら聞いた。いくらなんでも初対面の人に怪しいって聞くか?

 まぁ、確かに怪しい格好だけどね。


「あ〜ら、コレはコレは聖女様じゃないですか」


 目が合って紅蜘蛛から寄って来た。


「聖女パラルよ」

「ほっほっ清楚でお綺麗ね♡ アタシは前世が元悪のくノ一。そして生まれ変わり天使騎士となった紅蜘蛛よ。よろしくねリーダー♡」


 ウインクして握手を求める紅蜘蛛。

 どうでもいいけど、自己紹介で元悪のくノ一ってのが彼女の鉄板なのか?


「………………………………………こちらこそ」


 聖女さまはしばらく躊躇(ちゅうちょ)してから紅蜘蛛の手を握った。

 そのあと紅蜘蛛は『失礼ね〜』と口に出した。いや、貴女が聖女さまに色目使うからだよ。


「いやぁしかし、エライ騒ぎだなぁ」


 美味しいところを持って行った谷川シェフが聖女さまに話し掛けた。


「おっ……」


 すると紅蜘蛛と目が合った。


「しっ師匠っ!」

「あら、谷川じゃない。元気してた?」


『にゃっ!』以前くノ一の元で修行したと聞いてたからまさかと思っていたが、それでも紅蜘蛛が谷川シェフの師匠とは改めてビックリだ。


「ちょっとマジで谷川シェフの師匠がこんな(・・・)変態っ?」


 メリーが寄って来た。


「あらぁ〜失礼なツインテちゃんね〜〜ムカつくからお仕置きしちゃいましょうか……ひょひょっ♡」

「イッ!!」


 紅蜘蛛に舐めるように見られたメリーは、涙目になって聖女さまの陰に隠れた。

 改めて俺は紅蜘蛛の対象外で良かったと思う。


「ところでクレナ」


 唐突に紅蜘蛛の狙いがクレナに変わった。例の罰ゲームを要求する気だ。

『しまった』こんなことならクレナを仕舞っておけば良かった。


「貴様っ馴れ馴れしいぞっ!」

「あら〜そんなこと言っていいの? アタシとの勝負に負けた癖して?」

「チッ……それはじ、事実だな……で、私になにを求める?」

「あらっ白々しい。負けたらアタシが用意した眼鏡掛ける約束だったわよね?」


 ニタついた紅蜘蛛が胸元から縁の無い四角いレンズの眼鏡を取り出した。


「ぐっ……!」

「ほらっアンタも騎士なら、負けを認めてさっさと掛けなさいよ」


 急に口調が強くなったな。このくノ一は揺すりのプロだわ。


「くっ……い、一回だけだぞ……」

「わおっ♡」


 観念したクレナは顔真っ赤にして嫌々しながら眼鏡を掛けた。その恥じらいの仕草を見た紅蜘蛛が歓喜した。


「ほらーっ眼鏡掛けたらユウキちゃんそっくりじゃないのよ。懐かしいわ〜」


 感激した紅蜘蛛がクレナの右手を握った。

 しかし懐かしいってユウキ艦長とやらにしばらく会ってないってことか?


「たまんない♡ 眼鏡が似合ってるわよクレナちゃん♡ 良かったらアタシと付き合わないっ?」

「ええいっ!断るっ手を握るなっ!」


 クレナは紅蜘蛛の手をむげに払い退け俺の背後に待避した。

 まぁ、彼女も今日は散々だったな。


 腕組みして苛立ち気味のメリーが紅蜘蛛を睨んでいた。


「アンタまだいたの?」

「あら、失礼ね〜……でも決めたわよ」

「はあっ? なにがよっ!」

「アタシ今日から聖女チームに入るわ」

「ちょっと冗談っアンタ勝ったんだから罰ゲーム受けることないでしょっ?」


 全力で紅蜘蛛の加入を阻止しようとするメリー。確かに狙われている彼女にとって死活問題だからな……。

 しかしまぁメリーの抵抗虚しく、聖女さまの了承を得た紅蜘蛛が仲間に加入した。


 さて、街中はスライム騒動で大騒ぎだ。

 多くの野次馬が俺たちを取り囲み、仕舞いにはエアパトカー五台と救急車と消防車が集結した。

 不謹慎だけど騒ぎが大きくなってワクワクして来た。


 警官がパトカーから降りて来た。

 しかしまぁ、悪いことしてないのに警察見ると緊張するよな。


「許可は取っております」


 訪ねて来た警察官に聖女さまはなにやら政府公認のクエスト許可証を見せた。

 すると若い警官は敬礼して『存じております。しかしながら、事情聴取のご協力をお願いいたします』と言った。


「分かりました。皆を集めますから少々お待ちを」


 警官にそう言ってから聖女さまは目配せすると、理解した俺は皆を呼びに行った。

 紅蜘蛛を含め仲間が集まった。一応分かんないので悪魔も呼んだけど、一番背が高いモスマンが皆のうしろで待っている光景はシュールだ。


 竜神さまがこれまでの経緯を警官に話した。

 まぁ、異世界人も珍しくない世の中になったとはいえ、幼女化した竜神さまと会話する警官は困惑しながら事情聴取していた。


 それでなんとか事情を説明して器物損壊の罪に捕われる事態は免れたが、最後に名前を聞かれた。

 え〜どうしょう……。


「お嬢ちゃんの名は?」

「にゃっ!?」


 早速俺の番が来たっ!

 仕方ないので幼女化する前の本名を名乗ってから『サタンちゃま』と言った。

 すると警官はメモを取りながら険しい顔で首をひねった。


「お嬢ちゃん……真面目に答えなさい」

「にゃっ!」


 クソ真面目な警官に冗談は通じないらしい。見事にスカした俺は焦った。でもそのあと聖女さまがフォローに入ってことなきを得た。

 しかし、そのあとの紅蜘蛛の事情聴取が酷かった。


「ほっほっ♬ アタシの名は紅蜘蛛よ」

「はぁ……紅蜘蛛さんですか……ええっと、それは本名ですか?」

「もちろんそうよ」

「は、はぁ……では職業とご年齢を……」


 顔を引きつらせながら汗だくの警官が聴取を続けた。


「あらっ女性の年齢を聞くなんて失礼ね〜?」

「いやすみません。これは規則なんで……」

「仕方ないわね〜いいわ。耳をかっぽじってよーく聞くがいいわ」

「は、はぁ……」


 今時そんな言い回しする奴いねーだろと思った。ほら、警官を困らせるなよ紅蜘蛛。


「職業は元悪のくノ一で、天使軍所属の天使騎士よ」

「えっ!? ちょっと待って元悪のくノ一?」


 寄りによって警察に、それはややっこしくなるから言わんでいいだろうと俺は思った。


「アタシは戦国時代生まれで死んでからしばらく地獄に居てから改心して天使騎士に生まれ変わった。それで現在まで生きてざっと九百年は生きてるわね〜」

「きゅっ九百年ですか……は、はぁ……判りました……」


「にゃっ!?」


 死んでいた時間まで年齢に入れるのはどうかと思うが……自信気に答える紅蜘蛛。この女に常識は通用しないんだ。

 さて、警官は考えるのを早速放棄した。

 彼は証言のまま無心でメモを取った。そのあと、他の仲間の事情聴取も似たようだったので、各人の描写解説は長くなるので省く。


「さて、無事事情聴取も済んだところだし、旅館に戻って夕食を済ませましょう」


 手を合わせ、にこやかに聖女さまが言った。

 時間にして夜の10時を回っていたが、まだ旅館内の和風レストランはまだ開いていると言うので向かった。


 □ □ □


「さて、本日はご苦労様でした」


 レストランの畳席に着くなり聖女さまが俺たちに礼を言って手を合わせた。

 そりゃそうだろ。当の本人は旅館でくつろいでいる間に、俺たちがクエストを終わらせたんだ。

 しかも、本人はなにもしてないのに政府から多額の報酬を貰えるから、内心笑いが止まらないのだろう。


「ねえっ聖女さまぁ〜今回入手した魔石はどうするにゃ?」


 黙ってるとあとが怖いので自分から申告した。すると聖女さまはニッコリ笑って、


「好きに使いなさい」

「にゃっ!?」


 俺に全てを譲った。

 そう言っても高価そうな金ピカ魔石大量にあるぞ。貰えるなら喜んでいただくけど、あとから返せとか言わないでよ。

 しかし、聖女さまはよっぽど楽出来たのが嬉しかったらしい。その代わり俺たちは散々な目に遭ったけどな。


「ねえねえっあたしレベルアップしたのよ見てっ!」


 テーブルに身を乗り出したメリーが自慢気にステータスオープンした。


【 職業剣士レベル53 魔力51 攻撃力670 力530 体力720 素早さ830 幸運110 特殊スキル鑑定レベル4 】


 と思わず覗き見して見た。

 まぁ、まずまずな数値だな。


「へへ〜ん♬ 金ピカスライム結構倒したから一気にレベルアップしちゃったねのよね〜♪」


『やれやれ』いっちゃ悪いけど、この程度のレベルアップでメリーは上機嫌だ。

 で、これから判明する俺のレベル見たら腰抜かすぞ。なにせあり得ない速度でレベルアップ通知が来たからな。


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