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ちびっ子猫口調TSサタンちゃまは悪魔ガチャで頼れる部下を集め、仲間と一緒に異世界大陸を楽しく冒険するにゃん♬  作者: 大空司あゆむ
日本クエスト編

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サタンちゃまと渓谷の主3

 

 渓谷の主を倒して束の間。空気が一変して、突然現れたゴーストの群れに俺たちは囲まれた。


「ちょっと薄気味悪いわね……」


 あのメリーでさえ可視化出来るほどゴーストの姿がハッキリ見える。

 しかし、この魔物はいつ竜ノ口渓谷に居着いたのだろうか? いや違うかも知れない。何故なら彼らは、元からこの場所に居たのだから……。


「ゴーストですか」


 険しい表情の聖女さまがロッドを握った。銀色の先端が十字の回復系ロッドだ。

 話しはそれるが、十字架と言えば異世界にもキリスト教があるのかと以前疑問に思った。それで調べたらキリストを信仰している訳じゃなく、十字架が魔物に効くと信じられていて装飾に使われているそうだ。


「聖女様お願いっ!」


 相手は実体のないゴーストだから剣で倒すことは出来ない。だからメリーは聖女さまに頼った。

 聞き入れた彼女は静かに『分かりました』と返事して目を瞑り、戦女神に捧げる呪文を詠唱し始めた。


「戦女神ヴァルキュリア様…………どうか、邪悪なるゴーストを討ち払う力をあたくしにお与えくださいまし……」


 胸に手を当てて祈る聖女さまのロッドの先端が神々しく光り始めた。

 そしてロッドを頭上より高く掲げ目をゆっくりと開けた。


「悪しきゴーストを焼き払え聖なる風と火を」

「にゃっ!」


 聖女さまを中心にグリーン色の風が反時計回りに渦を巻いた。

 清らかな聖なる風は人を癒すはずなのに俺は身震いし驚き、この風を恐れた。

 ああ、本当に俺は悪魔なんだな……悪魔の身体だからこそ聖なる力に恐怖を抱いたんだ。


「待つのだ聖女っ!」


 キンッ!


 風の中心に飛び出して来たエイトさんが斧で、聖女さまのロッドを止めた。

 すると風が止んだ。


「これはどう言うことでしょうか天使様……?」


 (いぶか)しげな目で振り向く聖女さま。


「ここにいる霊はゴーストなる邪悪な魔王の手下ではないのだ」

「では、自然発生系のゴーストですわね?」

「それも違うのだ。良く見るんだ彼らの服装を」


 エイトさんが斧で指し示した。


「彼らの服装……あら、こちらの世界の服装ですわね……」


 聖女さまの言う通り目を凝らして見ると、俺たちを取り囲むゴーストの服装は皆現代風の服装だった。つまりこれは魔物ではなく自殺者の幽霊だ。

 そう分かるとRPGから一変、怪談系に話が切り替わった。これは霊能者か僧侶の出番だな。


「迷える哀しい魂なのだ。だから焼きつけてはダメなのら……」

「……分かりました。ではどうすれば?」

「……神に仕える聖女様が分からないの? あのねっ聖なる光りで迷える魂を天に送ってやるのだよ」


 そう答えたエイトさんの服装が、たこ焼き従業員服から純白のうっすい生地のボディースーツ変化した。まるでレオタードだな。

 んで、彼女の全身が(まばゆ)い光りに包まれた。


「こっこの光りはっ!」


 聖女さまが聞くと、エイトさんが振り向き『聖なる太陽光(ホーリーサンライト)』と答えた。

 魔力とは違う聖なる光りが死霊を包み込み、光の粒子になり浄化されて天に昇って行った。


「残り数体なのだ……」


 エイトさんが橋の下をジッと見詰めながら呟いた。まだ浄化しきれない霊がなにかを訴えるように手を伸ばしていた。

 それぞれ皆深刻な事情があって自らの手で命を絶ったんだろう。

 そう思うと俺は哀れに思った。


 あれ…………記憶が無いとはいえ、俺は悪魔王サタンだ。

 その悪魔の俺が何故死霊に同情心を抱く? 

 その感情は良心から発生するものじゃないか? 

 それを疑問に思った。


「大丈夫なのだ。全員天に届けるのだ」


 シューーッ


 エイトさんが心強い言葉を言った瞬間。残りの霊たちが大口を開けた何者かに吸い込まれた。


「!?」


 ハッとするエイトさんが橋の下の奥を見詰めた。

 そこになにか巨大なモノが居て空気が揺らめいていた。

 そしてエイトさんが呟いた。


「竜神…………」


 エイトさんがその名を口にした瞬間、揺らめく空気が動いた。

 それは巨大な蛇のような太くて長いシルエット。それが段々と姿がハッキリしてきた。


 全長約10メートルの緑色の鱗がビッシリ生えた蛇のような胴体に短い手足が生えていて、獰猛な牙の生えた口と眉間の上に生えた二本の二股の角と、馬のような立て髪をなびかせ赤い目を光らせていた。

 その姿はまさに竜神様だった。


またこの地を(・・・・・・)荒らしに来た者か(・・・・・・・・)……」


 威厳があり、怒りに満ちた声で竜神様が呟いた。

 意思疎通が出来ると知って皆目を合わした。しかし、荒らしに来たとは俺たちが魔物を狩ったからか?


「待つんだ竜神っこの者たちは、この渓谷に巣食う魔物を退治しに来ただけなのだっ!」


 竜神様のただなぬ雰囲気を察したエイトさんが飛び出し、両手を広げ弁明した。


『ぐるるるるっ…………天使が何故人と居る……しかもこともあろうか、悪魔も一緒とは我を謀るか?』

「違うのだっ!この者は魔王討伐のため一緒に旅をする仲間なのだっ!」

『仲間っ? 魔王……やはり主らはこの地を汚すのみならずワシを殺しに来たのか……ならば応えてやろう……』

「違っ…………!」


 聞く耳持たない竜神様に、エイトさんが否定しようとするが異常に気づき口を閉ざした。

 竜神様の半透明の身体がジワジワと立体的になってきたからだ。


「実体化する。竜神様は本気なのだ。皆んな今すぐ逃げるのだっ!」


 手で払い除けると斧で構え竜神と対峙するエイトさん。

 彼女は俺たちを逃すために囮になるつもりだ。


『ぬうぅ…………』


 竜神様の全身に鮮やかな色がハッキリして立体的になった。

 実体化した神の力なんて想像したことないが恐らく異次元の強さ。これで俺たちを物理的に侵入者を殺せる訳だ……。


 とは言えエイトさんに逃げろと言われても、誰一人後ずさりする者はいなかった。


「サタン様っ」

「にゃっ!?」


 ひざまづく悪魔騎士のクレナが俺に話し掛けた。


「このクレナに竜神と手合わせする機会をお与えください」

「本気かクレニャ……」

「はい」


 ひたむきな目で俺を見詰めるクレナがうなづいた。


「そうかにゃ……」


 部下の願いをむげに断わることが出来なかった俺は、ポケットから全ての魔石を取り出しクレナに手渡した。

 止めやしない。

 だからせめてレベルアップしてから竜神との戦いに備えようと魔石を渡したんだ。


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