サタンちゃまと異世界転移22 準決勝当日朝のミーティング
準決勝の朝をむかえた。
対戦相手は、女だけのアイドル冒険チームのレインボーガールズだ。当日まで彼女らの対策はしなかった。
ところでガマハウスの前妙にが騒がしい。だからベッドから起きた俺は入り口まで近づき、ドアをそっと開けると20人ほどの見知らぬ男たちが入り口を塞いでいた。
「にゃんにゃおみゃえら……」
「やっと出て来たか……お前が例のサタンちゃまだな?」
「にゃ……」
表に出ると中央で腕組みした男が話し掛けてきた。顔はまぁ並以下でピンク色のハッピとハチマキ巻いて、うしろの奴なんてハートマーク入りの旗を掲げていた。
なんか懐かしいと思ったら、コイツらアイドルオタクっぽいな。まさか秋葉原から転移して来たのか……。
しかし、朝から出待ちとはまさか……。
「にゃんにゃアタチのファンかにゃ?」
「んなわけねーだろっ!」
「にゃっ!」
男が俺に近づき詰め寄った。
「俺の名は……」
「にゃのらんでいいにゃっ、モブの名を聞いたところですぐ忘れるにゃ」
「こっ、こいつ言いやがる……まぁいい、レインボーガールズ親衛隊を舐めんじゃねぇぞ……」
「にゃっ親衛隊……」
やっぱりアイドルの取り巻きじゃないか。
しかし、試合とはいえ下手にアイドルに傷つけると炎上して大変なことになる。だから今回の試合で厄介なのがコイツらファンの存在だな。
「それでにゃんにゃ?」
「おうっ、にゃんにゃじゃねーよちびっ子。今日の試合俺らのアイドル。特にリーザちゃんを傷付けたら承知しねーからな!」
「にゃ、分かったにゃ」
「…………おいっ! 聞いてんのかっ?」
「聞いてるにゃ、どんにゃ脅しを受けてもアタチらは一切手を抜かないにゃっ」
「こっ、この死にたいのか……」
『馬鹿目、コッチの台詞だ』厄介な者たちは捨て台詞を吐いてすごすごと撤退した。
さて、今回も勝利するが、相手は女の子でアイドルチームだから、コッチも女の子で対抗しよう。
「ちょっとちびっ子……今騒がしかったけどなにがあったの……」
まぶたを擦りながらメリーが起きて来た。
「にゃっ、いいところに来たメリー良く聞け」
「なによ……」
「今日は特別におみゃえに出番をくれてやるにゃ」
「朝からくっそ偉そうね……」
「にゃにゃっにゃっ♬」
両手を腰に添えて高笑いした俺は空を見あげた。今日は試合日和な雲の無い青空だ。
■ ■ ■
闘技場入場ゲート前に集まったんで、俺が中心となって最終ミーティングを始めた。
「今回の相手は全員おんにゃの子にゃから、こちらも女子でいくにゃ」
「ふう〜ようやくアタシの出番か〜」
ため息混じりで言ったビビットさんが、人差し指でトンガリ帽を上に押すと目を輝かせた。
「わ、私なんか役に立つのであろうか……」
ザレオンさんが人差し指同士を合わせてモジモジした。
見掛けは立派な女性騎士だが、自己主張しない控え目と言うか、自己評価が低くく思っているんだろうな。だが、俺から言わせればそんなことないよ。
「妾も出るのじゃ」
たい焼き大好きムー大陸の姫王リオンがシールドロッド握ってヤル気満々だ。
「ヤル気はいいにゃしかし、おみゃえ守備系にゃろ?」
「なにを言うかっ! また吹き飛ばされたいか?」
「にゃっ、ノーニャンキューにゃっ!」
冗談で言ったつもりが、眉を釣りあげたリオンにシールドロッドの先を向けられてたまらず俺は、両手をあげた。
朝から幼女飛ばし競技は勘弁だ。
さて残りの女子は……周囲を見渡した俺はエイトさんと目が合った。すると彼女の右肩がビクッと痙攣した。
そんなにビビらんでも……。
「な、なにか用か悪魔王…………」
「逃げんにゃっ!」
後ずさりしたエイトさんに俺はチョイチョイ手招きした。
「誰がちびっ子ごときに逃げるのら……」
『おっ!』戻って来た。
「たこ焼き屋も今回戦うにゃろ?」
「……その呼び方やめるのら。……しかし、相手が女子チームなら女が相手するしかあるまいな」
「にゃあ頼むにゃ」
「……悪魔王に言われなくともそうしてたのら」
さて、最後はフードで顔を隠した謎の助っ人だな。俺は隅っこで黙っているソイツの元に近づいた。
「おみゃえも出るにゃろ?」
「サタンか……言っとくが、わたしが出なくてもこの面子なら余裕で準決勝突破出来るだろ?」
「そう言う問題にゃにゃい」
「な、に……じゃあどうして……」
俺の答えに困惑するフードの女。
「アタチは一人だけハブる下劣な行為は嫌いにゃんにゃ」
俺は実際高校男子時代にハブられた苦い経験があるからな。
「ふんっ、悪魔が下劣な行為が嫌いだと? 笑わせるな」
「にゃむ〜駄目かにゃ?」
「駄目とは言ってねーよ」
背を向けたフードの女が腕組みした。
「仕方ねーなぁ、出番はねーと思うが、決勝戦でくそったれイカれピンク髪勇者ブッ飛ばすため力を貸してあげるわよ」
「にゃっその恨み節……おみゃえはアルベードににゃにされた?」
「……お前には関係ねーだろっ!」
俺の質問が気に食わなかったのか、フードの女はスネて質問に答えなくなった。
「これで戦う女子全員かにゃ」
「ちょっと待ちなさいっ!」
顔真っ赤にしたメリーが、前に集まる仲間をかき分け俺に詰め寄った。
「にゃんにゃメリー?」
「にゃんにゃじゃないわよちびっ子! ハブるのは嫌いと言っておいて早速このあたしを無視してんじゃないわよ!」
「悪いにゃ、忘れてたにゃ……」
「アンタ……あたしに首絞められたい? それともゲンコツがお好き?」
「にゃっにゃっ!」
この暴力ツインテはマジでやりかねないから俺は慌てて、両手の平を振った。
「ふんっ、しかし面倒臭いわね。あの程度のアイドルチームなんかアンタ得意の頭突きで勝てるでしょう?」
「確かにそうにゃが、たまにはお前にゃの出番を作ってにゃらんとにゃ」
「なによ腕組みして偉そうに……とはいえ、アンタの活躍で決勝まで行ったから素直に誉めてあげるわよ」
「にゃっ……」
言い方が素直じゃない。
パンパカパ〜〜ン
会場からファンファーレが鳴った。どうやら相手チームの入場が始まったみたいだ。さて、俺たちの出番のようだ。
「おみゃえら行くのにゃ」
「『おおーー!!』」
全員が右手をあげ気合の声をあげた。
そして俺が先頭で女子が続き珍しく男子が後ろで入場ゲートを潜った。




