サタンちゃまと異世界転移20 泥沼
次回更新時に作品のタイトルをもっと読まれるように分かり易く変更します。もちろんサタンちゃまのワードは入れます。
準決勝対戦チームことレインボーガールズリーダーリーザに名指しで戦線布告された俺。皆美少女アイドルで厄介な信者がついてるし、綺麗な顔を傷付けたらと思うと正直やり難い。
いつものような粗暴ない輩が相手ならすんごく戦い易かった。
「ふにゃ〜〜」
だから思わずため息が出た。
「ちょっとアタシ相手になにため息吐いちゃっているのサタンちゃま!」
「……にゃんにゃテンション高い女にゃ」
疲れているから指差すなよ。
「ふんっ、失礼ね。ただの女じゃない。アタシは勇者よ」
勝気な性格なのか鼻息荒いリーザが腕組みした。こりゃ似た感じのメリーより酷い。ちょっと関わりたくない……。
「ちょっと待つにゃ、この世界の勇者って何人もいるのかにゃ?」
「はぁ〜なにを寝ぼけたことを……勇者はアタシ一人よ」
「いにゃっ、有名にゃ勇者はアルベードにゃろ?」
「………………………………こっ!」
「にゃっ!」
アルベードの名を口にしたらリーザの表情が見る見る不機嫌そうに変化した。
「クッソ許婚のアルベードの名をアタシの前で言うんじゃねーよちびっ子!」
「にゃっ!」
リーザが俺の襟首を掴んで詰め寄った。急にガラが悪くなったのも驚いたが、それよりアルベードが許婚とはもっと衝撃だ。
ちょっと重要な話だから詳しく聞こう。
「勇者アルベードがおみゃえの許婚とはどう言うことにゃ?」
「チッ! だから奴の名をアタシの前で言うんじゃねーよドクソチビがっ!」
「にゃっ!」
『これがリーザの本性……』しかしファンの前でバラして大丈夫なのか?
「ちょっとやめなさいよ」
メリーが助けに割って入った。
「なんだオメー邪魔すんなよ……」
「うるさいわねっ、こんなんでもちびっ子はあたしの仲間なんだから絡まれたら助けるのが当然よ」
「ふんっ、勝手にしろ」
襟首から手を離したリーザは背を向けまた腕組みした。
「親同士取り決めた許婚……アタシだって好きでアルベードと結婚したいんじゃない……」
「にゃっ!?」
ファンの前でアイドルが絶対言っちゃダメな台詞だ。
「それで嫌な現実を忘れるためアタシはアイドル活動を始めた。だけど、結婚式が迫っていた。だから直接アイツに婚約破棄を直訴した。したらどうだ。薄ら笑い浮かべたアイツは『嫌なら武術大会に出場して僕ちゃんに勝てたら婚約破棄してやる』と無理難題言ってきたんだ……」
深刻な表情に変わったリーザは握った右手を見つめた。
あんな奴が許婚とは悲惨な人生を歩んでいるんだなリーザ。しかし納得した。だからアイドルチームが武術大会に出場する意味が分かった。
しかし勇者アルベードはマジで強いから勝つのは難しいだろう。しかもその前に俺らに勝たないと勇者チームと戦うことすら出来ないからな。
だからこの女は必死でカリカリしてたんだな……同情するが、まぁ…………………頑張れ。
「にゃにゃにゃにゃっ♬」
「きっ、貴様ぁぁっなにを笑ってるんだっ!?」
「にゃっ……」
思わず笑ってしまい。キレたリーザが俺の肩を掴んだ。
「おいおい、彼氏をほっといて、そんなチビとなにをモメてるんだい?」
「…………………フミオか」
「にゃっ?」
リーザは俺の肩から手を離した。
また妙な冒険者風リーゼント男がリーザに声を掛けて来た。
しかしなんだフミオって名前は日本人みたいだな。
「……ストーカーの分際でアタシの彼氏とか言うなっ」
「そりゃねーぜリーザちゃん。まだひよっ子だったお前に剣術を教えたのはこのフミーオ・カワムコウダだぜ?」
『にゃっ!』なんちゅうフルネームだ。
「それは最初だけだし、アンタの教えは滅茶苦茶だったから、離れたあとちゃんとした師匠を見つけて一から鍛え直してもらったわ」
フミオはなんちゃって師匠だったのか。で、関わったが最後、未だにストーカーとして付きまとわれているわけか……彼女は華やかなアイドルに見えたけど、勇者に勝てないと結婚。チンピラストーカーに付きまとわれ滅茶苦茶泥沼人生だな……南無。
「それはいいけどよ〜俺との結婚はいつするの?」
「ね〜よ死ね!」
「ハッ! 相変わらず気が強いね〜、と言うかカリカリしてんのは、武術大会で勇者チームに勝てねーと好きでもねー男と結婚の約束だもんなぁ〜そりゃ〜必死になる。……だが安心しろ」
「なっ、なによアンタ……」
三枚目のモヒカン男が急に真顔になってリーザの肩に触れた。しかし『安心しろって』なにを根拠に……。
「俺ら世紀末山賊同盟が準決勝で勇者チームをぶっ飛ば〜〜すから、チャラ男勇者なんかとの結婚なんかさせねーから安心しろって言ってんだよ」
「フミオ…………勇者チームに勝つなんて無理だろ……」
「あ〜〜あ、ああ! そんなこと言うなよ〜〜リーザちゃん。俺だって真っ向から勇者に勝てるなんて思ってね〜よ。だからさぁ」
『にゃっ』だからさぁってなんだ……。
「奴に勝つために色々手を打ってあるから心配すんな〜」
「知るか死ねっ! 大体アタシはお前もっ!」
リーザがフミオの胸元を指で突いた。
「勇者アルベードも結婚する気はねーからなっ!」
「おいおいつれね〜なぁリーザちゃん。だけど突っぱねるそこが好き♡」
ガラにもなく両手でハートマーク作るなフミオ。
「キモいんだよ。話しは終わったから、さっさと失せなフミオ!」
「ああ、分かったよ。……ところで準決勝進出おめでとう。とはいえ俺が勇者に勝っちゃうから気軽にいけよ〜」
「知るか死ねっ!」
フミオは手を振って酒場から出て行った。
しかしまた妙な輩が出たもんだ……。
「くっそ、ドイツもコイツもふざけやがって……なんでアタシにはろくでもねー男に求婚迫られるんだよ……」
「まぁ頑張れにゃ……」
ちょっとリーザに同情した俺は声を掛けた。すると彼女が怖い真顔で振り向いた。
「頑張れってなんだよ上から目線でちびっ子になにが分かる? えっえっ! な・に・がっ!分かるか今百文字以内で言ってみろ!」
「にゃっ、にゃめろーーっ!」
リーザに首を絞められた。しかし気性が激しいアイドルだな。
「おい寄せよ」
「そんな怒っちゃ、綺麗な顔が台無しだぜ。ここは落ちついて酒でも飲むか?」
見かねたヒューイと犬飼が止めに入った。
「……………えっ」
二人を見たリーザが手で口を押さえると、顔を赤くした。まさかコイツ……。
「これよコレっ!」
「『はあっ?』」
リーザに指を差されたヒューイと犬飼が不思議そうに顔を合わせた。
「やっぱり爽やかイケメンに限るわよ。良し決めた! おいっそこのサタンちゃまっ!」
「次はにゃんにゃっ!?」
今度は俺に指差す元気を取り戻したリーザ。まぁろくでもないこと考えてるんだろうな。
「明日の準決勝っアタシたちが勝ったらそこのイケメン二人もらうわよっ!」
別にいいが、なにを勝ってなことを……。
しかしコッチも負ける訳にはいかないんだな。
「ダメにゃっ、アタチらも決勝選にあがって勇者アルベードチームに勝つのにゃだから」
「こっ……………それじゃアタシがアイツと結婚するハメになるじゃねーか、絶対させねーよ!」
「にゃっ!」
啖呵を切ったリーザがテーブルに片足乗せた。本当ガラが悪い本性見せたアイドル勇者だ。
「とにかくっアタシらがオメーラに勝つから、明日絶対逃げんなよっ!」
そう言ってリーザは仲間に『オメーラ宿に帰って作戦会議だ』と言って、やっと居酒屋から出て行った。しかし最初は華やかなアイドルだと思ったのに、案外激しかったな……。
こうして俺たちは食事を再開して、対アルベードの作戦会議を始めるのであった。
ちなみに準決勝のアイドルチームはノープランでいけるだろう。




