サタンちゃまと異世界転移16 お前のうしろに見える女
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「へ〜〜こんな子供が召喚魔法とは、まぐれか?」
青髪魔法使いのアロイドがそう言ったが、まだ俺を認める気がないみたいだ。いや、『認めたくない』お前のちっぽけなプライドが許さないんだな。
だったらそのプライドをドラコスがヘシ折ることになるんだな。
「ドラコス」
「はっ、サタン様」
俺に呼ばれたドラコスがひざまづいた。見掛けは怖いが、主人に忠実な部下だ。
「アイツら全員ぶっ飛ばしてもいいにゃが、アタチのカルマが増えるからにゃ決して殺すにゃ」
「ハッ、やってみますが、力加減が難しく失敗するやも知れません」
「にゃむ〜〜……あぶにゃかしいにゃ……」
強敵を倒すのが難しいなら分かるが、ドラコスの場合加減して殺さず倒すのが難しいときた。
アイツはそもそも加減を知らないからな。
「にゃら……」
良い案を思いついた俺は振り返ってエイトさんの顔を見た。すると彼女はビクッと肩を揺らした。
「……………」
「にゃっ!」
エイトさんは横向いて俺から視線を逸らした。
「こにゃっ!」
「……な、なんの用だ悪魔王……」
「あのにゃ、ドラコスが万が一対戦相手を殺してしまったにゃら、蘇生出来にゃいか?」
「……ゲームじゃあるまいし無理なのだ」
「にゃんだ……おみゃえに頼んだアタチが悪かったにゃっ」
「……ちょっと待て悪魔王……」
「にゃっ……」
俺に期待外れとばかりに言われカチンときたのかエイトさんが、眠そうな目で呼び止めた。
「天使の力を舐めてもらっては困るのら、そう負傷した者の傷を癒すことは出来るのら……」
「にゃら頼むにゃ」
俺はエイトさんに『話しが済んだら、コッチ来い』と言わんばかりに急かすように手招きした。
「…………」
するとムスッとした表情を浮かべたエイトさんが俺の元に来て、無言でスッと両手を向けてきた。
ムギュッ!
「何様のつもりら悪魔王っ!」
「ふぎゃ〜〜にゃめろ〜〜!」
静かに激怒したエイトさんに首を絞められた。それでブラックウインズに助けを求めるが、二人共その様子を見て笑ってやがる。
『マジの殺意だ』じゃれ合ってんじゃないぞ。
「ほ〜〜白天使か……」
「 !! 」
ドラコスに目を付けられたエイトさんは背筋をピンとしてから、逃げるように離れた。
いかに好みでも奴は味方には手を出さないから戻って来い。
「こにゃっドラコス。アイツが怖がるから舐めるような視線を送るのはやめるにゃ」
『舐めるような視線』自分で言っておいて言い方がアレだが……。
「ハハッ、申し訳ございませんサタン様」
「うにゃっ、くるしゅうにゃい頭をあげるんにゃっ」
「ハハッ…………」
「うんにゃ…………どうしたにゃ?」
ひざまづいてから立ちあがったドラコスが石像のように動かなくなった。
「……いや、白天使を見ていたら……俺の、たぎってしまい……少々お時間をください」
「にゃっ……」
『まぁ男なら良くあることだ』男子高校生時代を経験した俺なら分かる。まぁナニとは言わないが、無の心で落ちつけば身体を動かせるだろう。
とにかくボディラインビチビチのスーツ姿のエイトが100%悪い。
「ダンナ男として辛いすね〜〜」
ガウエルがドラコスの肩に触れて同情した。
「む、む、むむ、むぉぉ〜〜!」
「おっと! いきなり大丈夫すか?」
「心配は要らん。ムラムラした時静めるためには逆に萎えることを念じるのだっ! いくぞっ男男男男愛知県国府宮フンドシ一丁裸男たちが一人の神男に群がる蒸せるはだか祭りムウンッ! 男男っむうううぅぅんんん〜、男男男男男男男男男男男男男男男男男っワッショイ! ムウッまるで男根っ愛知県豊橋っ井筒花火祭りの男衆のようにっセイヤセイヤッ!おっ、おーーとこーー〜〜煩悩退散ええいっ! ……………ふうぅ〜〜〜〜清々しい青空だな……」
『にゃっ!』生憎の曇り空だと言うのに、スッキリした顔でドラコスは空を見あげた。しかし凄い気の静め方だな。どうやらドラコスは萎える言葉を口にすると気持ちが収まるみたいだな。
しかし、例えの二つ共愛知県の祭りで妙に詳しい。しかも神聖な祭りを歪んだ見方してんな……。
「もうにゃんにゃドラコス動けるかにゃ?」
「ふうぅ〜……」
「にゃっ…………」
暑苦しい息を吹き掛けるな……。
「正常に戻りましたので動ける」
『にゃっ……』なにの正常だよ。
「にゃたらさっさといけすかにゃい敵チームを倒して行くんにゃ!」
俺は両手を振りあげてドラコスに命令した。
「ふうむ…………相手青二歳の男11人か……実に、実にたわいもないだろう……」
ブツブツとだがドラコスは頼もしいことを言ってくれる。確かにあの程度の敵なら彼一人で蹴散らしてくれるだろう。
「へ〜〜優秀な魔法使いのこの僕に勝てると思ってんだ?」
アゴの先をあげたアロイドが魔法の杖をドラコスに向けた。
「相手してやるからコッチ来いよ」
「…………」
アロイドがドラコスを挑発する。
しかし足場の少ない水中ステージで奴との距離は30メートル先だ。
「なんだぁ、水が怖くて渡れないのかぁ? まさかカナヅチか? まっ、泳げたとしても水深10メートルのプールには凶暴なファングフィッシュが数匹泳ぎ回っているから、落ちたら終わりだよ」
「……興味ないっ!」
表情を変えないドラコスがコウモリのような翼を広げた。そして羽ばたくと宙に浮いた。
そのまま真っ直ぐドラコスはアロイドに向かって飛んだ。
「チッ! この僕に向かって真っ正面からっ馬鹿かっ喰らえっアイスアロー!」
アロイドの杖の先から青い魔法陣が展開して、無数の氷の矢が出現した。
「無知な奴めっ、僕の魔法で串刺しになれよ」
氷の矢がドラコスに向かって発射された。
「フンッ!」
しかしドラコスが右手で氷の矢を弾き返した。
「フッ、僕の氷の矢に触れたな」
「…………だからなんだ……興味……むっ!」
ドラコスは右手が凍っているのに気づいた。そして氷が広がり腕を覆い下半身から全身を凍らせていく。
「ハハッハハッハーーッ! 触れた者の全身を凍らせる僕の冷気魔法を知らないとはなんて無知な男だ。アッハッハッこのまま水に落ちて魚の餌になるがいい」
「むうっ…………」
全身を凍らされたドラコスは浮力を失い水の中に落ちた。するとしばらくして水面から大量の血が浮きあがってきた。
「アッハッハッ! あのマッチョ魚に喰われたか? 偉そうなこと言っていて大したことなかったなぁ〜〜、さて、次は誰が僕の相手だ?」
ニヤケ顔のアロイドが杖を俺たちに向けた。しかし俺らの仲間は微動だにしない。
「どうした? 一匹死んだんだ。次の相手を送り出せよ弱者共っ!」
ドラコスの恐ろしさ知らない癖にアロイドは言いやがる。とはいえ黙っていても分からないみたいなので言ってやる。
「にゃにゃっ♬」
「なっ! なんだ急に笑っておかしくなったのか無能な子供は……」
「にゃにゃにゃ、無能はおみゃえにゃ」
俺は小さな人差し指でアロイドを差した。
「なにっ!」
体長8メートルの巨体魚六匹が水面から浮かんで来た。
「馬鹿なっ、獰猛なファングフィッシュが次々とどう言うことだ……」
目の前に広がる光景を見てアロイドがまぶたをパチパチさせた。
するとドラコスが水面を突き破り空中停止し、アロイドの前で腕組みして睨んだ。
「ば、馬鹿な……」
「フンッあの程度の魔法に魚などたわいもない。さて、見えるぞ……見える」
「なっ、なにが見えると言うのだっ……?」
巨ジンに意味不明な言葉を掛けられれば、常人はそりゃ怯える。
主である俺でもドラコスの言っている意味が分からないから怖い。
そしてドラコスはゆっくりと口を開いた。
「フンッ……見える見えるぞ……アロイドの背後に見えるこの先に勝ち進めば出会うだろう女の姿が……」
「な、なにを言っている……」
困惑するアロイド。だが、俺は分かったよ。ドラコスはこの先戦うことになる女。そう、目の前の敵に興味がない奴は『まだ見ぬ女……』のビジョンが見えているんだ。
しかし、物凄い妄想力だな。
「さて、女と戦うために、まずは貴様らを蹴散らさないといけないよなぁ……ほおぉぉ……!」
「ヒッヒイイイッ!」
気合いを込めてオーラをまとった巨ジンにアロイドが悲鳴をあげた。
『まぁ勝ったな』せいぜい殺してやるなよ。
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