サタンちゃまと異世界転移12
ステータス画面を出した俺は悪魔ファイルをタップした。
すると、遠くからライトニングが怪訝な目で俺の動作を見ていた。
「なんだこの、空間に浮かぶ文字は?」
「にゃっ……にゃにってステータス画面に決まってるにゃ」
「いやステータス画面は分かっているが……ギルド本部のみに置いてあるレベル鑑定機以外で出せるなんて聞いたことねーよ」
「そうにゃのか?」
知らなかったお前が無知なのだ。
「そうにゃのかじゃねーよ! で、ステータス画面を見せびらかしてどうするつもりだ?」
「だから部下を召喚するんにゃっ!」
言って分からないなら、実演して分からせてやると、俺は三カ所タップした。
「社長あんな雑魚のためにワタシら呼んだんですか?」
「いや……いかにも雑魚だが、見掛けで強さを判断するのは早計だぞ……」
「そうですかぁ〜う〜ん……どう見ても黒鴉一人で十分な相手な気がしまいますけど〜……」
俺が召喚したいつもの面子の黒鴉とクレナとロウランが勝手なこと言って主張が食い違う。まぁいつものことだ。
とはいえロウランの言う通り、この程度の雑魚数人なら黒鴉で十分だな。
「なにっ……」
なにも知らないライトニングは突然現れた三人娘を見て驚き後退りした。
「お前召喚師か……」
「若干違うにゃ、まぁそんにゃもんにゃ」
ライトニングに聞かれこう答えると、うしろから黒鴉が『結局答えはどっちだよケケッ♬』と俺にツッコミを入れた。
「…………黒鴉一人で雑魚6人相手するにゃ」
「ええっ!? なんでよ社長っそりゃ雑魚が何人掛かって来ようが楽勝ですけど、タダじゃないんだから疲れまっせ」
何故語尾が関西風だよ……。
「グダグダと分かったにゃ……コレヤルから仕事するのにゃ」
俺はドレスのスカートポッケから魔石を数個掴んで黒鴉に差し出した。
もみじのように小さな握り拳を開くと、大、中魔石が三つ。【 攻撃力アップ赤魔石大1個、赤魔石中1個、体力アップ青魔石中1個 】
「魔石すか社長っ?」
黒鴉が俺の手の平の上を覗き込んだ。
「見て分かるにゃろ。褒美にゃ食え」
「………………いや社長っ〜〜」
「にゃんにゃ?」
「あのウエットティッシュか水ありますか?」
「……にゃんにゃぁ……それをにゃにに使うんにゃっ!?」
「いやその……分かりませんかああっ……本当鈍い社長っ〜ですなぁケケッ♬」
「にゃんにゃっあ!?」
笑いながら目をキツネみたいに細めた黒鴉がゴマするように手もした。
「にゃんにゃじゃございませんよ社長……ワタシ潔癖症なんで〜……トイレを済ませて洗ったか定かではない素手で触った魔石を食えと言われましても〜困ります」
「このニャロ〜失礼にゃっ! ちゃんと手を洗ってるにゃっ!」
「……社長っそんなに短い両腕振りあげて怒らんでも……分かりやした。食べますよ。食べればいいんですよねっガリッ! 硬っ……」
魔石は皮膚吸収出来るのに黒鴉は噛み砕いて魔石を食べた。するとレベルがあがったので指でタップしてステータス画面を表示させた。
ちなみに、レベルがあがった時だけ鑑定スキルを使わずにステータスを見ることが出来るので、スキルカウントには入らないのでセーフだ。
なにせ試合中使用出来るスキルは二つ縛りだからな……誰だ? こんクソマゾなルールを決めた奴は……まぁ、ハンデがあった方が面白いな。
さて、早速レベルアップした黒鴉の数値を見ていこう。
【 星5 職業黒天使 黒鴉レベル53 魔力440 攻撃力885 力500 体力554 素早さ1169 幸運132 特殊スキル 分身レベル4 】
『順調に強く成長しているな』あとは目の前の雑魚にぶつけて試すだけだ。
「準備はいいかにゃ?」
「そりゃもう〜……出来ますけど、人使い荒いんだから社長っ」
「終わったにゃとっておきの駄菓子やるにゃから頑張るんにゃ」
ひざまづいた黒鴉の背中を俺がポンポン叩いて送り出した。
「もういつもの奴は飽きましたよ〜」
「大丈夫にゃっ、そんにゃことにゃと思って酢イカ用意してるからにゃっ!」
「スイカの菓子すか楽しみっすね〜」
『菓子と言うか酒のつまみだな……』とにかく黒鴉に喜んでもらえたみたいだ。
「さ〜て待たせたな雑魚共」
鞘から抜いた漆黒の剣を肩に担いだ黒鴉が、チンピラ歩きして雑魚6人の正面に立った。
「俺らが雑魚だと……」
中央の雑魚が黒鴉に聞いた。すると黒鴉は目を瞑ると片手で剣を構えた。
「どう言うつもりだ……」
怪訝に思ったのか中央の雑魚の眉がへの字に歪んだ。
「どうもこうも、お前ら相手に目を瞑っていても余裕で勝てるぜ。ケケッ♬」
「こっ…………舐めやがってクソアマがっ! もう構うこたーねぇ、皆んなやっちまえ!」
「『おうっ!』」
全員が右手をあげ一斉に黒鴉目掛けて襲い掛かった。しかしその前に黒鴉の方が先に動いて雑魚6人の間を潜り抜けた。
「テメエッチョコマカと……ゴフッ!」
一人目が腰をエビのように曲がり、ゲロ吐いて倒れた。
「なにやったアマッ……んまっ!?」
「『ぐぎゃっ!』」
二人目も倒れ、残り4人も次々と倒れた。なるほど、肉眼で見えなかったけど、黒鴉はすれ違いザマに剣で斬って全員倒したんだ。
あらかじめ俺が人は殺すなと教育しているから、斬ると言うか剣で叩いた様子。だから血を流さず倒すことに成功したんだ。
「ケッこんなもんだべあとは……ハゲ一人か」
剣を右肩に乗せた黒鴉が鋭い左目でライトニングを睨んだ。
「ハ、ハゲだと……分からねぇのか? 俺はワザと剃ってんだよ」
「ケケッ知るかよ。それにしても数多くのハゲ倒してきたが……何人目のハゲかぁ?」
黒鴉は基本人の話しを聞かない。
「舐めやがって! 俺はこれでも魔法使いなんだっ喰らいやがれっファイヤーボールレベル3っ」
ライトニングの右手から火球が発生して黒鴉目掛けて発射された。
「ケッ!」
しかし黒鴉は避けずに火球に当たる寸前で剣で真っ二つに両断した。
「馬鹿なっくそっ! 次だ次っ!」
「このハゲ野郎っ次はないんだよっ」
「なにっごっわっ!!」
二回目の魔法を詠唱しようとしたライトニングの懐に一瞬で入った黒鴉が、腹に向かって重いボディブロウを食らわせた。
それで身体をくの字に曲げ吹き飛ばされたライトニングが、岩に背中をぶつけ倒れた。
「なんだ。これで終わりか……歯応えねえなぁ社長〜〜」
「黒鴉っやったにゃっ!」
「社長……」
「にゃっ!?」
歓喜した俺が黒鴉に飛びつくと横に避けられ、顔面地面にぶつけズズッと擦って止まった。
「コニャーッ黒鴉っ! すにゃおに受け止めたらどうにゃっ!」
起きあがった俺は振り向きざまに右手をあげ、黒鴉に抗議した。
「抱っこしてもらうなんて甘いですよ社長。その前に渡すべき報酬すよケケッ♬」
チャッカリしている黒鴉が楽しそうに目を細めると、俺に向かって手を出した。
「仕方にゃいにゃ〜」
渋々起きた俺はガマサイフに手を入れ物色した。そして例の物を掴んだので取り出して見せた。
「なんすかコレは……」
物珍しそうに俺の手の平を覗く黒鴉。
「にゃんにゃ知らんのかにゃ、コレにゃ酢イカにゃのだ」
「スイカ?」
フタ次プラ容器に十二本の串に刺された真っ赤な酢イカだ。古の時代、ガキンチョが十円玉握り絞めて酢イカ一本買いに駄菓子屋に通ったと言われていた。
「食ってみ、美味いにゃ」
「へ〜……コレがスイカ……あむっ……あっ酸っぱ……でもウメー♬」
酢イカを一口噛んだ黒鴉がその酸味に思わず目を瞑ったが、すぐ気に入った様子だ。
「ちょっと私にくれないか?」
「そうよ、そうよ。ちょーだい黒鴉っ」
「ケケッ♬ 落ち着け二人共」
横で見ていたクレナとロウランがたまらず酢イカを渡せと、黒鴉にせびる光景は微笑ましい。
まぁこれで光る太陽に勝って、らくらく準々決勝進出した。
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