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ちびっ子猫口調TSサタンちゃまは悪魔ガチャで頼れる部下を集め、仲間と一緒に異世界大陸を楽しく冒険するにゃん♬  作者: 大空司あゆむ
タイムトラベル編

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サタンちゃまと異世界転移7

 

「この剣を手にした僕ちゃんには、何人たりとも勝てないんだな〜♫ 降参するなら考えてもいいよ」


 勇者剣ガルゼロードを肩に乗せたピンク髪勇者ことアルベートが、俺たちに人差し指をクイクイと動かした。


「社長っあのイカれピンク髪野郎恐ろしく強いですぜ……」

「にゃっ」


 あの黒鴉が真顔で俺を抱きあげた。しかし俺を守るのはいいが、両脇掴んで持ちあげる方法は、駄目な方の猫の抱きあげ方だ。


 アルベートが黒鴉を見ると笑顔になった。


「へ〜君可愛いじゃん。僕ちゃんの彼女になるなら特別見逃してもいいよ」

「ケケッ♬ お断りするぜピンク髪野郎が」


 相変わらず黒鴉は悪い方のあだ名付けの天才だ。いけすかない奴がいると黒鴉を召喚するのはあだ名いや、その悪口を言わせるためだったりする。


「へ〜〜残念だなぁ〜、僕ちゃんのモノにならないなら死んじゃいなよっ」


 ノリが軽いアルベートの瞳の色がくすんだ。するとガルゼロードを構えた。


「来るにゃっ!」

「へへ〜ん! もう遅っ……」


 バババババ…………!


 アルベートの足元に機銃掃射され動きが止まった。


「上っ!」


 空を見あげるアルベートの真上を、飛行形態のアルマーが円を描くように旋回していた。


「なんだあの空飛ぶ鉄の塊はっ!?」

「勇者様っアレは自在に形状を変えられる、意志のある機械人形です」


 アルベートに寄り添ったドルチェルが説明してから杖を構えて、アルマー狙ってファイヤーボールを連発した。


『遅い遅いっそんな攻撃っ』


 飛んで来る火球をかわしながら降参するアルマーがロボ形態に変形し、装備していた機械式の剣でアルベートに斬り掛かった。


 ギィンンッ!

 ガキンッ!


 アルマーの剣とガルゼロードがぶつかり合い。同じような金属音が鳴り響いた。


「僕ちゃんの勇者剣と同じ強度の剣……」

『ミーを作った星人(マスター)から託されたこのガイアークソードとユーの機械式の剣はまさか同質……』

「それはどう言う意味だい?」


 額に汗を流すアルベートがややアルマーの剣を押し返す。


『我がマスターがユーに手を貸すとは思えない。しかしその剣ガルゼロードは単なる伝説の剣ではないぞ。主人と認めた人間の身体能力を神の域まで引き伸ばし、驚異的な加速を与え、敵を一瞬で切り裂く電光石火の神技を出せるその剣は超科学の結晶』

「分かんねーなぁ、つまりどうだってんだよ?」


 科学と言われても、魔法メインの異世界人にはピンと来ないらしい。


『ユーに説明したのが時間の無駄だったようだ』

「へっ、メタルゴーレム風情が上から目線で言ってくれたな……」

『ム…………』


 腰を低くしたアルベートが剣を両手で構えた。この体勢は……。


「二度とへらず口言えないようにスクラップにしてやるよ〜……ゼロ加速っ」

「避けるんにゃっアルマー!」

「もう遅いよ〜っ!」


 アルベートがアルマー目掛けて走り出そうと左太ももをあげた。するとピタリと止まった。

 俺は動けるし、勇者以外動ける様子だった。つまりアルベートだけが時間停止していた。


 こんなことが出来るのは一人しかいないと俺はアルベートのうしろを見た。

 教会の入り口で左手をポケットに入れ、右手を伸ばした時道がいた。


「時道がやったのかにゃ?」

「ええ、僕の左右の刻の義手は世界全体の一定の時間を止めることができますが、一箇所だけ時間を止めることも出来るのです」


 時道の時間停止技がもっとも最強な攻撃だと思う。それは三百年前、俺が地球で起こした第二次最終戦争にて当時悪魔五将軍のフェミニムが、時空から現れた時道に負けた位だからな。

 しかし、目の前にいる時道は何故かその記憶がないみたいだ。だからあえてその出来事には触れない。


「さて、どんなに動きが速くても、止めてしまえば問題ないのです」


 剣を振りおろす体勢で固まってまるでマネキンのようなアルベートを、時道はポンポンと触った。


『ユーの時止めのスキルは実にグレイトだ』


 時道の横に立ったアルマーが敬意を称して言った。


「スキルじゃありませんよ。これは刻の義手の性能に過ぎませんよ」


 褒められても遠慮気味に否定する時道。神に等しい時間による数々の技があるのに、その謙虚さがかえって恐ろしい。


『いや、使いこなすにはそれこそスキルが必要だと思うがどうだ?』

「確かに刻の義手は誰でも使えるわけではございませんね」


 アルマーの褒め攻めに観念した時道が同意した。


「さて、あと5秒位で時が動き出します。ですからこのあとどうします?」

『ム…………攻撃するなら今だ』


 時道に聞かれたアルマーがうしろを振り返ると、俺の顔を見て自らのヘッドを指差した。


「にゃんにゃ、アタチにヤレとにゃ?」

『ええ勇者と言えど、人間相手に鋼鉄の手で殴るわけにはいかないからな」


 いざ勇者とガチバトルになったら、そんな余裕なんて無くなると思うけどな。

 仕方ないので俺は頭突き一発で勇者を倒すべく近寄った。


「卑怯なっ!」


 怒ったドルチェルが俺に向かってファイヤーボール魔法を連続詠唱してきた。俺は避けられるけど、勇者も巻き添え食うぞ。


「炎っ子なら妾にまかせろ!」


 サッと俺の前に立ったリオンがシールドのエネルギーバリアを張り巡らせ、火球全て弾き返した。


「流石にゃリオン」

「褒めてないで今のうちだっちびっ子!」


 ちょっと俺より身長差があるとはいえ、ちびっ子にちびっ子呼ばわりは心外だな。


「させるかっ!」


 俺が勇者に向かって頭を向けると、ドルチェルがさせまいと稲妻系魔法を放った。


「チッ、流石に電気は弾けない。だから避けろちびっ子!」

「にゃっ!」


 リオンに腕を引っ張られた俺は稲妻魔法から逃れることが出来た。


「うわっと! あれっ……僕ちゃんどうしたの?」


 やっと動き出したアルベートがバランスを崩し、状況が分からずキョトンとした顔で周囲を見回した。


「白黒スーツの男がお前だけ時を止めたからだ」

「マジでドルチェル……」

「ああ、機械人形と手を組んだら厄介だぞ」


 人差し指でトンガリ帽をあげたドルチェルがそう言ってから、杖の先を地面に叩いた。


「とりあえず対策はあとにしようか」

「なにを悠長なことを……お前まさか!」


 なにかに気づいたドルチェルが会話を中断した。そのあと教会から、気を失った女神パルナを肩で担いだ僧侶が出て来た。


「にゃっ!」


 何故か眼鏡を掛けているけど、ガタイの良い僧侶に見覚えがあった。それは、二日前酒場で出会った勇者チームの一人、豪快冷静僧侶のガイズだった。

 それから遅れて婚約者のミルトが追い掛けて来た。


「はあはぁっ、か、彼女を連れていかないでくださいっ」


 息を切らしてパルナを拐った敵に敬語で話し掛けるなんて、人が良すぎるミルトだ。

『いや違うな』気の弱さ故に、誰にも敬語で話す癖なんだろ。それでは彼女は救えないぞ。


「良くやったガイズ。さっさと帰るぞ」

「ちょっと待つにゃピンク髪っ!」


 逃すまいと両腕を広げた俺が勇者の前に立ち塞がった。


「なんだちびっ子……僕ちゃんの第三妻返して欲しいのか?」

「当たり前にゃっ! パルナはそこにいるミルトと結婚するんだにゃっ!」

「へ〜……返して欲しけりゃ僕ちゃんと勝負しない?」

「にゃにっ……」

「今月闘技場で団体戦の武闘大会があって、もちろん僕ら勇者チームも出場するから、君たちのチームもエントリーしろよ。それで決勝まで進んで僕ちゃんのチームと戦い勝ったらパルナを返すし、キッパリ彼女は諦める。しかしだ……もし君たちが負けたら、仲間の女全部僕に渡せ」

「にゃんと……」


 パルナだけでは飽き足らず、俺の仲間の女子たちまで目をつけるとは、性欲魔人ドラコスも真っ青なヤ○○ン勇者だ。

 だからあんま欲出すと、泣く子も黙り天使も逃げ出す巨ジン出すぞ。


 俺は勝負を受けることにした。しかし気になることが二つあった。


「アタチも女子に入ってるかにゃ……」


 聞くとアルベートの顔がゆるんだ。


「あひゃっひゃっ、チンチクリンなちびっ子は対象外だから安心していいぜっ」

「にゃにっ! こ、こんにゃろめ……」


 アルベートは俺を指差し腹抱えて笑った。くそムカつく勇者だ。


「しかしまぁ〜サタンちゃまが従える数万の悪魔軍は使える……良しっ! オマケにお前ももらってやるよ!」

「にゃにこのっ! 勝手に決めて……それよりアタチらが勝ったらにゃにしてくれるにゃ?」

「そりゃあ、さっき言った通り女神パルナを返してキッパリ諦める」

「それじゃ足りにゃいにゃっ!」

「なんだ欲深いチビだな……」


 お前にだけは言われたくない。


「分かった。僕ちゃんに勝てたら、魔王軍から奪った宝の一割あげるよ」

「宝か……悪くにゃい」


 聖女さまへのお土産に渡せば、勝手に消えたお仕置きを回避出来るかも知れないな。

 だから是非勝ちたい。


「んじゃっ、決勝戦で待ってっからじゃなっ」


 アルベートは俺たちに手を振って、ドルチェル、ガルド、パルナを背負ったガイズと共に立ち去って行った。


「ごめんパルナ……弱い僕は助けられなかった…………」


 ふさぎ込んで地面を叩き悔し涙を流すミルトの姿を見て、誰かに似ていると思った。

 それは過去メリーがノクトゥルスに拐われ不甲斐なく悔やんでいた自分と似てたんだ。


 俺はミルトの肩に触れた。するとハッとした彼が顔をあげた。


「サタンさん……」

「おみゃえも大会に出て実力でパルナを勇者から奪い返すんにゃ」

「……分かりました。足手まといになるかも知れませんが、婚約者の僕があなた方に頼りっ放しなんて情けないですからね……」


 手の甲で涙を拭いたミルトが俺に握手を求めた。


「…………」

「い、嫌ですかサタンさん?」

「……しゃがめミルト」


 身長差があり過ぎて、握手したくても手が届かんのだ。


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