サタンちゃまと七斬り様の祟り20
「わ、私をと、止めてくれっ!」
魔王軍幹部パペットに操られた横溝兄が意志とは関係なく、握った刀で村人を斬りつけていく。だから止めて欲しいと悲痛な叫び声をあげた。
「社長っどうします?」
駆け寄って来た黒鴉が俺に聞いた。
「殺さず止めること出来るかにゃ?」
「そりゃあ、出来ますけど〜、基本無関係なワタシらが止めて良いことありますか?」
黒鴉に聞かれた俺はちょっと考えて手のひらに拳を『ポン!』と叩いてから、目を見開いた。
「あるにゃっ!」
「サタンさま可愛い〜その仕草♡」
手を合掌させて目を『ウルウル』させたクレナが会話に割り込んで来た。
ちょっと黙っておこうか?
「コホン、無関係にゃんてトンデモにゃい!」
俺は咳払いすると宙に浮かぶパペットに指差した。
「アイツの魔法のせいでこんな昭和の時代に飛ばされたんにゃ、元の時代に戻るにはアイツを殺すしかにゃいにゃ」
「流石組長やられたら落とし前ですね?」
黒鴉がまた妙なあだ名を思いついたらしい。まぁ物騒な物言いだったから仕方ない。
「ほ〜う、この私を殺すなど聞き捨てなりませんねぇ……」
俺たちの会話を聞いていたパペットが話し掛けてきた。
「にゃんにゃっ! 文句があるにゃら掛かってコイにゃっ!」
「フッ」
俺が空に向かって指差すとパペットが鼻で笑った。
「にゃにがおかしいにゃっ!」
「アナタは全てがおかしい」
「にゃにっ……」
まさか服装がダサくて笑われたのか、焦った俺は着ている服を『ペタペタ』触った。
するとすかさず黒鴉が肩を叩きフォローに入った。
「おかしくないですよ社長っ、万年小ちゃい身体に変な猫口調にあざとい猫耳に年中ドレス」
「……おみぇえはアタチを馬鹿にしてるにゃろ?」
「いえいえ、そんなことございませんよ。十分可愛いです社長っケケッ♬」
「にゃっ……」
話を可愛いに置き替えた黒鴉がしゃがむと俺の後頭部を撫でた。
『なんか納得出来ないけど許す』それは何故か頭を撫でられるとご機嫌になるからだ。まるで俺は猫みたいだな……。
『主〜〜っ早くアイツブッ飛ばしましょうよ』
合体中の妖怪ペットのワン⭐︎ころがテレパシーで話し掛けた。
「分かったにゃ」
『その前にお腹が空いたからなにか食わしてワンワンニャン』
「にゃっ……」
合体中になにか食わせろって俺にどうしろと……仕方ないので、ポッケからうんまい棒チー牛味を取り出しその場で齧った。
「ちょっとサタン様っ!」
「にゃんにゃロウラン?」
「……にゃんにゃじゃごさいませんよ。戦闘前にいきなり駄菓子を食べるのはやめてください。せめて我々に一言言ってからですね……」
目を細め苦笑いするロウランが俺をとがめた。
「にゃんにゃ、食べたいにゃら遠回しに言うにゃ」
「違いますっ!」
俺は食いかけのうんまい棒をロウランに差し出すと、両手で拒否された。
『にゃんにゃ』潔癖症な女だ……。
「さっきから下でごちゃごちゃ言ってますか悪魔共め、そんな余裕があるならば私の下部の相手になってもらおう。出よっパペットゴブリンッ、パペットオークにパペットスライム、パペットワイバーンよっ!」
パペットが木製の魔物を召喚した。その総数はおよそ100体。異世界の仲間がいるし、俺は最強部下たちを温存しているから余裕だな。
「にゃははっ♬」
「なにがおかしいちびっ子よ……」
「にゃははっ♬」
二度目の笑いだ。
「だから笑うな……」
「にゃははったったの100体の魔物でアタチの最強部下の相手ににゃるのかにゃっ?」
「なにっ!?」
俺はステータス画面を表示してから悪魔ファイルをタップして、あの漢を選んだ。
ズズンッ!
「サタン様俺をお呼びで……」
「久しぶりだにゃあ」
「……」
相変わらず無口な巨ジンこと鬼を呼び出した。
「な、なんだこの筋肉巨人は……」
ドラコスを初めて見たパペットがうろたえている。まぁ初見は皆困惑する。
「社長っ〜ドラコスのダンナを出すなら一声言ってくださいよ〜」
黒鴉が小声で俺の耳元で話し掛けた。
「大丈夫にゃ、女を見ると見境ない奴にゃが、仲間には決して手を出さにゃい義理堅い漢にゃ」
「……本当すかぁ?」
「にゃんにゃ疑うのか黒鴉? 元にアタチとドラコスとの付き合いはにゃがいにゃ、一度も変なことされたことにゃいにゃ」
「……そりゃ社長は可愛いけどマスコットみたいですからダンナの性的趣向外ですぜ」
「にゃんと!」
俺は対象外だったから無事だったのか……。
「で、サタン様っ俺を呼んだと言うことは、敵は天使ですか?」
周囲を見渡すドラコスが俺に聞いた。
「違うにゃ、おみゃえの敵は魔物と上空にいる魔王軍幹部のパペットにゃ」
「…………………………………………」
「どうしたにゃドラコス?」
「野郎や魔物にゃ興味ない」
「にゃっ……」
ドラコスは女のこと以外興味がないので、俺の命令でもテコでも動かない頑固者だ。
で、仕方ないのでエイトさんを呼んだ。
「…………悪魔王っと、トンデモない奴を呼んでくれたのら……」
「にゃっ……」
エイトさんはすぐさま飛んで来て俺の肩を掴むと顔を寄せ、眠そうな目で睨んだ。
「そんにゃ怖い顔するにゃよ」
「……過去にエイトの同胞がどれだけ奴の餌食になったと思っているのら……」
「にゃははっそんにゃ過去の話を持ち出されてもにゃっ♬」
「……………悪魔王っ!」
「にゃっ! にゃっ、にゃめろーーっ!」
キレたエイトさんが俺の首を絞めてきた。
「お………おおっ…………」
「…………」
ドラコスがエイトに気づくと、俺の首を絞める手の力が緩んだ。
「白天使っおおっ、おおぉぉぉっ好みだ……」
「…………くそっ! 冗談じゃならいっ!」
エイトに向かって突進して来るドラコス。すると彼女は慌てて俺から離れると、翼を出し飛んで逃げ出した。
丁度逃走ルートに魔物が居てドラコスがついでに蹴散らして行くから、ついでに目障りな天使を倒してくれれば一石二鳥だな。
「おのれっこしゃくな……」
悔しがるパペットが更に魔物100匹追加した。
「へ〜おもしれーことになってんな?」
相変わらず酒を飲みながら犬飼が俺に言ってきた。
「ここは我々冒険者に任せてもらおう」
ヒューイたちがそれぞれの武器を構えた。場違いな昭和の時代でようやく冒険者の出番だから、皆生き生きしてきたな。
「ちょっとアンタがパペットを挑発するから魔物の数が増えたじゃないのっ!」
一人うろたえる冒険者がいたな。
「にゃんにゃメリー怖いのかにゃ?」
「こっ、怖くないわよ……」
「にゃったらアタチと一緒に戦うかにゃ?」
「なっ、なんでちびっ子と……まぁ良いわよ。アンタ頑丈だからイザと言う時盾代わりになるしね」
「にゃっ……まぁいいかにゃ……」
困った顔で頭を掻いた俺はメリーをサポートしつつ、黒騎士三人娘と共に魔物退治を始めた。




