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ちびっ子猫口調TSサタンちゃまは悪魔ガチャで頼れる部下を集め、仲間と一緒に異世界大陸を楽しく冒険するにゃん♬  作者: 大空司あゆむ
タイムトラベル編

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サタンちゃまと七斬り様の祟り17

 

 五つの屋台全部食べるつもりだ。それで最初に向かったのが綿アメ屋だ。作っているのは剃りが入った角刈りのテキ屋のあんちゃんだ。多分この村の人間ではないな。


「綿アメひとちゅにゃ」

「おっ! いらっしゃいじょうちゃん今から作るからちょっと待ってな」


 俺が小銭を渡すとテキ屋のにいちゃんは上機嫌に綿アメの機械を作動させた。中に飴を入れてグルグル回す装置だ。


「一体なんだこの機械は……」


 ビビットさんが興味深気に綿アメ作りの様子を見て俺に聞いてきた。魔法使いだけあって飴が綿状に変化する仕組みが気になって仕方ない様子だ。


「これは綿アメ製造マシンにゃ」

「だからなんだこのふわふわした食べ物は?」


 異世界人にとって未知の食べ物だから、理解が追いつかないみたいだな。

 どれ、綿アメが出来たみたいだから見本に食べてみた。


「はむっ」

「おいっちびっ子が、綿を食ったぞ皆んな!」

「『ああ……』」


 ビビットさんの呼び掛けに、あのヒューイさんとザレオンさんもびっくりして声が出ないようだ。


「にゃはは」


 しかし、綿アメ一つで異世界人相手にドヤ顔出来るとはななぁ……。


「甘くてふわふわ食感で美味いにゃ」


 俺は出来たてホヤホヤの綿アメをビビットさんに手渡すと、受け取った彼女が不思議そうに見てから一口食べた。


「……あ、甘くてふわふわ不思議な食感はまるで魔法だ……」

「知識豊富なビビットがそこまで驚くとは綿アメとは中々やるな。では私にも一口くれないか?」


 綿アメに感動するビビットの様子を横で見ていたヒューイが声を掛けると、彼女は綿アメを取られまいと隠した。


「ちょっと隊長っ! 自分の分は買って食べてくれます?」

「ははっ、分かったよ。危なく間接キスになるところだったな」

「もうっ笑いごとではないですよ」


『にゃっ……』二人共俺を挟んでいい感じに会話するな。それにその綿アメは俺が買った物だ。


「ちょっとちびっ子!」

「にゃっ……」


 今度はメリーがうしろから話し掛けてきた。


「にゃんにゃメリー?」

「にゃんにゃじゃないわよ。この屋台で一番のオススメは?」

「オススメ…………」


 ごく平凡な屋台のメニューでもまぁ、異世界人のメリーにとっては食べたことのない未知な味だろ。

 で、屋台と言えば思い浮かべるのが焼きそばだな…………。


「……………」

「にゃっ…………」


 たい焼き姫(アイツ)と目が合った。俺に向けられた不機嫌そうな目はまるで、『もちろんたい焼きだろ?』と言いだけだ。

『ハッキリ言って怖い』たい焼き以外を選んだら彼女の両手が俺の首を狙って伸びてくるだろう。


「早くアンタのオススメ教えてよ」

「にゃっ……」


 急かすなメリー。

 しかも背後から『たい焼き推せ』と刺すような視線を送ってくるリオンと板挟みになった俺は、そのプレッシャーから額に大量の汗が流れた。


 夏の炎天下の中、一気に水分と塩分が失い熱中症で倒れかねない。そうなると組み合わせはキンキンに冷えたラムネと塩補給に焼きそばとイカポッポ。食後のシメにかき氷が鉄板だよ。

 だからたい焼きが選択肢に入る余儀がないんだよ。そもそも熱々のたい焼き真夏に売れるか?


『ああもう分かった!』俺は嘘をつくのが嫌いだから正直に言うことにした。その前にたい焼き姫から逃げる準備をしてな。


「メリーよ。真夏の祭りの屋台の定番は焼きそばとイカポッポ焼きと冷えたラムネとかき氷にゃ」

「じゃあそれにするわ」

「にゃっ、人の意見に流されるより、少しは自分で考えて決めた方がいいにゃっ」

「なーによっ! アンタのオススメなんでしょう? 大体この世界の屋台なんて初めてなんだから」

「にゃにゃっほっぺ引っ張んにゃ」


 左のほっぺが痛い。本当酷い目に遭った。とりあえず皆で木影に座って屋台飯を食べた。


「おっ焼きそば美味いな!」


 ヒューイが気に入ったようで器用に箸を使って焼きそばを食べている。


「うめえか、ほらイカのポッポ焼きもどうだ? 日本酒を一緒に飲むとイケるぞ」


 横に座っていた犬飼がヒューイにカップ酒を勧めた。しかし彼はどんだけ酒を持って来たんだ?


「しかし日本の夏は暑いな……」


 凄腕魔法使いのビビットさんでも日本の夏には舌を出してバテ気味だ。流石にマントとトンガリ帽子は屋敷に置いてきたみたいだけど、それでも慣れない暑さだそうだ。


『ミーも熱くてオーバーヒート起こしそうだ』

「わっ! 透明人間が喋った!」


 誰もいない箇所から声がしたのでザレオンさんがびっくりしてた。しかしこの機械声は……。


『ソーリー、スティルスモードを解除する』


 声の主が姿を現した。俺の予想通りドリルタンクモードのE-アルマーだった。


「ほうっ、ロボとは珍しい」


 興味を持った犬飼が立ちあがってアルマーの側に寄った。


「むむっロボだと? タンクではないか?」


 一緒について来たたい焼き姫が聞いた。


『知能がある機械の時点でロボのカテゴリーに入ると思うがオーケー見せてやろう。ちょっと危ないから離れていたまえ」

「おおっ!」


 目を輝かせたリオンがアルマーから離れた。


『オーケーでは、加速(アクセセレイション)形態(ホーム)!』


 ガッキン!


 アルマーがわずか1秒でロボ形態に変形した。


「おおっ〜〜お前やるのう」

『サンキュー』

「面白いもの見せてくれたお礼にこれをやろう」


 リオンはアルマーにたい焼きを渡そうと手を伸ばした。


『おお、ありがとう。だが、ミーは機械だから食べ物は食べる必要がないんだ。だから気持ちだけはいただいておこう』


 相手を傷つけない上手い断り方だな。


「しかしまさかロボまで仲間にしているとはな?」


 犬飼が俺に向かって聞いてきた。まさか全員俺の手下と思ってんのか……しかしアルマーは違う。


「アルマーは友だちにゃ」

「なるほど友だちか、しかし意志があって高速変形するロボなんて、俺の知っている未来でも実現化してねぇぜ?」

『はは、答えは簡単だ。ミーは異星人の高度な科学によって作られ並行世界から来たスーパーロボットだ』

「へ〜〜え……そんなアンタが俺と知り合えたのは奇跡だなぁ、ところでこの騒動に巻き込まれたと言うことは、なにかやるべことがあるんだろうな」

『何故ミーがこの騒動に巻き込まれたのか分からない。殺人事件を止めるとか全く興味がないのだが………』


 アルマー本人も何故一緒に昭和にタイムスリップしたのか分からず困惑している様子。

 そんな犬飼は酒を一口飲むと、アルマーにも酒を勧めた。アルマーは断ったけど、かなりの無茶振りだ。さっきのリオンとのたい焼きのやり取り見てなかったのかよ。

 話が戻ると、犬飼はアルマーに真面目な話を始めた。


「俺は運命を導く神さまって奴を信じている。だから今回アンタの出番がなくても必ず必要とされる時が来る。そう俺はいつも運命を神さまに預けて生きてきたんだ」

『なるほど、理解した』


 納得したアルマーはタンクモードに変形してスティルスモードで透明化した。


「おっ! 透明椅子じゃぞ!」


 すかさずアルマーを椅子代わりにするたい焼き姫。そう言えば黒鴉も同じことしてたよな。


 □ □ □


 俺たちは屋台を堪能して屋敷に戻って来たのはひぐらしが鳴く夕方。

 すると屋敷内ではなにやら慌しい。廊下からドタドタ走る音がして三郎の親父が血相変えて現れた。


「はぁはぁ、丁度よかところ来た。朝から釣りに出ろぅ三郎がまだ帰ってこんばってん、君たち息子ば見掛けんじゃったか?」

「アタチたちは今まで神社の境内で遊んでいたので三郎とは会ってにゃいにゃ」

「じゃあ三郎はまだ山におるとか……」


 三郎の親父が肩を落として部屋に戻ろうと背を向けた。するといつの間にか背後にいた白髪の老婆と目が合った。


「どがんしたお袋……」

「祟りじゃばい」

「馬鹿馬鹿しか、祟りやなんて……」

「いやこりゃきっと七斬り様のっ……たあぁったたりぃぃぃじゃああぁぁぁぁっ!」

「にゃっ!」


 出たよ祟り煽りババア渾身の叫び。こんなおどろおどろしいのは未来では聞けないから貴重だよ。


 このあと俺たちは夕食までいただいて風呂まで入って、至れり尽くせりのもてなしを受けた。

 その間三郎と横溝兄弟は戻って来なかった。深夜寝静まるまではそう思っていた。


 この時代はクーラーはなかったと思う。少なくともこの屋敷の冷房は扇風機しかなかった。だから夏に寝る時は扇風機をつけっぱなしには出来ないから、窓を開けて寝ることが多かったらしい。

 だから当然蚊が入って来るから蚊帳(部屋全体を覆う細かい網目の幕)を張って侵入を防ぐ。未来では廃れた蚊帳を体験して何故かワクワクした。


 そんな中まだ目を覚ましていた俺がふと廊下を歩く足音に気づいた。そこでそっと蚊帳から顔を出して廊下を覗き込んだ。


「あっ…………」


 俺に気づいた足音の主が声を出して、客室の前で立ち止まった。


「誰にゃ?」

「……あ、怪しい者じゃございません。わ、私は横溝孝典(たかのり)です」


『孝典……』声が若い。


「屋敷の馬鹿息子と釣りに行ったヤング横溝兄の方かにゃ」

「ヤング…………い、意味が分かりませんがそ、そうです」

「……ところで他の二人はどうしたにゃ?」

「あ…………実は……く、詳しくは言えませんが、私は弟が怖くなって屋敷に置いてきた荷物を取りに来てコッソリ村を抜け出すつもりです」

「にゃんと……」


 細かい出来事が変わっていても、兄が夜中にコッソリ逃げ出す史実は変更なしか……しかしまさか俺が当事者になるとはな……。


 ヤング横溝兄がリュックを背負って戻って来た。


「悪いことは言わない。弟が村に戻る前に君たちも早く村から逃げ出した方がいい……」

「にゃにっ……やはり七斬りさまの呪いかにゃ?」

「……呪いなんてないですよ。あるのは弟の復讐心…………絶対この村人は……悪いことは言わない。無関係な君たちは早く村を出た方がいい。弟が来なくても……遅かれ早かれ村人が君たちを……」


 横溝兄が最後に言い残そうとしたところに廊下の奥から物音がしたので、彼は慌てて走り去って玄関を構わず音をガラガラ音を立てて出て行った。


「にゃんにゃ……」


 まさかの展開に俺はどうしたものかと口を開けていると、入れ替わりに玄関を土足で歩く数人の足音が俺のいる客間に近づいて来た。

 慌てた俺は部屋のふすまを閉めて息を止めて、布団に潜り込んで息を潜めた。


「…………こん部屋や」

「うむ……」


 足音が俺のいる客間に止まると、声をひそめた男の声が聞こえた。ちょっと聞き覚えのない声だったが、偉そうに返事した男の声は聞き覚えがあった。だけどど忘れして誰だったか分からない。

それじゃ駄目じゃないかだが、今度はふすまが乱暴に開かれた。


 そこに現れたのは、左手に松明を持って右手にカマを握り天狗の面を被った筋肉質の六人の男。

 そいつらがなにも言わず部屋に流れ込むと、音に気づいて目覚めた俺たちを取り囲んだ。


「にゃんにゃおみゃえら?」

「……今からわいたち部外者は七斬り様ん生け贄になってもらう」

「にゃんと……」


 ヤング横溝兄の『村から逃げろ』の意味が良く理解した。しかしまぁ……コイツらが何者か知らないけど、身柄を拘束出来ると思うなよ。


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