サタンちゃまと七斬り様の祟り14
横溝兄弟と別れた俺たちははぐれた時道たちと合流して、これまでの出来事を言って村長の屋敷に戻ることになった。
その帰りの途中、鷹村警部が真実を知って声を荒げた。それは横溝弟の彼女が去年の今頃この村に来ていて、それ以降行方不明だと言うこと。
「おいっどう言うことだっ当時の事件の資料には横溝弟の彼女のことなんて一切書いてなかったぞ?」
「済みません……わ、私も初耳で……確かに弟には彼女はいました。しかしまさか七斬り村に来ていたとは今日初めて知りました」
未来から来たもう一人の横溝兄が正直に答えた。
「本当か? まさか弟をかばうために知ってて黙っていたんじゃないんだろうな?」
「いっいえ、そんなことは……」
鷹村警部が詰め寄って問い詰めると横溝兄がタジタジになりながら両手をあげた。
「待ってください」
横溝兄に助け船を出すように時道が鷹村警部を呼び止めた。
「なんだっ時道?」
「彼は本当に知らなかったみたいですね。恐らく我々と言うイレギュラーが関わったから展開が変わったとでも言うべきですね」
「……本来はあってはならない未来人が過去に行って歴史を改変するタイムパラドクスか……」
鷹村警部がなんか難しいこと言ってるけど要は、事件とは関係なかった俺たちが過去と関わってしまったため、新たな事実や出来事が発生したんだ。
「確かに全く関係ない異世界人も容疑者と関わったら歴史に変化が生じるな……」
そう言って鷹村警部は鋭い目で俺たち異世界チームを睨んだ。
「とりあえずお前らは祭りが終わるまで鷹村兄弟とは関わるな。いいなっ?」
「にゃんで?」
「なんだちびっ子さっきから変なネコみたいな口調で喋って普通に喋ってもいいんだぞ?」
「そりゃ仕様にゃから無理にゃ、それより例の村人惨殺に仕様されるハズの伝説の刀を回収したからもう大丈夫にゃ」
「なんだと……それは重要な証拠品だ。今すぐ見せてみろ」
そういや途中はぐれた鷹村警部には刀を仕舞ったことは言ってなかったな。
「にゃむっ…………仕方にゃいにゃ〜」
こんなこともあろうかと思ってまだモスマンを悪魔ファイルに元さなかった。俺が呼ぶとモスマンがヌッと現れた。
『サタン様お呼びで』
「ぎっ! 目玉のバ、バケモノ!」
モスマンの姿を初めて見た鷹村警部が目を丸くして本気で怖がっている様子。実は人間が怖がるといけないのでモスマンに隠れているように命令していたのだ。
『こっ……………!』
全身真っ赤になって鷹村警部にキレるモスマン。そこへ俺が呼び止めた。
「まぁ怒るにゃ」
『サタン様しかし……』
「それよりさっき飲み込んだ刀を吐き出して見せるんにゃ」
『……お言葉ですが簡単に言いますけど、一度飲み込んだアイテムを吐き出すのは中々苦しいですぜ。そりゃあサタン様の命令とあればやりますよ。しかしタダとは言いませんがそれなりの褒美を〜』
「分かったにゃから早よ吐くんにゃ」
『…………承知しましたでは、うぶおっああ、うぷっおえっ…………』
四つん這いの姿勢になったモスマンが苦しそうに刀を吐き出した。すると周りの人たちは嫌そうな目で見ていた。
まぁ頑張れモスマン……。
『うげっ……は、吐き出しましたぜサタン様……ところでご褒美は……』
「にゃっ」
『そういや忘れてたな』俺はポッケからうんまい棒一本取り出してモスマンに渡した。
『こっ………………苦しい思いして吐き出した成果が駄菓子一本ですか……』
「にゃっ」
『こっ…………!』
もうめんどくさいから適当に返事したらモスマンの全身の体毛がより真っ赤になった。
「これが犯行に使用されるハズの伝説の刀か……」
そう言って鷹村警部が刀を鞘から抜いた。すると光輝く刀身が見えた。
今から約780年前の源平合戦に使われた刀とは思えないほど、保存状態のいいシロモノだった。
「昔の刀とは思えないほど保存状態がいい。これなら犯行に使われても不思議ではないな」
「鷹村警部〜〜それって持っていたらヤバくないですか?」
長谷川警部補が心配そうに鷹村警部に聞いてきた。まぁ自分もその刀で狙われるかも知れないので、気の弱い彼は気が気ではないな。
「分かってる。この刀さえ横溝弟に渡さなければ事件は起きない」
そう言って鷹村警部は刀を俺に返した。いやいや、幼女には刀はデカ過ぎて手に持て余しますよ。
とりあえずモスマンに差し出した。
「モスマンもう一度刀を仕舞っいてくれにゃ」
『こっ…………分かりやしたよ。サタン様の命令とあらば……』
このあとモスマンは渋々刀を飲み込んだ。
こうして部下全員を悪魔ファイルに戻して風呂に入ってから眠ることにした。
明日は祭り初日。
その夜に横溝弟が刀でもって村人を惨殺する未来だが、凶器となる刀はすでに没収したのでひとまず安心だ。だけど一応なにが起きるか分からないので俺たちは祭り最後まで見送ることになった。
そんな時客間のふすまがスッと開いて村長の孫が顔を出した。
「よう、俺の屋敷は気にいったか? ところでよう……明日俺と山に登らないか?」
「にゃんにゃ真夏の暑いなか山に登るにゃんて罰ゲームにゃ」
「チッ! ガキには用がねーんだよ。俺が誘ってんのはそこの変な格好した赤毛のねーちゃんだよ」
どうやら村長の孫はメリーが好みらしく山に誘ってまーアレしたいらしいな……アレとはあえて言わんが他にもビビットさんやエイトさんとかいるのに一人しか誘わないと言うことは、一人だと襲い易いからだろうな。
こりゃ益々もってメリーを一人にするわけにはいかなくなった。
「行くにゃメリー」
「行くわけないけどなんで?」
鈍感なメリーは村長孫の邪な目的に気づいてないみたいだ。
そんな中ようやく横溝兄弟が帰って来た様子。
それを知った横溝兄は慌てて押し入れの中に身を隠した。
「なぁ、俺の知り合いの女の子明日この村に到着予定なんだが、良かったら明日の登山俺も混ぜてくれないか?」
横溝弟が何故か村長の孫に話し掛け交流してきた。しかしその話も初耳だ。
「へ〜アンタの知り合いの女の子って可愛い?」
「ああ、アンタが誘った赤毛の子と同じ位可愛い」
メリーが可愛いとはな……確かに美少女だが……すぐ手を出す乱暴な女だぞ。
「いいねぇ〜〜ジュルッ…………」
村長の孫がヨダレを手の甲で拭うとなにか企んでそうな笑みを浮かべ、横溝弟の誘いに乗った。
しかし、村長の孫と接種して消えた彼女のこと聞き出すつもりか?
まぁ明日になれば分かるか……。




