サタンちゃま北海道に行く2
「おいっヒグマじゃねえか」
谷川シェフが指差す先にクマの群れがこちらに向かって来た。魔物じゃないけど『ちょっと待って!』初っ端から危険生物と遭遇だ。
魔物じゃないからってヒグマはゴブリンなんかより数倍強いし獰猛肉食。真っ先に餌食になるのが幼女の俺だ。
「にゃっ!」
「ちょっとちびっ子!」
だからメリーの陰に隠れた。済まんけど盾になってくれ。
「ヒグマってなに?」
のんきにメリーが聞くと谷川シェフが『今説明してる場合じゃねえんだが』と答えた。
異世界大陸にはクマ系魔物がいないのかな? クマと同じ役割りの類似魔物がいると思うけどな。
「とりあえず車内で待機しましょう」
聖女さまの指示に従い。俺たちは車内に避難した。
ヒグマくらい倒せるけど相手は野生動物で無闇やたらと殺す訳にはいかないからだ。
ヒグマの群れが通り過ぎて行った。しばらくして安全を確認してから外に出た。
そこに谷川シェフが来て険しい顔でタバコに火をつけた。
カチッ
「にゃっ……」
側に幼女がいるのにタバコを吸うなんて悪い大人。
まぁ、俺がサタンだから気を使ってないとも言える。
「良くねぇ兆候だな……」
「それはどうしてでしょうか?」
聖女さまが谷川シェフに聞いた。
「そりゃ強い魔物がこの島の奥にいる証拠じゃねえか?」
「確かに……ヒグマの群れが魔物に追われて来た可能性がありますわね……」
「んっじゃっ慎重に行くとしようか」
ガチャッ!
谷川シェフが右腕に射出型鉄杭を装備し楽しそうに笑った。
ハンターとしてはプロ中のプロだから頼もしい。
「ちょっとちびっ子」
「にゃっ……」
メリーがなんか言ってきた。ようやく俺の呼び名が『ちびっ子』で固定された。チンチクリンよかマシだけど、全然良かないよ。
どうせロクな用じゃないのは確かだ。ある程度予想出来た俺はメリーにハンドルを回すジェスチャーした。
「分かってるじゃないちびっ子。まだMP余ってるでしょ? 魔物が出る前にここで一回ガチャ回しなさいよ」
「にゃっ!」
思った通りだ。俺は猫みたいに鳴いて返事してガチャスキルを発動。
どっかーーーん!
「ぎゃっ!!」
毎度のことながら空から落ちて来た巨大カプセル自販機の衝撃音にメリーがビックリしてひっくり返った。
どうでもいいけどパンツが見えてるよ……し、白か……。
俺は一回だけガチャを回した。
ガチャガチャガチャッポンッ!
「にゃっ!」
星4のエメラルドカプセルだ。
問題は中身で最近分かってきたのは、当たりはもちろんのこと、使える悪魔かだと言うこと。
特にモスマンみたいな使えるスキルだと嬉しい。さて今回はどうかな?
発光するカプセルが震えて蓋がパカッと開いて悪魔が出て来た。
シルエットは思いのほか小さい。俺の背丈の半分位だ。煙りが晴れその姿が明らかになる。
引き当てた悪魔は蝶々みたいな羽があって羽ばたいてホバリングしていた。身体は可愛らしい人間の女の子でふわふわしたピンク色の髪だ。
まぁ、中々の美少女かな……なにせ、同い年っぽい幼女だから性的な意味で言っちゃ不味い気がしてな……。
とりあえずステータスチェックした。
【 シールドピクシー レベル1 特殊スキル ドームシールドレベル1 注意事項 一回の呼び出しにつきシールドは一回のみ。ただし、レベルがあがれば上限回数が増える 】
「にゃっ!」
コレって当たりじゃないのか?
ドームシールドって実践しなくても大体想像出来た。しかしご丁寧に説明付きだ。そうなるとシールドはここぞという時に使わないと駄目だな。
「なによシールドピクシーって妖精でしょ?」
「にゃっ!そうだにゃっ」
人のステータスを覗き見するデリカシーに欠ける女だ。
「妖精を悪魔扱いするこのガチャおかしいわよ」
メリーがグダグダ言ってきた。別にそんな細かいこと指摘しなくてもいいのにな。
「あ痛っ!」
突然シールドピクシーがメリーの顔を蹴った。ちょっと顔に蹴りは中々だぞ。
「ちょっといきなりなにすんのよっ!」
「うるさいっ!さっきから聞いてりゃ勝手なことぬかしやがって!アタイが妖精だろうと悪魔だろうとお前に不都合があるのか?」
腰に左手を当ててメリーに指差すシールドピクシー。一人称がアタイって見た目に反して姉御肌な性格だ。
「わ、分かったわよ……ご、ごめんなさい」
蹴られた頬に手を当て流石のメリーも勝気な妖精さんにタジタジだ。
良し。メリーに虐められたらピクシーさんを呼ぼう。
「シールドピクシーですか……それはシールドを張れることでよろしいでしょうか?」
言葉使いだけは清楚な腹黒聖女さまがピクシーに聞いた。本当お上品な見掛けと仕草だけで皆騙されているんだよね。
「あったりめーよっ!危ねぇ時は呼んどくれ」
腕組みしてドヤ顔のピクシーが答えた。
「分かりました。ふふ、コレは使えるわね……」
ほくそ笑んだ聖女さまは小袋を取り出し、数個の魔石を手の平に出した。
ケチ臭い聖女さまも悪魔育成に魔石を消費する気になったか。
「んじゃそろそろ行くぞ」
谷川シェフを先頭に俺たちは島の奥地へと足を踏み入れた。さて、この先にはどんなボスが待ち受けているのだろうか?
だけど、頼もしい食材ハンターと召喚悪魔のおかげで安心して冒険出来るのはいいね。
この日本編が終わるとサタンちゃまと世界の謎が解け本格的な異世界大陸での冒険が始まる予定。
今急ピッチで執筆中です。
よろしくお願いします。




