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ちびっ子猫口調TSサタンちゃまは悪魔ガチャで頼れる部下を集め、仲間と一緒に異世界大陸を楽しく冒険するにゃん♬  作者: 大空司あゆむ
異世界大陸編

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サタンちゃまと幻の草3

 

 草男の泣き落としに仕方なく了承した俺たちは、不死城から西にある魔の森に向かった。

 しかし、どうにも胡散臭い。

 だって病に苦しむ母親のために薬草を手に入れる。それは分かるが、リュックにさしたシャベルは本格的じゃないのか?

 普通草程度なら、小さなスコップリュックに入れとくよな……。


「サタン様っアイツ胡散臭せーよな?」


 不死姫姿のヤドカリ大将が、鼻歌まじりで先頭を歩く草男の背中を見ながら話し掛けた。


「確かに怪しいにゃっ……とは言えにゃにもしていにゃいのに疑う訳にはいかにゃいから、とりあえず様子見にゃっ」

「…………サタン様っちょっといいか?」

「にゃんにゃっ?」


 若干馴れ馴れしい話し掛け方がイラッとするな。俺はお前の上司だぞ。


「サタン様の喋り方可愛いですね」

「にゃっ!」


 今頃気づくとはお前は何千年俺の部下をやってきたと思うんだ?

 まぁ、こうして間近で冒険するのは初めてだから、それまで気づかなかったか……。


「魔の森に着いたぜっ!」


 そう言って草男はリュックをおろし、シャベルを取り出し後ろにさがった。


「どうぞ……」

「にゃっ!?」


『どうぞじゃねーぞ!』魔物退治は俺たちに全投げかい。


 とは言え、コイツの用心棒を頼まれたからには従うしかない。正直大して美味くもない雑草料理を頂いた分は働くしかないからな。


「仕方にゃい。パギュール、エイトっ魔物が出たら頼むにゃ」

「承知いたしましたサタン様っ、このパギュールにお任せアレ」


 ヤドカリ部長が俺の前でひざまづいて忠誠を誓った。


 一方エイトさんはちょっと戸惑っている様子だ。はて?


「にゃんにゃエイト行くにゃ」

「いつエイトが部下になったのら……それでサラリと命令する悪魔王っ恐るべし……」

「にゃっ!」


 それで戸惑っていたのか?

 確かについ部下と同じ接し方してしまっていたな。ここは素直に謝ろう。


 俺はトコトコとエイトさんの足元まで歩くと見あげた。


「ごめんにゃっ」

「…………」

「にゃっ!」


 言い方悪かったのか、絶句するエイトさん。まぁ、礼儀とか気にするようなキャラじゃないし、いいか……。


「流石サタン様可愛いっ!」

「にゃっ!」


 すっかりヤドカリ部長は俺の可愛さの虜だな。


「おいおいっ大丈夫かよっ、そろそろ魔物が出てもおかしくねーぜ」


 最後尾に張りつく草男が愚痴り始めた。

 お前本当に母親のためにこの森に来たのか? どうにも泣き落とし後の横暴な態度が不信感を抱かせる。


 まぁ、いずれ尻尾を出すだろう。


「ったく、雑談してる暇があったら周囲の警戒しろってんだ……んっ!」


 草男がなにかの気配に気づいて、肩をあげビクッとした。


 ガサッ……。


『グルルルルゥゥゥゥ……』


「ひいっやっ!出た出たっブラックウルフだっ!」

「にゃっ!?」


 背後に回って幼女を盾にするな!


「ほ〜っコレが魔物か……悪魔と違って知性は皆無だな。それは別に構わねぇが、久しぶりの戦闘を楽しませてもらうぜ」


 獲物を前に舌舐めずりしたヤドカリ部長がランサーを構えた。


『グルルル〜〜ウゥゥ……ガウガウッ!』

「あっ!ひいっ!ひいいっ……」


 一匹が吠えると、草むらから仲間が次々と姿を現した。その数十匹だ。

 まぁ、余裕でしょっ……ただ一名腰を抜かした草男がいるけど。


「サタン様危ねぇからさがってくれなされ」

「嫌にゃっ!アタチも戦う!」

「マジか……しかし、大丈夫すか……」


 幼児体型のことを心配してるのは分かる。だけど心配は無用。


「こう見えてもアタチのレベルは210で体力数値が36600にゃ」

「……レベルとか数値とか言われても良く分かりませんが……異常に高い数値ですね。なら、心配ないか……」

「そうだにゃっ!」

『ギャウンッ!』


 向かって来たブラックウルフに対し俺は、得意の頭突きをかまして吹き飛ばした。しかし、毎度頭突きだ。

 まぁ、手足が短いから攻撃が敵に届かないからね。結局頭突きしか出来ないのがワンパターンな攻撃の理由。


「おいおいっ!囲まれたぞっ!」


 ブラックウルフの群れに囲まれ草男が震えた。


「ちょっと黙ってな雑草野郎。さてっ一掃しますかっ!」

「にゃっ!」

「……なんでエイトまで……」

「ワンワンニャン!」


 ペットを加えた計四人の俺たちはブラックウルフと戦闘を開始した。


『ガルル……』

「おうっ!来るかっ犬っころ!」

「ちょっとお姉さんっ!僕は犬っころじゃないワンニャン!」

「お……」


 ワン☆ころがヤドカリ部長の呟きに勘違いして反応した。


「悪い。犬っころと呼んだのはあの黒い狼のことさっ!」

『ギャウンッ!』


 訳をいいながらヤドカリ部長が、ブラックウルフの土手っ腹にランサーで一突きして倒した。

 しかしその言い方はペットが勘違いするからやめた方がいい。


「おうっ!見掛けだけで大したことねーなぁ」


 ガチャン!


 そう言ってヤドカリ部長はランサーを肩に担いでエイトさんに話し掛けた。

 するとビクッと反応する気弱な天使。


「……エイトは皆んなの幸せのために頑張る……」


 とてもいいことを言ったエイトさんがジャッジメントアックスを握った。しかし、言い方が子供っぽいんだよな。

 まぁ俺も、人のこと言えたもんじゃねーけど……。


『ガルルッ!』

「チョイなっ!」

『ギャルンッ!』


 飛び掛かって来たブラックウルフにエイトさんが斧で斬りつけた。するとスパッと切れる訳でもなく、断末魔をあげて肉体が蒸発するように消え去った。

 なるほど……悪を浄化する。恐ろしい断罪武器だな。俺もその武器に斬られたことがあるけど、体力が回復して善と判断された。

 それはそれで悪魔として屈辱だな。


「サタン様っソッチに二匹がっ!」

『ガウッガウッ!』

「にゃっ!にゃんっ!」


 得意の頭突きを一匹目にかまして、着地するともう一匹が牙を剥いて飛び掛かって来たからとっさにガチャスキルを発動させて自販機筐体で踏み潰した。


「えらく無茶しますなぁサタン様……下手すると自身も踏み潰されてましたよ?」

「にゃっ、にゃはは……」


 確かに尻もちついた足元からカプセル自販機の距離は、わずか30センチだった。

 一歩間違えたら、今頃海老煎餅モドキだ。


 そしてなんとかブラックウルフ十匹を撃退した。


 すると草男が歓声をあげた。


「ひょっほ〜お!こんなところにレアな珍奇植物(ビザールプランツ)が沢山自生してるじゃねえかっ♬」

「にゃにっ、ピザ?」


 聞き慣れない言葉を口にした草男がシャベルで生えてる見慣れない植物を、手当たり次第掘り返した。


「にゃっ、にゃにをやっているにゃ……」

「話し掛けんなっガキッ!それと、これは俺が見つけた草だからっ絶対触んなよっ!」

「にゃっ……」


『別に要らねーよ。そんな雑草』しかしよっぽど価値があるらしく、草男は一心不乱にシャベルで草を掘り返して麻袋に入れた。


 それを見ていたヤドカリ部長がランサーを乱暴に地に突けて

 、俺に話し掛けた。


「サタン様っあの無礼な雑草野郎殺します?」

「いにゃっ、殺すのはダメにゃっ!とにかく草男の正体を把握してから対処するにゃ」

「慎重になるのはよろしいんですけどねぇ……ありゃプラントハンターですぜ、きっと……」

「にゃにっ!?」


 プラントハンターって、世界中の貴重な植物を根こそぎ引っこ抜いて高額な値段で売りさばく者たちの名称だ。

 コイツらのおかげで貴重な植物が絶滅危惧種になって、ワシントン条約で輸入規制されさらに高価になる悪循環が生まれる。


【 プラントハンター】名前はカッコいいが、決して褒められた職業ではない。


 現に草男は貴重な植物を採取しながら、


「ハハッ!タダで手に入れた草を馬鹿な日本人が十倍の値段で買ってくれるからやめられねーよな」


 と上機嫌で麻袋に入れていく。

 ついさっき鼻水涙流して難病の母親のためにと幻の草を探しに森に同行してくれと、頼み込んだ男とは思えないな……。


 この草男は限りなくグレーだな……。


 さて、今の内にお仕置き方法を考える必要があるかも知れないな……。


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