サタンちゃまと不死の姫君1
「アクセセレイション・ホームッ!!」
ガッキン!
アルマーが飛行形態ジェットバードモードに変形した。今から彼の上に乗って姫君の城に向かう。
「にゃん!」
意気揚々と俺はアルマーの上に飛び乗った。もちろんペットのワン☆ころも、未だに俺の背中に張りついてる。
『……』正直。こんな横着なペットだと思わなかったぞ。
「あの〜サタンちゃま……」
「にゃっ!」
なにか言いたげなユウナに顔を覗き込まれた。
「にゃんにゃユウナ?」
「私たちも一緒に連れて行ってもらえませんか?」
「にゃっ!そ、それは危険にゃっ」
「危険は承知です。でもっこんな経験滅多に出来ないからお願いっ!」
「にゃっ……」
手を握ってお願いされたら、断り切れないじゃないか。
「ケケッ♬ 社長まさか、こんな小娘連れて行く気ですか? きっと足手まといになって苦労しますぜ?」
黒鴉が耳元で警告した。
確かに危険極まりないが、アルマーに親衛隊にモスマンにエイトさんと強い仲間がいる。だから誰かにガードしてもらえれば連れて行けるな。
「分かったにゃ……」
「おおっ!話しの分かる会長だねっケケッ♬」
「いんにゃっ行きたいにゃら連れてくにゃ」
「マジか猫畜生っ!……いや、それは冗談で社長っ誰が小娘三人を護るんで?」
「……三人と言ったら、お前らしかおらんにゃ」
「マジかっカーーッ!前言撤回この猫畜生♬ 知りませんよっ下手したらコッチが全滅する場合も」
「誰にゃ猫畜生にゃっ!とにかくこれは修行と思えにゃっ!」
修行ってのは今思いついた口から出まかせだが、我ながらいい案だ。
それに、憧れのクラスメイトに俺たちの勇姿を見せつけるチャンスだしな。
「サタン様の命令とあれば、このクレナ従います」
流石クレナは誰かさんと違ってブーブー言わんな。一方もう一人の黒騎士のロウファンが手をあげた。
「私も賛成〜そこで提案。丁度人数が一緒なので、それぞれ各一人守護しながら戦うと言うのは?」
「ケケッ♬ おもしれー案だな。じゃあワタシは三つ編み眼鏡ちゃんを護るよ」
「ちょっ!眼鏡言うなっ!」
アヤネ担当が黒鴉か……あとの二人は……。
「あらっ、好みの子黒鴉に取らちゃった」
こ、好みって同性だろロウランは……で、でも、男とくっ付くよりは百倍マシだ。
なんか娘を溺愛する父親の気分だな……いんや、俺の全ての部下は同じ位大事なんだ。
で、ロウランはユウナを選び。クレナは消去法で最後に残ったミツヤを選んだ。
まぁ、クレナにとっては修行が出来ればいい訳で、好みとか関係ないみたいだな。
「ちょっと、こんなカッコ良くて綺麗なお姉さんに護られて本当にいいのかな?」
「……構いません。ミツヤさん」
「あはは……呼び捨てでいいよ。なんか背中がむず痒くなるから……」
「承知した」
話がまとまったけど、どう見ても乗員オーバーだな。
「仕方にゃいにゃっ姫君の城まで歩いて行くしかしにゃいにゃ……」
『待てトモよ。確かに飛行形態だと乗員オーバーだが、これなら四人くらいなら乗せられる。アクセセレイション・ホームッ!」
ガッキン!
アルマーがドリルタンクモードに変形した。
「にゃるほど、コレにゃらアタチとアヤネとミツヤとユウナを乗せられる。しかし、他の四人はどうするにゃ?」
『飛ぶか走るかの二択しかないのでは?』
「にゃっ!確かに……」
なるほどと思って俺は手をポンと叩いた。
「コラーッ!猫畜生っいや、社長ーーっ!ワタシらに自力で飛んでけと言いたいのですか?」
「そうだにゃっ、黒鴉も翼持ってるにゃら、自力で飛んで行くにゃ」
「そりゃ殺生な……」
黒鴉が肩を落とした。
幸い親衛隊とエイトさんは飛べるので自力で向かってもらう。
アルマーの戦車形態の上に俺が乗って、三人娘が乗った。そしてロウラン以外が翼を出し羽ばたき宙に舞った。
翼を持たないロウランは眷属のボーンペガサスを呼んで乗馬した。この骨のペガサスは肉のない翼が羽ばたくと宙に舞った。
これで移動問題はクリアだ。
「さて決まったところで覚悟はいいかにゃ?」
「『もちろん!』」
全員意見が一致して返事した。
「それにゃ出発にゃっ!」
もうすでにここはロストプロスパーで、不死の姫君の領地内だ。姫君の城まであと少しだ。俺は意気揚々と城の方角に向けて指を差した。
さて、俺たちを乗せたタンクのキャタビラがうなりをあげて、大地を疾走した。




