サタンちゃまと復活のエース2
「回すにゃ」
ガチャガチャッ……ポコンッ!
腹を空かせた黒鴉のために魔石ガチャを回した。
しかし最初は楽しいが、手動で回し続けるのは地道にシンドイな。
で、結局10回回した。
結果は赤魔石3、緑魔石2、黄魔石1、青魔石2、金魔石1、紫魔石1の以上だ。
今回初めて金と紫の魔石を当てた。効果は不明だからどうするか……俺はチラリとメリーの顔を見た。
「なによちびっ子……」
「魔石鑑定頼むにゃ」
「……いくら出すの?」
「にゃっ!」
口を尖らせたメリーが俺に手のひらを差し出した。
ドイツもコイツも見返りを求めやがる。仲間なんだから少しは無償の協力しろよと思うよ。
でも仕方ない。
俺は小腹が空いた時に食べようとドレスのポッケに忍ばせていた格安駄菓子のうんまい棒スルメ味を、メリーに差し出した。
「食うかメリー?」
「なにこれ……」
どうやら日本国民的ステック駄菓子を知らないらしいな。恐る恐る手に取ったメリーが袋から出すと一口。
「んっ…………うんまいっ!」
「にゃっ」
「ちょっと旨いじゃんコレ!」
「にゃにゃっ♬ どうやら気に入ったみたいにゃな。にゃて、鑑定の報酬はスルメ味もう一本でどうかにゃ?」
「やるやる……」
メリーは首を縦に二回振って了解した。
スンゴク喜んでいたけど、一本40円とはまさか異世界人は知らないだろうな。
「鑑定っ!」
メリーが手をかざすと並べられた魔石が光り。それぞれの効果を表す表示文字が浮きあがった。
【 赤魔石 効果 攻撃力上昇 緑魔石 効果 力上昇 青魔石 効果 体力上昇 黄魔石 効果 素早さ上昇 金魔石 効果 金運上昇 紫魔石 効果 魔力上昇 】
『にゃっ!』金魔石の金運上昇ってなんだ? 恐らく入手ゴールドが二倍、三倍になる効果だな……知らんけど。
「ほら、食うにゃ」
「おっうっまそー♬」
『…………』
とりあえず俺は黒鴉に魔石全部手渡した。
両手を握って歓喜する彼女の少し離れた場所で、レッドデビルたちが物欲しそうに眺めていた。
『にゃっ……』渡し辛いなぁ……。
『あー分かった。分かったよ。あとでコイツらに魔石ガチャ回してやるよ』
黒鴉は魔石をバリバリ砕いて食べた。
歯が欠けないのかいつも心配になる。しかしスマートな食い方じゃないなぁ、身体に吸収させる悪魔騎士クレナを見習った方がいいよ。
『レベルがあがりました』
「おっラッキー!」
【 職業黒天使 黒鴉レベル6 魔力16 攻撃力38 力35 体力42 素早さ52 幸運10 特殊スキル 分身レベル1 闇属性】
「ショッボ……」
「にゃっ!」
正直な黒鴉だ。
しかし、小魔石10だからそんなもんだよ。
「本来ならもっとアタシは強かったのになぁ……なんで弱体化した? まぁ、ゴブリン相手なら充分過ぎるレベルか……」
一人納得した黒鴉が首を鳴らすと漆黒の剣を鞘から引き抜いた。
「社長っこの先の森からクッセーゴブリン共の匂いが近づいてますぜ。チョッチョイと狩って来ますんでそこで見ていてくださいよ」
「頼むにゃ」
「ケケッ♫ そんじゃ報酬のうんまい棒用意して待っていてくださいね」
意気揚々と黒鴉が単独で森の中に消えた。
大丈夫だと思うが、相手は野蛮なゴブリンだからヤラれるなよ。
□ □ □
『レベルがあがりました』
「にゃっ!?」
原生林の前で俺たちが待機していると急に俺のレベルがあがった。恐らく森の中で黒鴉が倒したゴブリンの経験値が俺に流入したからだな。
あくせく働く部下のおかげで社長が儲かる仕組みだな。
そんな中、空から一台の高級スポーツエアカーが俺たちの前に着地した。
今度は高級スポーツエアカーの金ピカ車体のフェローリだ。
一体どこぞの成り金だ?
するとサングラスを掛けた若い金髪のあんちゃんが、運転手席から降りて来た。しっかし趣味の悪い真っ黒なグラサンだな。
すると成り金ジジイと目が合うとサングラスを外した。
ガッカリタレ目だな……前言撤回悪いことは言わん掛け直せ。
「オヤジい」
「おおっ来たか武市」
『にゃっ!』やっぱり親子かよ。しっかし見事なブランドスーツに身を包み、5000万の価値か純金ブランド時計をこれ見よがしに見せびらかして、絵に描いたようなドラ息子だな。
「やってる?」
「おお、今最中じゃよ」
聞き方。知らない奴が聞いたら怪しげな会話に思えるだろ成り金親子。
『ほっほっ……ヤケに羽振りがいいのう?』
止せばいいのに竜神さまが成り金親子に話し掛けた。
「そりゃあもう。マグロ漁が年間通して豊漁でお金がガッポガッポじゃ、それに息子のホテル業が好調でな、おいっ三棟目のホテル建設はどうなった?」
「ああっ順調だよお父さん」
『にゃっ!』さっきオヤジ呼ばわりしてただろうドラ息子。おおよそメリーに気づいていい子ぶったんだろう。
しかし自慢はいいが、環境破壊すんな成り金親子よ。
「しかしのう……あの騎士を一人で行かせて本当に大丈夫かのう……」
「黒鴉にゃら大丈夫にゃ」
「童にゃ聞いとらん」
「にゃっ!」
腕組みして鼻を鳴らした成り金ジジイはあからさまに見掛けで差別してきやがる。
言っとくけど俺は黒鴉の上司だぞ。
「しかしのう……お主ら今夜泊まる宿はあるか?」
「ないわよ」
「そうか……だったらワシの屋敷に泊まっていけ」
成り金ジジイがニタリと笑った。メリー相手にどうせろくでもないこと考えてんだな。
もし彼女に妙なことしたらタダじゃ済まないからな。
しばらくすると原生林から黒鴉が血相変えて走って戻って来た。
汗だくだが、なんかあったのか?
「早かったにゃ?」
「ぜぇぜぇ……雑魚共は大したことなかったけど、それより大変だよ社長っ!」
「にゃっ!?」
息を切らして社長言うな。
「とんでもねぇ巨大なゴブリンの親玉に追われて来た」
「ちょっと!倒し損ねたの?」
「ケケッ……レベル6のアタシに無茶言うな小娘。全力で逃げて来たから親玉が現れるまであと10分掛かると思う。そこで落とし穴掘って親玉引っ掛けて上からボコろうぜ。ケケッ……」
悪巧みとなると生き生きしてんな。
「ちょっとアンタ卑怯者ね……」
「ケケッ!それはひょっとして褒めてんのか?」
「違うわよっ!」
「ケーー〜ーーッケケ……♬」
呆れるメリーを他所に黒鴉が腹を抱えて笑った。
まぁ、調子良さ気でなによりだ。
しかし、世界遺産に穴掘ったら不味くないか……。




