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訃報

「ココ、どうだ?」


「うーん、完璧。」


最後の仕上げを終わらせた2人は少し離れたところから建物を見つめる。


「…やっぱり窓枠は黒王樹にして正解だったな。」


「そうだね、やっぱり地元の木材を使うと風景とに合うねぇ。」


出来上がったのはアケラ村領主館、本来のアケラの家である。


2階建ての木造建築でギルドよりは小さいが、その分豪華な作りになっている。

来賓を迎える事もあるので綺麗な庭付きだ。


「よっし、じゃあギルドまで報告してくる。」


ノックスは仕上がりを確認し満足すると依頼主であるアケラに報告に行く。


「お願い。」


大きな仕事を終えたココは即席椅子に腰掛け一息つく。

今回の建築は過去の依頼に比べると非常に難易度が高かった。


地域の名産と言ってよい黒王樹、これがやっかいな材質だった。

だがその分、木造建築の中でもかなり長い寿命を誇るだろう。


「えっと家具は別でやるのか…元騎士団ってこともあって中庭とかがトレーニング出来るようになってるのは良いよな…。」


設計図や仕様書をペラペラ眺めながら独り言をつぶやくココ


「姉御。」


ハゲ頭の屈強な男が荷物を持って来た。


「一通りの作業が終わったので片付けの作業に入ります。」


「はいはいよろしく。」


ペコリと禿げ頭を見せつけほかの弟子たちに指示を飛ばす、この短期間で仕上げられたのは弟子たちのおかげと言っても過言ではない。

ココ率いる木造建築屋には20人ほどの弟子が居る、その中でも彼らはひと際優秀だ。


「そろそろ独立する奴が出てきてもいいんだけどねぇ。」


そうぼやくココだったが、従業員兼弟子である彼らはココの大ファンなので独立するような人物は一人もいないという事実を彼女は知らない。


しばらくしてダロランを引き連れてノックスが戻ってきた。


「おぉこれは素晴らしい仕上がりですな!!」


正面玄関しか見てないがダロランは感嘆の声を上げる。


黒王樹特有の艶がある高級感あふれる玄関を開けると、家具も何もない広間に出た。


「十分な広さですね…ここらにカーペットを…家の雰囲気的にシャンデリアなどの豪華なものはいらないか。」


「そうですね、2階まで吹き抜けになってます。

シャンデリアなどの光源は似合わないので天井付近に窓を付け、自然の光を取り込めるようにしました。」


ココは図面を広げ間取りの説明などをする。


ダロランとノックスも一緒にのぞき込み、家具の配置などを決めてゆく。



◇     ◇  



「ではまた王都の家具職人に発注書を送っておきます。」


ダロラン立ち合いの元に制作した発注書をまとめる、これでココとノックスの大きな仕事は終わった。


「ご苦労様でした、報酬はアケラ様から直接お渡しすることになってますので、またごゆっくりなさってからギルドにお越しください。」


「ありがとうございます。」


「ダロラン、この町に鍛冶師はいねぇのか?」


唐突にノックスが質問を投げかける。


「鍛冶師ですか?農場を管理してるレイリリくんが馬などの蹄鉄を調整してるのは見たことがありますが…専門にしている方は居ませんね。」


「そうか…いやワシもそろそろ歳でな、今回の仕事で身をもって理解したわ。」


「いやいや、ノックスの親父はまだまだ現役だろ、うちの若いのが2人で運んでる木材とかを1人で運んでたじゃないか。」


「いやぁ、前に比べて足腰が痛くてな、前はそんなこと無かったんだが。」


「急に来ますからね、アレは。」


「ガハハハッ!!やはり人間種とドワーフ種も老いてしまえば同じか!」


双方長い髭をワシワシ撫でながら大笑いする、実はノックスはダロランの2倍ほどの年齢だが種族による年齢差はあれど双方とも高齢者に該当する。


「そうですかそうですか、でしたらどうでしょう老後の静かな生活にアケラ村は。」


「そうだな、俺も考えていた。

王都に残してきたロミも、もう一人前と言っていい腕前だしな看板を任せてもいい。」


「ロミ君かぁ懐かしいな~元気してる?」


「あぁ元気だぞ、たまには顔を出してやれ。」


「この前見たときはまだ子供だったからね、成長が楽しみ。」


「まぁ、なんだ前向きに考えとくよ、移住の件。」


「是非是非。」



◇     ◇     ◇     ◇



朝、物音で目が覚める。


ミルト村の教会で目覚めると石の壁と質素な家具。


ケンジはのそのそと着替えて部屋を出た。

窓から見える外はまだ薄暗く、太陽が出ていないのが分かる。


部屋から出ると人の話し声が聞こえる。


その声につられるように廊下を進む。

そして聖堂に出る。


そこには白と黒の修道服を着たセティとコルヌスが祭壇前に立っていた。


手には聖書を持ち、祈りをささげている。

2人はケンジに気が付いた様子で目線だけを向ける。


軽く会釈し朝の挨拶をしようと思ったが、祈りを読み上げている2人の邪魔をしてはいけないと思いすぐ後ろの長椅子に腰を掛けた。


「聖なる光、清らかな心、原初の光を灯したまえ。」


「光を。」


頭から胸を一直線に指を切り、アストログロブ教の祈りを捧げ朝の礼拝を終える。

セティは振り返り挨拶をする。


「お早いですね。」


「まぁ、農家は朝が早いので…今のは朝の祈りですか?」


「そうです、すべてのシスターは毎朝このお祈りをします。」


「初めてお祈りを見ましたけど、頭から心臓に向かって指を切るんですね。

自分今まで正確な祈りをせず手を合わせてるだけでした。」


「祈りの気持ちさえあれば正直どのようなものでも大丈夫ですよ、一番大切なのは己のココロに光を絶やさないことです。

ケンジさんは…ココロってどこにあると思います?」


セティの質問にケンジは少し考える。

世間一般的にココロのイラストやポスターなどは心臓や体の中心に描かれていることが多い。

だが思考するのは脳だ、つまり頭ともいえる。


「うーん、ここですか?」


迷った末ケンジは自分の胸を指さす。


「ふふ、面白い解釈ですね。

ですがそういう方もおられます、アストログロブ教では心はココです。」


セティは眉間を指す。


「すべての感情や思考は頭で考えているのでココロも頭にあると教えています、逆に心臓は体の軸。

心臓がなければ体は動かない、しかしココロが無ければ生きてるとは言えない。」


眉間から心臓へとゆっくり指を這わせピタリと指を止める。


「心臓とココロ、これら2つが合わさって初めて生きてると考えてます。

そしてココロに作用する魔法を扱えるのが我々シスターと一部騎士団のみ、人々を癒し共に歩むのが我々アストログロブ教信者の目的となります。」


「心臓とココロ…。」


「さ、難しい話はほどほどに!朝食にしましょう。

今日の夕刻には王都に到着しておきたいですから!」


「では朝食の準備をしてまいりますね。」


「あ、自分も手伝います。」


コルヌスに厨房の場所を教えてもらい軽い朝食を取る。


◇     ◇     ◇


「お世話になりました。」


コルヌスにミルト村を案内してもらい、馬車乗り場まで見送ってもらった。


ミルト村はアケラ村よりも規模が大きい村で、ギルド以外にも宿泊施設や飲食店、酒場や装備品の店などもあった。


ケンジはアケラ村が目指す理想の形に近いものに感じた、今のアケラ村には店という店が少なく、商人が馬車を引き直接販売する『移動販売車』のような形態で果実店などが時々出ている。


店舗が出るのが発展の一つの目安になるだろう。


「またお越しください、ミルト村でも新しく出来たアケラ村に興味を示す方も多いんですよ。

また機会があればミルト村とアケラ村で交流が出来ればと思っております、旧最北端の村と新最北端の村同士ですので…。」


「良いですね、アケラ村に帰ったら検証しましょう。

ではそろそろ馬車が出ますのでこれで、引き続きミルト村をお願いいたしますね。」


「はい!お任せください!!」


コルヌスに元気よく見送られケンジたちはミルト村を後にした。



「次はも少しゆっくり見たいですね。」


「そうですね、お隣の村ですし密に連絡を取り合うべきだと私も思います。

またケンジさんの方からアケラさんにお伝え願えますか?」


「分かりました、お話しておきます。

僕からでいいんですか?」


「ギルド職員でしょう?お仕事しなくちゃ。」


少しいたずらっぽい表情をするセティ、自分よりはるか年上の女性の意外な表情にドキドキしながら忘れないようにやることリストにメモを取った。




◇     ◇     ◇     ◇




明け方

ゴルド王国を代表する建造物『イヴァン城』

国王の住居であり仕事場でもある。


その地下深く、複数の人影があった。


「陛下、準備が整いました。」


王の側近である大臣イディオが国王に対して深々と頭を下げる。


「うむ、ご苦労。」


イヴァン城地下には国内でも限られた者のみが入れる秘密の部屋がある。

厳重に施錠された地下室、その部屋の存在を知るものは国内でも数人しかいない。


「ルーシー。」


「はい陛下、ここに。」


アストログロブ教序列3位のルーシー・ファビオラもそのうちの1人だった。


「此度も頼むぞ。」


「お任せください。」


ルーシーも深々と頭を下げる。


「では諸君、儀式を開始する。」


ルーシーとイディオ以外の数人も深々と頭を下げ部屋に入って行った。



その日の正午、ゴルド王都に国王陛下の訃報が流れた。




◇      ◇      ◇




「なんか祭りですか?」


ケンジらが王都に到着したのは夕刻、本来ならば荷馬車が集まる集荷場には多くの商人がいるのだがそれが少なかった。

更には道を行く人々が広場を目指して歩いていたのだ。


「そんな感じの雰囲気ではありませんね、広場に行ってみますか。」


広場につくと噴水の前に大きな看板が立てられており、そこには大きな文字で国王の死が告げられていた。


「えっ!!国王が!!」


隣にいたおばあさんも同様に驚きの声を上げた。


「確かに最近あまりお姿を見ていなかったけれども…病気だったのかしら。」


広場にいた人たちは皆驚きと悲しみの声を上げていた。


(みんな悲しんでる…姿を見たことがないけど良い王様だったんだろうな。)


「ケンジさん、少し教会本部に寄っても大丈夫ですか?

いくつかの確認事項や荷物を取りに行きたいので。」


「あ、はい大丈夫です。」


2人は教会へと向かう。


「あの、この後ってどうなるんでしょうか?国王の死ってすごく大事じゃないですか?」


「え?あぁケンジさんが心配するようなことはありませんよ、生き物はいつかは死にますし陛下はご高齢でしたからね。

覚悟はできていました、それだけの話です。

我々がお仕えするのは国王陛下、ゴルド王国国王は代々襲名性なので我々は変わりなくゴルド・オーラン国王に仕えます。」


「ということは、もう跡取りは決まってるんですか?」


「はい、教会のトップはもう動いてるでしょうね。

ちなみにトップというのは序列3位より上を指すので私はトップではありませんよ?」


「じゃあ...その、自分の対応が変わるとかそういったものは...。」


ケンジが心配していたのは今の立場が変わる事だ。

組織の長が変われば運営方針が変わるというのはよくある事。


アストログラブ教はゴルド王国に属する組織だ、つまり国王が亡くなり新たな王が誕生した際に異世界人であるケンジの扱いが変わる可能性を危惧していた。


「もちろん、それも大丈夫です。

陛下が教会の方針を変えることも可能ですが、それは我々白服全員の賛成意見があった場合のみ。

私がケンジさんの味方である以上、ケンジさんに不利益な方針になる事はありませんよ。」


「よ、よかったです。」


「逆を言えば教会に味方がいなくなった時、どうなるかはお分かりですかね?」


「ヒェ。」


「ふふふっ、冗談です。」



教会本部


ケンジは2度目の来訪だが、前回と違い黒服のシスターたちが慌ただしくしていた。


「あっ!セティ様おかえりなさいませ!!

ご存知かと思われますが陛下がお亡くなりになられました、数日間は本部はこのような感じが予想されますのでルーシー様からは『報告は手紙で置いておいてくれ』とのお達しです!!」


本部に入ってすぐ黒服が伝言を伝える。


「わかりました、ありがとうございます。

ケンジさん、私は部屋に物をとってくるのでここで待っててもらえますか?」


「分かりました。」


祭壇前の長椅子に座る。


「にしても立派だよな...アケラ村やミルト村の教会も立派だったけど...総本山だったらこれくらいの規模にはなるか...。」


ケンジは昔見た映画のワンシーンに出てきた大聖堂を思い出す。

人の手で作り出したとは思えない建造物を目の当たりにすると人は惚ける。


「口、空いてますよ。」


声をかけてきたのはアケラと仲の良い白服のシスター、パサミだった。


「あ、お久しぶりです。」


「お久しぶりです、何かありましたか?」


「今、セティさんとギルドの仕事で来てて。」


パサミがギョッとした目でケンジを見つめる


「せッ、セティさんが!?

久しぶりに帰ってこられたと思えばケンジさんと帰って来てたんですね...セティさんが誰かと行動を一緒にしてるの初めて見るかもしれません...。」


「そうなんですか?」


「えぇ、もちろん立場的な理由もありますがされてるお仕事が専門知識が必要なので。」


頭の中で奇跡に頬擦りをして熱弁してる姿が容易に想像できる。


確かにあの熱量について行けるものは限られてるだろう。


「アケラは...アケラ様は元気にしておられましたか?」


「えぇ元気にしてます、時々サボってメイドのメメさんに怒られてますけど。」


「ひひっ、アイツらしいですね。」


「前から思ってたんですけど、アケラさんと仲が良いんですね。

アケラさんも砕けた話し方してましたし。」


「ん〜、そうですね...早い話は同期みたいなものです。

私が教会に入ったのとアケラが騎士団に入ったのが同じ時期で年齢も近かったですし。

騎士団の人は入団式を教会で行うのでその時に知り合ったんです。」


「へぇ〜そうだったんですか。」


「まぁ、いろいろあって私は白服に彼女は騎士団隊長に、今は領主になっちゃって。

はぁ、自分と遠くに行ってしまったなぁと。」


「またいつでも村に遊びに来てくださいよ、アケラさんも会いたがってると思いますよ。」


「そうですね、アケラ村にはいずれ行かなければなりませんね。」


「今白服の方が2名駐在してますけど。」


パサミが深くため息をつく。


「地獄みたいな環境ですね、駐在の黒服の方には同情します。」


「ふふっ、地獄みたいな環境に配属してあげましょうか?」


後ろから肩を掴まれたパサミの口から心臓が飛び出た。

もちろん比喩だが彼女のリアクションはそう思わせる程の迫力だった。


「せ、セティさん!!」


「お疲れ様です、パサミさんもアケラ村への配属を希望ですか?今はモントさんがおられるので交代といった形になりますが…。」


「いっ!いえ!!本部での勤務を熱望します!!」


「あら残念。」


セティは大げさに肩をすくめて残念がる、少しでも迷ってたら本当に異動させる人物だという事はなんとなくわかってきた。


「でもアケラ村には今後注目してほしいですね、なんせゴルド王国初の国産ジャガイモの生産に成功してますから。」


くるっと回りケンジの両肩を掴みすこし揺さぶる。

ケンジも成人男性の平均以上に筋肉はついており体幹はしっかりしていると自負しているが、セティは子供をあやすように揺さぶった。


「本当ですか!?」


「えぇ、最も早い情報ですよ。

今ドタバタしてるでしょうから少し落ち着いたらルーシーさんにもお伝えください。」


「承りました、こちらに流通しますか?」


「いえ、まだそれほど収穫できていないので…来年には流通に乗せれると思います。」


「他言無用ですがパサミさんにだけお話しましょう、実はこの後森エルフの国へ視察に行きます。

農作物生産大国の国から何を得られるのか分かりませんが、こうご期待です。」


ケンジからは見えないが後ろでいたずらっぽい笑みで流暢に機密情報を漏らすセティの姿が想像できる。


「えっえっそんな情報…。」


「では我々はここで、馬車の待ち合わせに遅れるので。」


ケンジの肩をひっぱり踵を返す。


一度に処理できる情報のキャパを超えたパサミを置いて教会を去る。


「良かったんですか?」


「えぇ大丈夫です、彼女はものすごく真面目なので。」


部下をからかう趣味があるのだろうか上機嫌なセティに着いて行き、森エルフの国から来たキャラバンたちが集まる集荷場に向かった。



◇     ◇     ◇     ◇



昼間に見る街道と異なって見通しも悪く、街頭や遠くまで照らすライトなんて便利なものがない時代。


そんな暗闇の中をキャラバン一同が進んでゆく。


「いやぁ、夕方出発と聞いた時には耳を疑いましたね、そこらの街道を行く道のりと違いジュゲ大密林に向かう道なのに!!と。

でも教会の方がいらっしゃるなら心強い!!」


4台からなるキャラバンの先頭から2台目

その馬車を操縦するカールがかかった髭の商人が大きな声で話す。


「本当にありがとうございます。」


その馬車にはゴルド王国で作られた金属製品や加工食品、魔法道具など様々な荷物とケンジ一行が乗っていた。


「にしてもこんな規模の光魔法は初めて見ましたよ!、さぞ名のあるシスターさんですな?いえいえ商人たるもの分かっておりますとも、余計な検索は自滅の元。

詳しくは聞きませんよ!えぇ!」


ラジオのパーソナリティばりに次から次へと言葉が出てくる商人。

やはり少しうるさいくらいが商売に向いているのだろうか?


「一応教会でも上の方の実力とだけお伝えしておきますわ。」


4台の馬車、その周りをバスケットボールサイズの複数の光の玉が周回しており馬車の帆の中に居ても書物がギリギリ読めるくらいに明るい。


「でしょうなぁ!!お姉さんの耳とその白い肌見たら分かるよ!!

森エルフの方々は魔法を使うのが上手い!!夜でもこんなに明るくできるのはうれしいねぇ!

魔法道具もこれくらい明るければいいんだけどな!!」


商人は馬車に掛けられているランタンをコツンとはじく、ロウソクの代わりに白く濁った水晶がはめられており、恐らく魔力を込めたりすると光る代物だろう。


「おかげさまで魔物は寄ってこねえし、こんだけド派手な光魔法使ってりゃ騎士団か教会関係者が居るってのはバレバレだから賊もこねぇ!!」


品の無い話し方をする割に頭の回転が速く、思わず『なるほど』と思えるようなことを言う。

ケンジは脳裏に恰幅が良く、大きい肉を頬張る商人の姿が思い浮かんだ。

やはり才ある商人はああいうのになるのだろうか?


「ケンジさん、お休みになっても大丈夫ですよ。

周りの安全は私が保証しますし、この方も森エルフとの交易を任されたお方。

信頼してもいいお方です。」


「そうだぜあんちゃん、人を運んだことは全くねぇが身の安全は保障するぜ。

任せてくれや。」


商人はカールのかかった髭をピンとはじき綺麗な笑顔を飛ばしてくる。


「で、ではお言葉に甘えて。」


ケンジは新しく買った厚手のコートに包まり寝袋の上に横になる。


これは馬車に乗る前、セティが市場で見繕ってきてくれたものだ。

これも森エルフ国産の100%植物由来の物らしい、値段は怖くて聞けなかった。


動物の毛皮で作られたマントもよかったが、こちらのコートもかなりいい。

何より裏起毛になっていて非常に暖かいのだ。


向こうの国ではこういった洋服の裁縫技術も優れていることが判明し、農業以外にも気になることが増え期待が大きくなってきた。


コートに顔をうずめ、まん丸になりながらケンジは深い眠りについた。




森エルフの国到着まで、あと10時間。


読んでいただき誠にありがとうございます!!


X(旧Twitter) @yozakura_nouka


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