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トクトクプロジェクト

「あなたは死んでしまいました。」


と突然言われたら人は混乱し思考が停止するだろう、しかし健二はなぜか冷静にその言葉を受け入れる。


「そう、ですか。ならここは天国ですかね?」


自分でも何故こんなに冷静なのかは分からない、しかし周りの雰囲気や今置かれている状況などから夢とは考えにくかった、はっきりとした意識があるからだ。


「そうですね、天国とはまた違いますが、まあ似たようなものですし天国でいいですよ。」


目の前の天使らしき人はそう答える。


「あ、ご紹介が遅れました私、トクトクプロジェクトの日本担当のヨヴィと申します。」


「あ、どうも中山健二です。」


「いい感じに精神安定魔法が効いてますね。」

「え?」


ヨヴィは、この空間には精神を安定させ混乱を防ぎむやみに取り乱すのを防ぐ魔法がかけられていると告げる。


「なるほど、道理で落ち着いていられる訳だ。」


「まあ、ここに来られる方は高確率で取り乱されますからね、さ、話の続きを。」


ヨヴィはどこからともなく大きな冊子を取り出した。


「はい、ではまずトクトクプロジェクトについてご説明させていただきますね。」


冊子を開くとそこには健二の名と健二の親、祖父母、その先祖の名が連なっていた。


「このプロジェクトはですね、過去に積んだ【徳】をポイントに換算しまして、そのポイントに応じて転移や生まれ変わり天国や地獄などその他諸々と交換と言いますか、引き換えいたしますというプロジェクトですね。」


そこで健二は挙手して質問を投げかける。


「あの、【徳】というのは…」


「まあ、いわゆる社会貢献度とかですかね、すべてが一概に社会の為にとは言えませんが善なる行為ですね。」


「はぁ、つまり人助けとかですかね。」


「まあそうですね、人から感謝されるとその感謝度合いによってポイントが人生につきます、そのポイントを死後清算し様々なものに変えます、ということです。」


ヨヴィはポイント表を取り出した。


【特典一覧】

・10pt 子孫に少しの幸運

・20pt 子孫に多大な幸運

・30pt 子孫の無病息災

・40pt 子孫の守護霊

・50~80pt 子孫繁栄と富と財

・90pt ランダム転生(人、魔物問わず)

・100pt 任意転生(任意の種族)


「と、このようになっています、人の人生だと平均2ptとかですね。」


「す、凄く厳しいポイント振りですね!?」


「こうでもしないと大変なんですよ、すごい人だと50ptとかは見たことがあります。日本の場合平和すぎますから、あまり稼ぎにくいらしいですよ。」


「なるほど、ち、因みに自分のポイントは…」


「あ、今確認しますねー、えー…にっ200pt…。」


「っ!?200!?」


◇ ◇ ◇ ◇


「えー、ゴホン。これほどの数字は初めて見ますね…」


そのきれいな見た目から想像つかない程に動揺していたが、この空間の魔法のおかげで何とか取り繕う。


「一体何をすればこんなptが?」


「えーっとですね、これは恐らくご先祖様が関連していますね、中山家の履歴があります。見ますね。」


「ご先祖様が?」


中山家はかなり歴史ある一族とは聞いたことがある、実家は屋敷みたいに広いのは子供の頃の記憶だがはっきり覚えている。


「ええ、凄く長く続いてるお家ですね、江戸から百姓されているんですね。」


「ええっ!そんなに!?」


「結構多いんですよ、実はお家が凄かったって方。」


「初めて知りましたよ…そうだったんですか。」


「そして履歴によると、ご先祖様はほとんどptを使わずに子孫に後回しにされていたそうですね。」


「と言うと、10ptとかですかね?」


「いえ、ptをそのまま使わずに次の方に残される選択をされてますね、なかなか珍しい選択ですがたまにいらっしゃいますよ。」

(天界の先輩達がこの行為に感動して50ptくらい多く申請書通してるなこれ…黙っとこ)


健二のご先祖様は次来る子孫の為にptを貯めて次の世代が50~80ptの子孫繁栄に使う事を願っていたのだ。

しかし後の先祖様は使わなかったのだ。


そして、代々同じ家系で育てられた子孫たちは、考え方も似てくる、そう。

子孫達もまたptを使わずに残したのだ。


「そんなことが…じゃあ、俺もそうしようかな。」


「え?でも子孫はあなたで最後ですよね?」


恐らく精神安定魔法がかかってなければ健二は悶え苦しんでいただろう。

結婚せず、子供もいない。農業一筋すぎてそんな暇がなかったのだ、と言い訳しておく。


「うぅそうです、家族もいなければ子供もいないです…。」


「ですよね!この本には中山家はあなたの代で終わりと書かれていますよ。」


「ううっ…もうやめてください…」

容赦のない言葉がひどく突き刺さる。


「どうします?なんptつかいます?」


「使わないとどうなりますか?」


「ptは消えますし、ptを使わなかった場合はそのまま浮遊霊みたいな感じになります」


「といいますと?」


「転生の命の順番待ちです、魂の情報を消して別生物への転生になります、今だと大体50~80年待ちですかね。」


「な、なるほど、なら使います!」


「よい判断だと思います!!人気なのは剣と魔法のファンタジー世界!やはり異世界転生といえばファンタジーですよ!!」


「そうですかね、凄く苦労しそうなのは遠慮したいですね…転生先でもどうかとは思いますが、またのんびり農業とかしたいですね、あ、そうだ!丈夫な体とかにして農業のできる世界に転生とかは可能ですか!?」


「丈夫な体ですか~まぁ可能ですが、いいんですか?200ptもあれば異世界に行った後に、チートで好き放題できますよ!」


「ご先祖様が残してくれたptで何てこと提案するんですか…あ、今ふと思ったんですが、僕の死因て何だったんですか?」



「熱中症です。」


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