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入国

前回の投稿からかなり期間が開いてしまいました!!

月一投稿をがんばります!!

ゴルド国都、大陸で一番大きな都市で人族が国民の大半を占める。

国王はゴルド・オーラン、別名『光の王』

彼が納めるこの国はある一つの特徴がある、それによってこの国はこの世で一番安全な国と言われている。


それは『聖域』と呼ばれる国全域を覆う光のドームで、国王の手によって作られた結界魔法である。


「魔物はおろか、魔族も侵入できない故に世界で一番安全な国といえる。

私などの騎士団は国内の警備はほどほどに、主に東西南北の治安維持などしていた。」


元騎士団の隊長だったアケラは国内の情報に詳しく様々なことを教えてくれた。


「国内は騎士団とは異なる兵士が警備をしていて、悪いことをすれば直ぐに飛んでくる。

それよりも君だ、君はこの世の知識がほぼ無い故にあまり喋るのも良く無いな。」


「そうですね、バレない様にがんばります。

初めて大きな街に行くので後ろついていきますね。」


「そうしてくれ、目的は総合ギルドで村の様々な手続きと人材募集、派遣要請だな。」


今アケラ村に必要なのは、人手とお金だ。

アケラ村は昔戦時中に全線補給地として利用されていた経緯もあって建物は割としっかりした物が残ってはいる。

しかしそれは建物だけの話。


村まで繋がる道や周囲の設備はまだまだ手を加える必要がある、今は田んぼの畦道の様な道しかない。

凹凸がかなり有り、水捌けも悪い。

実際村から出て街道に着くまではかなり馬車が揺れた。

そんな道を直したり村を綺麗にするには人手が必要だ。


そしてお金。

人を雇うのにも、村の維持管理にもお金が要る。

村の周りにもしモンスターが出たら討伐依頼を出し、依頼報酬も出さねばならない。

報酬が安いと誰も受けないため、妥協できないそうだ。


「村作りって、大変ですね。」


「そうだなぁ、私もずっと誰かに仕える立場だったのに、いつのまにか領主になり人を動かす立場になってしまった。

何が起こるか分からないな...。」


ケンジもそうだ、今まで日本で昔ながらの農業をモットーにしていたのに、転生した先は農業が未発達の世界で、ときたもんだ。


ほんとうに何が起こるか分からない...。


「よし、今夜はもう寝よう。

明日の朝には着くだろう、明日は忙しいぞ。」


アケラは部屋の隅で毛皮に包まり寝息を立て始めた。


(やっぱり騎士団だと野営とかするだろうから、サバイバルみたいな就寝方法になるんだな...)


ケンジも寝ることにした、毛皮を下に敷き毛皮に丸まり寝る。


(何の毛皮だろうか、意外に暖かい。

肌触りは硬いけど。)


なんて事を考えているとうつらうつらとしてきて、夢の中へと落ちていった。



◇ ◇ ◇ ◇



「起きろ、着いたぞ。」


やや乱暴に揺らされて目が覚めた時には、既に船は停まった後だった。


そこには似たような船が何隻も停泊していた、桟橋の上には荷物を下ろす人たちが忙しなく動いていた。


「ここから歩いてすぐの所が正門だ。

早く行かないと混むぞ、早く行くぞ。」


「では、お気をつけて。」


寝ずに舵を取ってくれた魔法使いのミラドロルさんは少し眠そうだったが見送ってくれた。


ちなみに運賃は野営地〜王国首都北船着場だと大人1人 80G(¥8000) 持てない荷物などは1つあたり追加で20G(¥2000)ほどらしい。


ケンジは所持金が100G(¥10,000)しかないので、ここはアケラ村の経費としてアケラが払ってくれた。


「また機会があればお会いしましょう、基本的に野営地に滞在しておりますので、ぜひ。」


「はい!ありがとうございました。」




ミラドロルさんと別れを告げ、船から降りるとそこにはファンタジー物でよく見た異世界の光景が広がっていた。


遠くに見える城壁、距離があるのではっきりとした高さは分からないが、10mはありそうな気がする。

そして船着場から2〜3km先の城の城壁まで広い道が出来ており、道沿いに露店が並んでいた。


「すごい...」


「迷子になるなよ。」


大人なのに迷子になるわけが無いと、ケンジは一瞬思ったが。

アケラが注意するのも納得するほどの人の多さだった、中には人と呼んで良いのかわからない容姿の者もいた。


人間、獣人、ドワーフ、エルフ。

ケンジの知識では物語に出てきた種族はそれくらいしか分からなかったが、それ以外にもトカゲのような肌の者や、背が異常に高い者。

肌の色も、一般的な色から灰色、赤、緑や青など様々な者もいた。


(やっぱり異世界なんだな...)


あちらこちらから客呼びの声が聞こえる。

売っている品は食料品からナイフや鎧など、実に多彩な品揃えになっている。

しかしその並べ方に違和感がある。


「あの、アケラさん、ここの商品って...」


「お、気がついたか?そうだ武器類に関しては大半が盗品など、食料品もルート不明なものが多い。

違法マーケットだ。」


疑問に思った点として、武器などを扱う店なのにやたら傷がついた武器が多く感じたのだ。

食料品なども、あからさまに傷んでる見たことのない果物を平然と並べてある。

怪しさ満載だ。


「騎士団が取り締まりなどをしてもすぐに元に戻るからもう半分諦めてしまってな、別に大きな害は無いので放置してしまってるのが現状だ。」


あまり国としては喜ばしくは無いのだが、この違法マーケットは冒険者や旅人からの評判が良く、

『時々掘り出し物がある。』 

『使わなくなった武具がすぐ売れる。』

などの理由で利用されている。


「買い物は後だ、とりあえずは用を済ませてからだ。

なんなら都内でも買い物はできるからそちらでする方が良い。」


「それもそうですね、やる事をやりましょう。」

(買い物かぁ、したいけど100Gで足りるかなぁ...)


物の値段も把握しないうちに、懐を心配しながらケンジは大通りを進み、正門へと歩いていった。





◇ ◇ ◇ ◇





時同じくしてアケラ村。


太陽が昇って間もない頃。


「今日でしたっけ?魔族の方が来るの。」


「そうだな、太陽が真上の頃との事だからまだ少しあるけどな。」


ミリアとリガは一応制服に身を包み事務作業をこなしていた、アケラを迎えた時と同じ服だ。


「マスターは色々悩んではいたが、悩んだところでどうしようもない、ならば堂々としてればいいんだ。

向こうも敵対の意は無いとわざわざ言っているんだから。」


「ですよね〜、私も今のこの村では何もできることはないと思います。

気になることといえば...」


「…ケンジだろ。」


「あ、やっぱり気になります?」


「あぁ…」


「まぁ、でも教会からの調査報告を待ちましょうよ、偶然かもしれませんし。」


「そうだな、今は待つしか無いか...」



◇ ◇ ◇ ◇



時はケンジが職員として採用された日の夜。

歓迎会が開かれる少し前の話。


「おーい、アホシスター。」


「仮にもギルド職員が聖職者を見下す発言はいかがなものかと。」


教会の扉を許可なく開けて入ってきたのは、灰色の肌の山エルフ。

リガ・アルヘオだ、彼女はズカズカと教会に入り込んできた。


「私だからまだいいですが、魔族嫌いのシスターなら殺されてますよ?」


少し不機嫌ながらも、このやり取りを何度もしているのかやや呆れ気味のシスター。

ラシ・ロロラーナはイヤイヤながらもリガが訪ねてきた理由をなんとなく察する。


「ケンジさんですか?」


「そうだ、これはギルド直々の依頼だ。」


今まで緩かった空気が張り詰める。

ラシ・ロロラーナ、彼女はゴルド王国の情報組織、コーネリア教の諜報員の一面を持つ。


戦時中、さまざまな魔族の情報や戦況、隣国の動きなどを探る活動を行っていた彼女は、現在平和同盟を組んでいる魔王国領地に一番近い村で魔王国の動きを見張っていた。


「主な内容としては、過去の行動や出身地、彼は何者なのかを探って欲しい。」


「...これは私の経験ですが、あの表情、動きや話し方。

記憶喪失では無いです。」


「やはりか...」


「記憶喪失ならもっと焦りや不安を持った目をします、しかしそれが無い。

戸惑いこそあるものの、あれはそう...好奇心。」


「好奇心?」


「初めて見たものに対する興味関心態度です、この国の歴史を知らないにしても、まるで別の戦争や歴史を知っているかのように話を聞くのです。」


「ふむ、つまりどこか別の国からの諜報員の可能性も濃いな。」


「にしても演技には見えません、もし演技なら相当なやり手。

慎重に調査を進めさせてもらいます。」


「よろしく頼む、もし危ないと感じたらすぐに取りやめてくれ。」


「誰に言ってるんですか?情報は帰ってきてやっと価値が生まれるんです、貴女に言われるまでもない。」


いつのまにか空気は柔らかなものへと変わっていた。


「じゃあ、よろしく頼む。」


「任せなさい。」



リガはそのまま教会を後にし、ケンジの歓迎会へと顔を出した。



その後、ギルドに乗り込んできて

「なぜ飲み会に誘わなかったのか!!」

と喧嘩するリガとラシの姿があったのは別のお話。




◇ ◇ ◇ ◇




時は戻り現在、場所はゴルド王国北生門。


「身分証明書を。」


健二たちは門で入国手続きをしていた。

門は城壁の一部にかまぼこの様に穴が開いており、鉄と木で作られた頑丈な両開き門といった構造だ。


「あ。」


「?」


「どうした?無いのなら入れないぞ。」


「ええっ!!」


ゴルド王国は結界が張っており、基本的に入国には東西南北4つの門からしか入れない。

つまり門番は怪しいものを入国させるわけにはいかない、自然と厳しくもなる。


「待ってくれ、騎士団隊長はいるか?

誰でも良いから呼んでくれ、アケラ・グラディウスが来たと言えば良い。」


「なに?」


門番は一見偉そうな態度を取るアケラを睨んできた。

が、ふと思い出したのか直ぐに睨むのをやめた。


「...アケラ・グラディウス、も、もしかして元東地方治安維持隊の?」


門番の顔が驚きと焦りで変わってゆく。


「し、失礼致しました!!ご無礼をお許しください!!!

直ぐお知らせしてきます!!」


いきなり立ち上がると門番は急いで街の方へと走って行った。


「アケラさんって実はかなり凄い人?」


「まぁ、この国で一番若い隊長だったから知名度はあっただろうな。」


すると門番の周りで警備をしていた兵士がこちらに近づいてきた。


「失礼致します!こちらで待たれるのも何ですので少し入ったところにある待合室にてお待ちください。」



案内されたのは門から入ってすぐの家。


王都の街並みは実に綺麗なものだった、まず門の先は左右が壁の緩やかな坂になっており、門からでは街並みが見えなかった。


しかし坂を登ると、某ブロック積み重ねクラフトゲームの様な様々な家が並んでおり、それが通りに沿ってピッタリと真っ直ぐに並んでいた。


(すごい、集合住宅地区みたいだ...)


足元も石畳で、綺麗な平石が並べられていた。


「おぉ...」


つい声が漏れてしまった、以前ケンジは農業研修旅行などでドイツやオーストラリアなどに行ったことがあるがその街並みとはどれも違う、実に新鮮な光景だった。


「美しい街並みだろ?建国後、一度たりとも悪い魔物の侵入を許していない。

誇り高き街並みだ。」


「結界のおかげですか?」


「それもあるが、騎士団や民間兵などの努力でもある。

結界の外までは結界の力は及ばんからな、我々の出番になる訳だ。」


結界は光の王ゴルド・オーランが張った強力な魔法のドームの事を言う。

これは強力な光魔法なので光を嫌う闇魔法、または闇魔法によって作られた魔物などの侵入を許さない。


ケンジらは兵士に案内された待合所、と言っても実際は兵士の詰め所だが。

そこで呼び出した騎士団隊長を待つことにした。

 


「そういえば、この前の飲みの席で結界について。

『悪の判断はすべて結界を張った者の裁量で決まる、つまり王様が悪と思った者はその場で罰せられる。』

なんてことを言ってましたけど、それはどう言った事ですか?」


「あぁ、この結界は国を守ると同時に国を見守ってるんだ。」


「??」


「光魔法なのかは知らんが、国王にはこの街全てが見えるらしい。

故に、悪事を働けば国王にバレて兵士がすっ飛んでくるわけだ。

時々光魔法による拘束や失神などが見られるがな。」


「魔法って何でもありですね...」


「そこが謎なんだ。

魔法というにはあまりにも複雑すぎるんだよ、いくら国王が光魔法の使い手だからと言っても規模が大きすぎる、何か仕掛けがあるはず...。」



バァン!!!!!



いきなり詰め所の扉が勢いよく開いた。


「アケラ!!!」


大きな声のした方を見ると、走ってきたのか息を切らした金髪のイケメンが居た。


「ベリット!!元気してたか!?」


アケラは手を大きく広げ、ベリットを迎え入れる用意をした。


が。


アケラに飛び込んできたのはまったく別の物だった。


「ぐほっ!」


見事に腹に入ったのは拳、助走をつけた拳がまっすぐ吸い込まれていった。


(凄い、ちょっと浮いたんじゃないか?)


「お前というやつは、あの日以来一切連絡もせずに出ていきやがって!!

残されてみんながどんだけ心配したと思っているんだ!!」


どうやらかなりお怒りの様子、地面に芋虫の様に立っているアケラを見下しながら、ベリットと呼ばれた男性はさらにヒートアップしてゆく。


「もし急いで行かねばならないとしてもだ!置き手紙や何か一言くらい言うのが筋と言うもんだろが!!」


「うっ。

仕方ないだろう、国からの命令で急ぎだったんだ...

いずれはこちらに顔出すつもりだったから後で良いかと...」


「よくない!とりあえず本部に顔を出せ!」


「ううっ。」


アケラはこっぴどく怒られ、いや殴られ少し小さくなった気がする。


「君は、アケラの付き人か?

お見苦しいのをお見せした、私はべリット。

ゴルド王国北地方治安維持隊の隊長を勤めている、アケラとは同期だ。」


ベリットは名乗ると礼儀正しく一礼した。


「アケラ村の農業を担当させて頂いています、ケンジといいます、よろしくお願いします。」


こちらも頭を下げる。


「...アケラ村?」


「あ、そうです。

アケラさんが領主なのでアケラ村と名付けました。

数日前に決まったばかりですが...」


「...領主になったのか?」


「一応、今回帰ってきたのも村の資材や人材の募集の為に。」


「…そうか団長があまり探るなと言っていたが、そんなことになっていたのか。」


「団長がそんなことを…また挨拶に行かねばならないな。」


「今は各国への訪問で居ないぞ。」


「今?何故?」


「…ここだけの話だぞ、アケラが襲撃された際のドラゴン、あれはもしかすると人為的なものなのかもしれないという話だ。」


「えっ!?」


ケンジは思わず声をあげてしまった、部屋には今アケラとベリットしかいないが思わず口を

押さえた。


「…」


アケラは真剣な顔でベリットを見つめている。


「まあ、確かな情報ではないんだがな、けどドラゴンがゴルド王国領域に現れるなんて戦時中でもなかったらしいぞ。

人為的じゃないか?って話が騎士団の中ではもちきりでな。」


「そうか、まあ私はもう騎士団を辞めた身だからな、あまり関わらないようにするよ、もし関わるとしても個人でかかわることになるだろうな。」


「無理するなよ、またいつでも寄ってくれ。」


そういうとベリットは木札を2枚差し出してきた。


「滞在許可証だ、2人の滞在を許可する。」


「ありがとうございます。」


「今回は仕事で来たが、村の仕事が落ち着いたらまた来るよ。

団のみんなにもよろしく伝えてくれ。」


「あぁ、元気でな、ケンジ殿もアケラをよろしく頼む。」


「はい、ベリットさんもお体にお気をつけて。」


アケラとケンジはベリットと握手をして待合所を出た。




「さてと、まずは宿屋に行こう。

早めに取らないと埋まってしまう。」


(宿は早く取らないと埋まってしまうの、異世界なのに一気に親近感が湧くな。)


「宿屋に荷物を置きたいですね、あとメメさんとも合流しないといけませんね。」


そう、野営地で別れたアケラの侍女であるメメと王都で合流する話になっているのだ。


「そうだな、ギルドで待っているだろうな。

荷物を置いたらまずギルドに向かうか…。」


ケンジとアケラは待合所から出ると国の中心地に向かって歩いて行った。

中央に向かうにつれてだんだんと人も多くなっていき、門付近は兵士と入国待ちの冒険者などが多かったが今は国民らしき姿の人がちらほら見えてきた。


「だんだん人が増えてきましたね。」


「そうだな、北門付近は一般市民住居が多いからな、南が貴族とか金持ちの住居になっていて、東と西は商業などのエリアかな。」


ケンジらは北門から入国してきた、方角で見れば北は魔王国領なので冒険者くらいしか出入りしない、一番出入りが多いのは東門でその次に西門となっている。


「そろそろ露店が出てる道になる、人も多いからはぐれるなよ。」


観光気分で周りの家や人などを見ていたらいつの間にか人通りもだいぶ多くなってきた。


「お、野菜もある。」


露店では肉を焼いたり、果物を絞ったフレッシュジュースなどが販売されていた。

その中にはジャガイモの様な芋が山積みになっている店もあった。

少し小ぶりで濃い紫の物だ。


「ちょっと見てもいいですか?」


「ああ、流通の調査も必要だからな。」


そう、ケンジはまだこの世界の野菜は今のところジャガイモくらいしか目にしていない。

(そもそも品種改良なんて無いだろうから原種だろうな、このジャガイモも『アンデスレッド』って品種のジャガイモに似ているし。)


ジャガイモの先祖は高度3000m級の山脈で見られる、野生種は今のジャガイモよりかなり小さい。


「ふーむ、少し小ぶりだけど野生種より大きいな、緑色にもなっていないからちゃんと土寄せしたり、直射日光を当てずに保管しているな。」


ジャガイモは日光に当たると緑色に変色してしまい、そこには有名な毒ソラニンが含まれる。

麻袋などに入れて光に晒さない保存方法が望ましい。


「おい、兄ちゃんえらい詳しいじゃねえか。農民か?」


ジャガイモの露店のおっちゃんが声をかけてきた。


「そうですね、北の村で農民をやってるものですね。」

(本当は職員だけど農民と名乗ってもいいでしょ。)


「買うか?エルフの作った芋だ、味は保証できるぜ1個で2Gだ。」


(高けぇ!!1個200円か!!大きいものなら分からないでもないが、ゴルフボールサイズの芋に2Gは出しにくい!!)

「いえ、野菜の下見に来ただけなので!いやあ、質がいいですね。」


この言葉は本音である、芋は保存がしやすい野菜とはいえ腐ったり芽が出たりするのだが、この露店の芋はどれも綺麗な物である。


「また来ます~。」


「あいよ~。」


この世界の野菜の維持管理はどうなっているのかも調べないといけない事がわかった。

(ていうか、異世界でも芋は呼び方同じなのか。

ヨヴィさんから授かったスキルで言語の翻訳はされてるけど、呼び方などが同じだったり似ているのはなんでだろうな?)


「もういいのか?」


「はい、とりあえずは大丈夫です。野菜の状態や値段が分かりましたので、次は栽培方法や流通などが見れたら満足ですね!!」


とくに栽培方法を見たい、土壌の状態が日本に近ければ従来のやり方でできるが未知の成分などがあれば少し手間がかかるかもしれない。


「あ~、ならば今すぐには無理だな。」


「え?」


「ゴルド王国領地では野菜の栽培は行われていないからな。」


「…え?」








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