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時代遅れの農家

20XX年、世界の農業は進化していた。


高齢化が進み担い手が少なくなる中で機械化が進み、人が作業しなくとも農作物を栽培できるようになってきた。


トラクタは自動運転、水やりや肥料などはAIによる最適なタイミングと最適な量。

収穫なども機械化が進み、仕分けや梱包みはすべてコンベアやロボットアーム。


このように人間が作業するのはせいぜい大きな指示や細かなメンテナンスなどになった。


この機械化は人々の食料問題を解決していった…が逆に農家の仕事は減る一方であった。

そんな悩まされる農家の一人 中山健二なかやまけんじは一人草をむしっていた。


「・・・」


ただひたすらに畑の雑草をむしる男は日本人の平均的な身長に、少しばかりついた筋肉、少し出た腹は日頃の肉体労働後のビール腹だろう。


趣味は酒を飲みながら動画を見たり映画を見たりなどといった感じで、独身を貫く一人の農家だった。


そんな男が草むしりなど時代遅れなことをしているのには訳があった。


「先祖代々受け継いできたこの畑だ、そう簡単に渡せるかよ。」


そう、機械化は非常に便利なのだが機械化する代わりに土地の所有権を国に預け、代わりに相応の金を国から定期的にもらえる仕組みになっていたのだ。


「政府に渡したらそりゃ楽なんだろうがよ、今まで俺らが築いてきたもの全部更地にして機械が動きやすいようにするなんてなぁ…」


機械が畑の作物を収穫しやすいように道を平らにしたり、障害物をなくす必要がある。

文字通りに平らな土地にする必要があるのだった。


「しかし、暑いな…今何℃だ?」


季節は夏、温暖化の影響もあり最高外気温は40℃にもなる、健二は暑さ対策として空冷服などで対策をしているがそれでも限度がある。


「…もう人間が農業できる時代じゃないのかもな。」


そう思いに浸っていると。


「中山さーん!!こんにちはー!」


「ん?あぁ影山さん、こんにちは。」


この影山加菜かげやまかなはこの地域の機械化を促進するために派遣されてる職員である。


「どうです?この前のお話考えてくださいましたか?」


「え?あぁ機械化、ね。」


「お気持ちはわかります、大事になさってきた土地ですものね。

しかし中山さんも一人で土地を管理するのも大変ですし、何よりこの気温も大変でしょう、人が働ける環境じゃないですよ、この前だって熱中症で死者が出てますよ。」


「ん、そうですね、一理あります。けど私は働けなくなるまでこの土地で働きたいんですよ。おやじが俺に唯一残してくれたモノなんですから。」


「そ、そうですよね…もちろん強制ではありませんので気が向いたらいつでも役所に来てくださいね。」


「そうさせてもらいます。」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ただいま戻りました」


「おぉ、お帰りで。影山君」


ここは地域農業センター、農業に関するほぼすべての管理をこの施設で行っている。


「どうだった?中山のおっさんは。」


「あの、おっさん呼びはやめてあげてくださいよ、まだ40代ですよ。」


「40代はおっさんだぞ。」


そう言う彼は影山の上司、山本。


「中山さんはまだ土地は手放さないつもりですよ、生きてるうちは現役ですって。」


上司は事務椅子を少し倒しもたれかかる。


「うーん、やっつぱりか。彼は考えが固いんだよな、そりゃ言いたい事はわかるけどさこれからの時代では置いていかれちゃうよ。」


「あ、あの中山さんって確か、かなり有名な方だったんですよね。」


「そうだね、彼はいくつも大学でてるし。農業に関してはたしか勤め先で農林水産大臣賞とか受賞してたかな。」


「え、す凄いじゃないですか!!」


「けど昔の話だ。」


健二は当時、新聞に載るほど有名人だった。


独自のルートによる販売をしたり、果樹や野菜にとどまらず、穀物や畜産物なども範囲内で栽培、生育、出荷も手掛ける大企業の社員だった。

主に部下にノウハウを教える立場におり、営業なども回った。

いわゆる営業部長だったのだ。


しかし機械化が進むにつれて衰退してゆき遂にはリストラされてしまった。


それもあり健二は頭では機械化が推奨されているのは分かるが、心の中ではもやもやするものがあった。


「時代遅れなのは多分本人は理解しているよ、けど今から新しい農業をやるには難しいだろうな」


「そ、そんな訳が…」


「まあ、本人がその気ならそのままにしておくのが一番いいわな。」


「そう、ですね。」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そのころ健二は…


「ん…なんだ、ん?」


「こんにちは」


声を掛けてきたその人物は柔らかな声で挨拶してきた。


「え、あ、こ、こんにちは。え?」


「少しばかり混乱されているようですね、まあ仕方ないですよね。」


健二は少しパニックになりつつも周囲を見渡した。


そこは殺伐とした部屋で生活感はなく、ただ部屋の真ん中にちゃぶ台が置いてあり声の主はちゃぶ台を挟むように対面に座っていた。


見た目は20代程の男性女性ともとれる中性的な顔で何より目立つのはその見た目、瞳以外白く、そして天使の様な羽が生えていた。


「あっ、えっとー、ここは?」


「簡潔に話しますとあなたは死んでしまいました。」




「えっ?」



初めて書いてみました(^^♪

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