表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竿斬りの舞  作者: 凪子
第九夜
99/146

99.

涙が地面に吸い込まれてゆくのを暗い気持ちで見つめていると、


『とーもこっ』


温かい声が響き、力強い手が差し出された。


見上げると、ひまわりのように笑う舞の姿があった。


『舞ちゃん……いいの?ドッチボールは』


『いいのいいの。だって、朋子がいなきゃつまんないもん』


いさぎよく言った彼女の深い優しさに、新たな涙が溢れ出す。


目尻をごしごしと拭うと、肌がこすれて痛かった。


『朋子。足、怪我してるじゃない』


舞は泣いている理由を怪我だと勘違いしたらしい。


『大丈夫。そんなにひどくないよ。保健室行って、消毒してもらおうね』


そう言って、朋子の小さな頭を優しく撫でる。


『痛いの痛いの、飛んでけー』


軽やかな歌が響く。


朋子の涙を優しく止める、魔法のような声だった。




*************************



「ぼんやりしてるわね」


不意に意識を呼び戻され、朋子ははっとした。


一瞬、自分のいる場所がどこだか分からなくなる。


目の前にいる女帝の姿をみとめて、ひざまずいた。


「申し訳ありません」


日向野エンタープライズ株式会社の本社最上階。


彼女のためしつらえられた執務室の広さと豪華さは、他のどの部屋よりも際立っていた。


朋子が昨日しでかした失態を報告すると、女帝は笑みをひらめかせた。


「そう。それで舞は家に帰ったというわけね。今ごろ当主の膝にでもすがりついて泣いているのかしら。かわいそうに」


声色こそ甘やかだったが、朋子には断罪の響きをもって身に迫る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ