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竿斬りの舞  作者: 凪子
第九夜
98/146

98.

あっくんと呼ばれた飯島敦志いいじまあつしが、(めんどくせえ)というような目で自分を見つめている。


チームの他のメンバーも、(こいつかよ)とか(足手まといが増えちゃうな)と考えているのが手に取るように分かった。


舞だけが天真爛漫に、何も気づかない様子で、


『何言ってるのよ。朋子がいなきゃ人数つり合わないでしょ。さ、入った入った』


朋子は思わず手を振り払った。


『いいってば!』


舞がぽかんと口を半開きにし、空気の温度が一瞬で下がった。


非難の視線が突き刺さり、朋子はその場を逃げ出した。


走って走って、勢いよく転び、校庭の隅、非常階段の下にうずくまる。


擦ったひざ小僧に血が滲んでいるのを見たら、途端に痛くなってきて涙が溢れた。


朋子は顔を覆って泣き続けた。


誰からも忘れ去られたようなこの場所で、薄暗く湿った影の中で。


泣けば泣くほど自分の存在はかすみ、薄まってゆく。


このまま空や地面と溶け合い、誰にも気づかれないまま綺麗に消えてなくなってしまいたい。


遠くでひときわ大きな歓声があがった。


ボールが地面につき、跳ねる音。走り回る足音、にぎやかな笑い声。


ほんの数十メートル離れたそこが、朋子にはまるで、果てしなく遠い場所のように思われた。

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