97.
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『ほら、一緒にドッヂしに行こうよ』
昼休み、机の前でしょんぼりしている背中に声がかかる。
朋子は哀しい瞳で首を振り、
『……いいよ』
教室に生徒は二、三人しかおらず、他の者は校庭で夢中になって遊んでいる。
時折、弾けるような笑い声が響き渡った。
『どうして?』
『だって……』
もじもじとスカートの裾をいじっている手を強引に取って、舞は走り出す。
『いいから、行こう!』
『えっ。待って、舞ちゃん』
今にも泣きべそをかきそうな朋子を連れて、舞は堂々とクラスメイトに声をかけた。
『私たちも入れて!』
ドッヂをしていた面々は、舞に好意的な視線を向ける。歓声があがった。
『いいよいいよ。どっちのチームに入る?』
『舞ちゃん、こっちおいでよ』
『えー、お前んとこのチーム宮内いるじゃん。御剱まで入ったら最強になっちまうよ』
女子と男子はわいのわいのと騒ぎ、どちらが舞を取るのか言い争っている。
和気あいあいとした空気の中、一人取り残された朋子は惨めな気持ちでうなだれた。
誰もが自分を、まるでそこにいないかのように扱う。
舞の前では、自分はいつだって透明人間になってしまうのだ。
『分かった分かった。じゃあ私は裕ちゃんのチームに入るから、あっくんは朋子をチームに入れてあげてね』
舞が両手を広げて厳かに言った。
人垣が割れ、誰もがようやく気づいたかのように朋子に視線を注ぐ。
朋子は居たたまれなくなって、思わず涙ぐんだ。
『私、やっぱりいい』




