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竿斬りの舞  作者: 凪子
第九夜
97/146

97.






***************************




『ほら、一緒にドッヂしに行こうよ』


昼休み、机の前でしょんぼりしている背中に声がかかる。


朋子は哀しい瞳で首を振り、


『……いいよ』

教室に生徒は二、三人しかおらず、他の者は校庭で夢中になって遊んでいる。


時折、弾けるような笑い声が響き渡った。


『どうして?』


『だって……』


もじもじとスカートの裾をいじっている手を強引に取って、舞は走り出す。


『いいから、行こう!』


『えっ。待って、舞ちゃん』


今にも泣きべそをかきそうな朋子を連れて、舞は堂々とクラスメイトに声をかけた。


『私たちも入れて!』


ドッヂをしていた面々は、舞に好意的な視線を向ける。歓声があがった。


『いいよいいよ。どっちのチームに入る?』


『舞ちゃん、こっちおいでよ』


『えー、お前んとこのチーム宮内いるじゃん。御剱まで入ったら最強になっちまうよ』


女子と男子はわいのわいのと騒ぎ、どちらが舞を取るのか言い争っている。


和気あいあいとした空気の中、一人取り残された朋子は惨めな気持ちでうなだれた。


誰もが自分を、まるでそこにいないかのように扱う。


舞の前では、自分はいつだって透明人間になってしまうのだ。


『分かった分かった。じゃあ私は裕ちゃんのチームに入るから、あっくんは朋子をチームに入れてあげてね』


舞が両手を広げて厳かに言った。


人垣が割れ、誰もがようやく気づいたかのように朋子に視線を注ぐ。


朋子は居たたまれなくなって、思わず涙ぐんだ。


『私、やっぱりいい』

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